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 2008年5月28日 がっかり

 驚いた、といいうより、呆れた。昨日から今日にかけての朝日新聞の報道だ。

 「日銀審議委員に池尾・慶大教授 政府、27日国会提示」

 という記事が出たのは、昨日の朝刊だった。それによると、政府は空席になっている日本銀行審議委員に池尾和人・慶応大教授を充て、預金保険機構の理事長には永田俊一氏を再任することにしたとある。27日に国会に提示し、同意を得る運びだ。

 いや、私は人事情報にはほとんど関心を持たない。どこのどんなポストに誰が就こうと、私への影響は、まずない。関心を持ついわれがないのである。
 だからこの記事も、見出しを見た、というより眺めただけだった。どこの新聞で見たかも記憶になかった。
 
 えっ、と思ったのは昨日の夕刊を見てからだ。

 「同意人事 事前報道に民主反発」

 という記事だった。またしても政府がドジをやったのか。まあ、福田内閣も終わりが近いな、と思いながら目を通した。驚いた。
 事前に報道されたことに民主党が反発。池尾、永田両氏の人事案を認めそうになく、政府は差し替えざるを得なくなりそうだというのだ。

 「ふーん、そういえば朝刊でそんな記事を見たような気がするな。事前に報じたのは朝だったかな? それとも日経?」

 朝日新聞の朝刊を開いてみた。その記事があった。とすると、朝日の事前報道が、この2人の人事案を潰したわけだ。

 自分の人事を潰されたお二人は気の毒というしかない。それも問題だが、もっと大きな問題が見えてきた。
 事前にメディアに漏れたからといって、人事案を潰すのは暴挙ではないか?

 我が国には報道の自由があることになっている。自由な報道が、究極的には国民の利益になると考えられるからだ。人事案件を事前に報じるのも報道の自由の1つである。
 民主党は今回、報道の自由を頭から否定した。
 事前に人事案が報道されたら、その人事は潰れる。こうなれば、 事前に人事情報を漏らす取材先はなくなる。人事に関する特ダネはなくなる。
 いや、人事なんぞは決まれば発表されるものだ。特ダネなんかなくてもいい。
 恐ろしいのは、報道の自由を否定する民主党の論理は、人事案以外にも適用できることである。

 「事前にメディアに漏らした政策案についての協議には応じられない」

 などは延長線上にある理屈である。
 そうなれば我々は、与野党が公開に合意した情報しか得られなくなる。政治の世界は魑魅魍魎が跋扈する。そのおどろおどろしい世界を、彼らが公開を許した情報だけで読み解けるだろうか?

 つまり、今回の民主党の動きは、新聞は絶対に許すことができない暴挙なのだ。
 さて、朝日さん、どう戦う? 27日の夕刊には原稿が間に合わなかったかも知れないが、28日の朝刊ではキッチリ民主党叩きをするんだろうね? そうしなきゃ、新聞としての筋が通らないもんね、と期待しながら、今朝の朝刊を開いた。期待は裏切られた。

 ない。どこにもない。コラムでの民主党批判も、社説での民主党批判も皆無である。政治面に

 「同意人事2氏除き提示 日銀審議委員と預金保険機構理事長 差し替えを検討も」

 という、事実経過を淡々と伝える記事が出ただけである。報道の自由を守らなくては、という危機感、使命感はどこにもない
 いや、末尾にこんな一節があった。

 「同意人事案をめぐっては昨年臨時国会でも一部が事前に報じられ、西岡氏が差し替えを要求した経緯がある。笹川、西岡両氏は与党、野党の順で示す方法を改め、両氏と与野党議運理事らによる両院合同代表者会議に提示する新ルールに合意。合意文書には『政府の人事案件提示前に、人事が報道された場合は、原則として当該者の提示は受け付けない』として、自由な報道を間接的に規制する記述が盛り込まれた

 どうだろう、この他人事みたいな白々しい書き方は。ああ、そう。その時もあんたたちは戦わなかったのね、戦わずに見過ごしたのね。それって、ジャーナリズム? 
 いってみれば、報道の自由って、メディアの飯の種でしょう。いまのジャーナリストには自分たちの飯を守る気概もないらしい。
 ほんと、がっかりした。

 それともあれか? 何としてでも政権交代を実現しなければならない。そのために、民主党批判は避けねばならない、なんて計算でもあるの?
 でも、そうやって政権交代が実現したら、鬼を追放したらが出てしまった、ってことになりかねないと思うけどなあ。

 頑張って! 朝日新聞!!

 

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