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 2007年5月6日 磁石

 あらゆる人に聞いてみたい。
 あなたは、磁石を使って金属の微細な傷を見つける方法を知っていますか? ご存じだったら教えていただけませんか? いろいろと役に立ちそうだから。

 唐突なのは百も承知だ。しかし、今日の朝刊で唐突な事実を知らされて、何とも理解できなかったのだ。朝日新聞2面(東京本社発行の14版)に掲載された「分解点検 連休後に予定」という記事である。

 5日、大阪府吹田市のエキスポランドで起きたジェットコースターの事故を報じた記事である。その一節にこうある。

 <このジェットコースターの場合、年1回の定期検査が義務づけられ、同社(エキスポランド=私の注)では、さらに部品をばらして、磁石などで車軸に微細な傷がついていないか調べていたという>

 へーっ、磁石でそんなことができるんだ。私の最初の感想である。だったら、やり方を教えてもらえれば、我が家でも使えるな。磁石ってそれほど高価でもないし。

           ※注=以上の部分に誤りがありました。こちらをご覧ください。

 そもそも、この事故の記事、わからないことだらけだ。

 まず1面。判断した車軸の説明である。

 <車軸は直径5センチ、長さ約40センチで、合金材「SNC」製という>

 おいおい、「SNC」って、何だ? そんな知識私にはない。他の人はみんな知っているのか?
 ネットで検索した。「ニッケルクロム鋼」とあった。ニッケルとクロムの合金、といってもどのようなものかわからないが、少なくとも「SNC」と書かれるよりわかった気になる。

 その次の文章も意味不明だ。

 <92年の営業開始以来1回も交換されていなかった>

 だから何だというのだ? 交換時期は材料の耐久度によるはずだ。「SNC」なるものの耐久度が明示されていないのに、交換しなかった事実だけ知っても意味がないじゃん。ジェットコースターの車軸に使うような場合は、少なくとも30年の耐久度がある材料なら、15年程度で交換することはあり得ない。

 毎年1回行っている定期検査の時期も、1面と2面で違う。1面では

 <今年は1月30日に実施し、2月16日に市へ報告書が提出された>

 2面では、

 <今年も定期検査は2月に行った>

 この1面の表現はどうだろう。

 <同社は例年、事故機の定期検査の際、あわせて車両を分解する点検も自主的に行っている>

 ということは、分解点検は義務ではないのか? じゃあ、建築基準法で義務づけられているという年1回の定期検査では何をやるんだ? この会社、法律で義務づけられていないことまで、コストをかけて自主的にやってきた良心的な会社なのか?

 おかげで、社説までが迷走する。

 <大型連休という入場者が多くなる前にこそ、念入りな点検をすべきではなかったか>

 定期的に検査を行う場合、その器具の安全性はけんさt じゃあ、何かい、定期的に検査を行う場合、その器具の安全性は検査直後に最大になる。日々の使用で安全性は少しずつ下がり、次の定期検査前日に最低になる。まあ、そう考えるのが常識だろう。
 この常識を社説に当てはめるとどうなるか。

 大型連休中に事故を起こすから問題になるのだ。連休前に事故が起きていれば、それほど騒がれなかったのに
 それでいいのか?
 こんな暴論になってしまうのは、論理にどこかゆがみがあるからだ。

 1面、2面、社説、社会面と、すべての関連記事に目を通した。読めば読むほどわからなくなった。この事故、いったい何が原因で起きたんだ? この記事を書いた連中、いったい何を伝えたかったんだ?

 まあ、事故が起きてからそれほど時間もたっていない。まだ現場も混乱しているのだろう。取材した記者、それをまとめたデスクも、その混乱から逃れられなかっただけだろう。混乱しているから、手に入った材料はすべて記事の中に放り込んでおけ。その材料に意味があるかどうかはまだ判断できないのだから、ということだったのだろう。明日の朝刊以降、もっとちゃんとした記事が出てくるのだろう。

 そう思って、日経新聞に目を通した。 !!! よくわかるのだ、この事故の概要が。

 まず、磁石の件。日系によると、エキスポランドが検査に使っていたのは「超音波を使った検査器具」である。それならわかる。見たことも触ったこともないが、金属の損傷によく使われていることは知っている。
 ということは、あれか。朝日の記者はそんな常識もなかったのか? 何しろ、磁石で調べるんだもんねえ……。

 いや、そんなことはどうでもよろしい。目が点になったのは、第2社会面にあった次の一節だ。

 <よみうりランド(東京都稲城市)によると、車軸などすべての部品は金属疲労のおそれがあるため「異常がなくても最長7年で交換する」>

 そうなんだ、ほかの遊園地では最長7年で取り替えている部品を、エキスポランドは、その2倍以上の15年たっても交換していなかったんだ。それって、採算を重視するあまり、安全性を無視してたって話じゃないか! 大型連休前に念入りに点検しろ、って話じゃないじゃないか。きちんと取材すれば、今日の朝刊にだって、この程度のことは書けるんじゃないか。
 
 ここまでわかって、もう一度朝日新聞を見た。朝日さん、よみうりランドに取材しなかったの?
 あった、あった。あったけど……。

 <一方、よみうりランド(東京都稲城市)は、事故情報が入った直後の午後2時半ごろから、トーゴ社製の立ち乗りコースター「ループコースターMOMOnGA」を運休にした。広報担当者は「(事故機と)基本的に同じ設計ということもあり、原因が分かるまでは運休を続ける」。これまで大きな故障はなかったという>

 よみうりランド関連の記事はこれだけである。最長7年で部品を交換するなどという話は、目を皿のようにしても出てこない。

 いやはや、朝日新聞もボケがうまくなった。私のような読者に朝からツッコミの喜びを与えてくれるなんざ、にくいねえ!

 でも、大丈夫?

 

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