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 2008年11月27日 私と暮らした車たち・その15 アコードの3

 見出しを見て、怪訝な思いをされた方もいらっしゃるかも知れない。

 「えっ、まだアコードなの?」


 と。
 私の当初の予定も、今回から次の車に進むはずだった。 だから、前回の結びを

 「こうして、アコードの次の車選びを、長男の選択肢に委ねた」

 としたのだった。
 ところが、事情が変わった。昨日、メールで抗議文を受け取ったのである。そのメールのタイトルは、

 「間違い」

 穏やかならぬ、挑戦的なタイトルである。ギョッとして本文を読み始めた。

 「多いねぇ。わざとか記憶違いかはわからんが」

 なかなか挑な書きだしてである。いったい誰がこんなもん送ってくる? 差出人を確認した。
 ……、長男だった。
 ん、間違い? 確かに、前回の主役は長男だった。俺、何か間違ったか?

 「まず、最初に左ドアを凹ませたのは、免許を取ったその日だったと思うよ。免許をもらって帰ってきて、すぐに車に乗り込んで……。かーちゃんに、左側の隙間を見てて、危なくなったら知らせて!とお願いして車庫から出そうとしたら、ガツンと衝撃があって……。慌てて車からおりたら、ドアが潰れてた。で、何で教えてくれないの? 頼んだじゃん! とかーちゃんに言ったら、『あら、そうだったっけ?』と何事もなかったかのように笑ってた気がする」

 確かに、最初にドアがへこんだのがいつだったか、確かな記憶はなかった。だけど、まさか初日だったとはねえ。それに、共犯者がいたのか!

 「二回目は、スキーではなく、夜中に細い道を走っててぶつけたんだって。酔ってたかどうかは、覚えてないが……。確か、あの時は飲んでなかった気がする」

 いや、私の記憶では断固スキーなのだ。泥だらけにして帰ってきたアコードの後部左ドアが大きく凹んでいたので、どうした? と聞いた記憶がある。返答は、スキー場の駐車場から出ようとしたら当たっちゃって。だった。それを聞いて、何に当てたんだ? 車だったら向こうの車も凹んでいるはずだが、その処理はしてきたのか? と私は考えたのだ。金銭負担が私に来ることを恐れて、それ以上は聞かなかったが。
 長男よ、惚けるのはまだ早いぞ!
 でも、私よりはるかに若く、当事者でもある長男がここまではっきり書いてくるところを見ると、惚けてるのは俺なのかなあ……。

 にしても、だ。お前、学生時代は飲酒運転常習者だったのか? ま、私にもそんな時期があったから強いことは言えないが、でも、やめなさい! 今日まで無事だったのは何かの僥倖である。僥倖は長くは続かない。もう家族もいるのだ。飲んだら乗るな、を励行しなさい!!

 「次に事故の状況」

 ときた。オートバイに乗っていて起こした事故である。

 「確かに、ぶつかったところは間違いないけど、その後の記述が全く違う。体は車に激突してません、ではなく、してます。車に当たって、放り出されたまでは正しいんだけど、ぶつかっても車が止まろうとしなかったので、放り出された瞬間に、フロントガラスに激突して、90°飛んでる方向が変わったんだよね。体だけ左折したの。で、数メートル飛ばされて、着地したのが今度は車のボンネットの上だったんだよね。まだアクセル踏みつづけてたんだね、あの人。ボンネットに乗せられたまま30mぐらい走りつづけて、最後に急ブレーキをかけられて、今度は電柱一直線。多分、このとき左ひざを骨折したと思われる。というわけで、フロントガラス、ボンネット、電柱と3回激突してるんだよね。全てがスローモーションだったんで、いまだに明確に記憶してるんだよね。最初はどこにも痛みを感じず、みんなが駆け寄ってきて「大丈夫か?」と言ったのに対し、大丈夫!と答えて立ち上がろうとしたら、左足が痛くて立てなくて、そのままこけて。で、メットを脱ごうとしたら、右手がぶらぶらしてて、顎から流血してて。それに気づいたら、全身表現できない痛みに襲われたのを覚えてる。で、やっちゃったー、親父に怒られる……。と思いながらも、その日バイトだったことを思い出して、○○に『バイト先に電話して』と頼んだんだよね、確か。最後に、骨折したのは、左ひざと、左腕複雑骨折ではなくて、右手首の粉砕骨折」

 ふむ、私の記憶とまったく違う。
 もっとも、私の記憶のもとは警察官の話である。彼は、事故の状況を前回私が書いたように話した。
 そして、長男からは事故の状況など聞かなかった。ストレッチャーに乗せられて、でも、意識ははっきりしていて、私を見て

 「やべー」

 という言葉が浮き出した顔を見たら、事故の状況なんてどうでもよくなったんだよなあ。とにかく生きている。それだけでよかった。
 だから、叱りもしなかった。生きていてくれた息子を叱る親って、いるんだろうか?
 親父に怒られる、と思った? お前には人間の心が分かっていない。でも、子どもには親の気持ちなんて分からないかも知れないなあ。
 お前も親になってみたら?

 そして、こう締めくくられていた。

 「事実確認は慎重に!」

 ……、はい


 「というのはいいとして、肝臓はどうなの? 月曜、行けなかったから聞けなかったんだけどさ。ちゃんと、検査してから酒飲んでね」

 という追伸らしきものが付け加えられていた。
 これは、私の血液からC型肝炎の抗体が見つかったことを指す。つい先日のことだ。妻から聞いたのだろう。

 月曜、行けなかったから、というのは、夕食をしに来る予定だったのが、ヤツが突然発熱してこられなくなったことを指す。なあ、お前みたいに体の弱いヤツから心配してもらわなくってもいいよ。お前は自分の体を心配しろ。というのは私の強がりである。

 抗体が見つかって、私もネットで調べてみた。ま、いずれかの時点で我が体内にC型肝炎のウイルスが侵入したのは間違いない。だから、異物を排除しようと抗体ができたのである。
 問題はいま、だ。ネットでたどり着いた情報によると、

(1)C型肝炎ウイルスを持続的に持っていて、肝機能(GOTGPTなど)も異常値を示す人。つまり症候があるキャリア。
(2)無症候性のキャリアの人。C型肝炎ウイルスを持続的に持っているが、肝機能(GOTGPT)は持続的に正常。
(3)C型肝炎ウイルスが体の中に既にいない人(ほとんどが既感染者)。


 のどれかであるらしい。
 私の肝機能にはまったく異常がない。年2回の健康診断でも、

 「あなたのように大酒を飲んでタバコを吸って、しかもこの歳で、どうしてこんなに血液が綺麗なの? 罰として人間ドックに行ってらっしゃい!」

 と女医さんに言われたほどである。私に関しては、綺麗なのは血液だけでない。顔も体も心も同じ形容詞で表現できるが、まあそれはいいとして、だから、(1)はない。あまり心配することはないと思うのだが。
 ちなみに、ウイルスのために慢性肝炎を発症すると

 「20年で約60%が肝硬変へと進展する。肝硬変になった後は年間7〜8%が肝細胞癌に進展する」

 そうだ。まだ発症はしていない。発症しても肝硬変まで20年。私、そのころ生きているだろうか?
 それに、先日の朝日新聞には、C型肝炎はほぼ完治するとあった。医学の進歩とはありがたいものである。
 ま、念のためにいま、もう一度血液を採り、ウイルスの有無を調べてもらっている。結果は間もなく分かるだろう。

 長男の追伸は、次のように結ばれていた。

 「ちゃんと、検査してから酒飲んでね」

 おい、酒なしで俺の暮らしが成り立つと思うか? お前、俺の息子を何年やってる? まだそれくらいのことも分からないのか? 
 でも、まあ、心配してくれてありがとう

 次回は、お前の車選びをじっくり書かせてもらうからな。

 

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