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 2008年1月18日 首吊り

 昨日から新しい治療プログラムが始まった。「2007年12月6日 ボーっ」で書いた、首筋から肩にかけての凝り、時折現れる右腕のしびれへの対処である。

 今週火曜日、担当の整形外科医に診察を受け、あれ以来服用を続けている消炎剤、鎮痛剤、筋弛緩剤では症状が緩和しないことを訴えた。

 「先生、これ以上の治療法はありませんかね?」

 薬を変えるなり、量を増やすなり、やり方はあるだろう。素人判断でそう考えていた。
 医師はためらいもなく答えた。

 「じゃあ、MRI(なんでも、核磁気共鳴画像法、というのだそうだ。日本語に直してもよく分からん)を受けてもらいましょうか」

 要は、体の断層写真を撮りましょう、というわけだ。撮るのはいい。しかし、頸椎が変形しているのは、レントゲン写真で判明済みである。それをより詳しく調べてどうしようというのか?

 「MRIをやるのはいいのですが、その後の治療はどうなります?」

 医師は再び、ためらいもなく答えた。

 「まあ、それを見て、場合によっては手術ということも考えましょう」

 手術! 冗談ではない。頸椎の中には神経が通っているのだぞ! まかり間違ってこいつが傷つけられれば半身不随となる恐れだってあるのだぞ!! 

 「先生、この段階で手術というのは、少し早くはありませんか? 首筋から肩にかけての凝り、時折現れる右腕のしびれはあっても、日常生活ができないほどではないわけですから」

 いま、まな板に載っているのは私の体である。主張することは主張する。手術は嫌だ。手術は怖い……。

 「そうですか。ま、それもそうですね。じゃあ、薬を1つ増やしましょう」

 こうして、末梢神経の血流を改善する薬が加わった。消炎剤、鎮痛剤、筋弛緩剤とあわせて4種の薬を毎食後服用する。この程度は忍耐の範囲内である。

 「それと、牽引療法をやりましょう」

 つまり、重りをかけて首を引っ張るのである。牽引をやったという人は数人知っている。が、牽引し症状が緩和したという話は聞いたことがない。そんな方法しかないの? いまでも時々通っている「辰野接骨院」のマッサージの方がよほどいいように思うけど……。
 が、まあ、担当の医師が言うことである。逆らいすぎるのも後々に響く。それに、医師が薦めるのだ。やった結果、症状が悪化するということもあるまい。

 「10kgで、週に2、3回やってください」

 こうして、昨日が来た。

 社内の診療所へ出向いた。牽引治療を受けるためのカードも作成済みである。受付窓口にカードを出すと、すぐに名前を呼ばれ、小さな部屋に案内された。

 「最初に暖めます。それから牽引に移ります。携帯電話は熱で壊れる恐れがありますので、体から離してください」

 ジャケットを着たまま後ろを向く。背後にあるのは、電気スタンドのお化けのような器具である。スイッチを入れる音が聞こえると、首から肩にかけてほんのり温かくなってきた。なかなか心地よい。持参した文庫本(「殺人にうってつけの日」=ブライアン・フリーマントル著、新潮文庫)を取り出し、読む。
 ふむ。牽引治療とは快適なものではないか!

 10分が過ぎ、加熱が終わった。次はいよいよ牽引である。横を見ると小さなベッドがある。そうか、これに横になって首を伸ばすのか。ま、横になって本を読んでいれば終わるだろう。
 予想が外れた。

 「この椅子に座ってください」

 看護婦に指示されたのは、風呂いす程度の低いいすである。

 「えっ、こんな低いいすに座るの? ベッドに寝るんじゃないの?」

 「はい、座りにくくてすみません」

 座った。顎と首にベルトのようなものが取り付けられた。この状態で上に引っ張るの? これって、首吊りじゃん! ベルトがずれたら首が絞まって苦しいよなあ……。

 「15秒引っ張って、15秒休みます。全部で15分です」


 なにやら機械的な音がして、首が上に引かれる。いや、10kgという牽引力に、引かれるという表現は相応しくない。持ち上げられる、という感じか。

 15分が過ぎ、解放された。来週も2、3回は、首を持ち上げられに診療所に通うことになる。

 でも、引かれるのではなく、持ち上げられる程度で効果はあるのかなぁ?
 いや、立派な大学を出た先生がおっしゃったのだ。効果がないはずはない。信じるものは救われる……かなぁ?

 

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