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 2009年5月28日 男と女

 今朝のことである。我が家に配られてきた上毛新聞にとんでもない記事があった。

 上毛新聞? そんなの、読んでるの? とおっしゃらないで頂きたい。私はいまや、群馬県桐生市の住人である。であれば、地域情報を仕入れるためにも、上毛新聞は必読紙である。
 それに、だ。上毛新聞は、「クライマーズ・ハイ」という名作を書いた作家、横山秀夫氏がかつて新聞記者として在籍した新聞である。こよなく横山作品を愛する私がせっかく桐生に来て、上毛新聞を無視する選択はない。

 が、である。今朝の、私の目にとまった記事はひどかった。以下のような内容である。

 なんでも、桐生市消防本部に勤務する25歳の救急隊員が、貧血で倒れた16歳の少女を搬送した。その際、彼女の携帯電話の番号を知った。翌日非番となった隊員は、

 「体調は大丈夫ですか? 何かあったら相談に乗ります」

 「きょう会えますか。メールしてもいいですか」


 などと彼女に電話をした。
 この16歳の少女にはどうやらボーイフレンドがいるらしく、

 「彼氏がいるから会えません」

 と伝えた。どうやら気が弱いらしいこの隊員は、

 「では、会うのは諦めます」

 と返信した。
 事実関係はそれだけである。

 これが、消防本部によると、

 「たとえ善意でも、隊員として逸脱している」

 ということになるらしいのだ。
 そして、これだけの事実を、上毛新聞は3段見出しで報じた。

 
 ここまでは、ほぼ報道された通りをお伝えした。皆様はどう受けとらえたであろうか。

 私は、吹き出した。これは、ぶきっちょな25歳の男が、16歳の少女に一目惚れに近い思いを抱いたものの、すぐさま袖にされた、というだけの話である。袖にされた彼は、きっぱりと諦めた。
 どうしてこんな話が新聞記事になる?
 加えていえば、消防本部の談話も、上毛新聞の記者に迫られた何も考えない上司が、進退窮まってくっちゃべっただけの中身のない感想に過ぎない。


 そもそも男は、常にいい女を捜すものである。中でも独身男は、あらゆる機会を使っていい女を捜さねばならない。パートナーを手に入れなければならない。街を歩いていても、酒を飲んでいても、買い物をしていても、

 「おっ!」

 と思えるいい女を探さねばならない。見つかったらアプローチしなければらない。何しろ、彼らは生涯の伴侶を選ばねばならないのである。あらゆる機会を捉えていい女を得ようとするのは当然である。
 還暦を過ぎた私が同じことをすると世間、というより妻をはじめとした家族の猛反発を食うが、それと同日に論じてはならない。
 それでも私は、猛反発を食っても本能に従って行動するしかないのだが。

 ま、それはどうでもいいとして。

 ピンと感じる女がいたら、2人の間の距離を何とかして詰める。これが鉄則である。そのためにはあらゆる手を使う。常識である。救急隊員はその常識に従った
 この常識が自分だけの常識であってはならない。アプローチが拒絶されたときは、潔く引くという健全な判断があってはじめて、ほかにも通じる常識となる。
 救急隊員は、見事にこの常識を全うした。
 と私は思う。

 何人かと話をした。

 「そりゃあ、職務上知り得た個人情報を使ってアプローチするのは御法度だろうよ」

 というヤツがいた。ホントにそうか?

 自分に合う女を捜すのは、男にとって生涯の大事である。であれば、あらゆる機会を活用するのは当然である。あらゆる機会を利用して、名前、住所、電話番号を手に入れようとすることをどうして非難できよう? 手に入れた情報を利用して働きかけることがどうしていけないのか?
 どのカップルだって、最初は片方が強く惹かれ、何らかの手段で相手の情報を入手し、働きかけることから関係が始まる。
 それを否定すれば、すべてのカップルは見合いでしか成立しない。

 「ねえ、あんた。あんたは、あんたの奥さんとどうやって知り合った?」

 と、とりあえず私は反論した。救急隊員けしからん論に洗脳されたらしい彼は、キョトンとした顔をしていた。おいおい、それでいいのか? 上毛新聞に毒さてないか?

 こんな、世の中どこにでも転がっている男と女の話に特別な関心を持ち、記事にまで仕立て上げた上毛新聞記者のプライベートライフは、いったいどうなっているのだろう? 
 この男(たぶん、男だと思う)、ひょっとしたら一度も女と密接な時間を持ったことがないあかんたれではないのか? おい、君、女を喜ばせたことはあるか?
 とまで考えてしまう。

 
 にしても、である。
 この程度のことで上司に叱責され、あまつさえ新聞に書き立てられた25歳の救急隊委員の心情や如何に。

 女の子に興味を持つことはいけないことなの? と唖然とし、呆然とし、だったらどうすればいいのかと考え、やがて職務を全うするには女に関心を持ってはならないと自分に言い聞かせるしかないのではないか。

 かくしてまた、結婚しない男が1人できあがる。同時に、結婚できない女が1人生まれる。人口減少社会が止めどもなく続く。

 ああ。

 上毛新聞、馬鹿新聞

 

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