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 2009年6月18日 眼鏡

 視力を眼鏡に頼る暮らしが、もう15年以上も続いている。

 どれだけ本を読もうと―本当に本を読み始めたのは大学に入ってからだが、
 どれほどテレビを見ようと―子供の頃、我が家にはテレビはなかったが、
 どれほど勉強に励もうと―受験勉強に邁進したのは高校2年の夏休みからだが、

 とにかく、何をしようと、私の視力は裸眼で1.5を保ち続けた。100m離れたところから、その女性が美人かそうでないか判断できた。美人だからといって跡をつけたわけではないが。

 30m先の女性が美人なのかどうか分からなくなり、眼鏡のお世話になり始めたのは40代半ばである。パソコンとイラストロジックにはまったのが原因だとは、こちらに書いた。

 それから、何度眼鏡を取り替えたか。いや、フレームのデザインが気にくわなくなって取り替えたのではない。単に、老眼の進展と眼鏡の度数が合わなくなって取り替えざるを得なくなたのに過ぎない。
 そもそも、元が美しければ、どのようなフレームでも美しさを引き立てるものなのだ。
 それでも、いまの眼鏡はかれこれ5年使っている。途中でフレームが壊れ、同じ形のフレームを探して取り替えた事故はあったが、レンズは変えないままだった。

 「老眼はある年齢から進まなくなる」

 と聞いたことがある。ははーん、さては私の老眼も行進をやめたか。死ぬまでこのレンズが使えるか。

 そう思って安心していた。いまの眼鏡をずっと使えれば、新たな金を眼鏡に投じなくて済む。財布が助かること、この上ない。何しろ、遠近両用ともなると、5万円なんかでは作れないのだ。いま5万円あれば、できるだけ早く手に入れたいと思っているブルーレイ・プレーヤーを買ってつりが来る。


 と思っていたのに、いま、眼鏡を取り替えようかと考え始めている。きっかけは些細なことだった。
 
 「おかしいな」

 と思い始めたのは半年ほど前だったろうか。洗っても吹いても取れない汚れが左右のレンズに付いた。ともに最下部の一番内側だから、ものを見るのに使う部分ではない。だから、使っていて不自由はないのだが、曇り一つないレンズで澄み切った視界を確保したいと願う私は、ときおり気になってしまう。気にして石けんを使って洗ってみるのだが、どうしても落ちない。

 1週間ほど前、JR桐生駅に近い眼鏡店「明秀」を訪れた。こちらに来て強い日差しに音を上げ、遠近両用のサングラスを作った店である。私の好きな工業デザイナー川崎和男がデザインしたフレームが置いてあり、すてきなサングラスを作ることができた。ひょっとしたら、すてきだと思っているのは私だけかもしれないが。
 おまけに、これまで桐生で出会った中でもっとも美しい女性をこの店で見かけ、すっかりお気に入りの店になってしまった。
 残念ながら彼女は、亭主持ち子持ちaround 50で、つい先日、とあるところでご亭主にばったり会ってしまい、あろうことか1時間近くも桐生の将来像を語り合ってしまったというハプニングまで起きてしまったが。

 まあ、それはいい。とにかく1週間ほど前、「明秀」に立ち寄った。

 「レンズの汚れがどうしても取れないんだけど、洗浄してくれない?」

 数分待つと、思いもしなかった回答が来た。

 「安堂さん、これ、汚れではありません。コーティングがはげてるんです」

 えっ、コーティングがはげてる? ということはレンズが寿命を迎えた?
 なお、この回答をよこしたのは、例の女性ではない。店長、いやオーナーの娘さんである。念のため。
 そうそう、この娘さんにはいまだにボーイフレンドがいないらしく、雑談をしていたら、

 「だって、一日店にいるんです。男性のお客さんは中学生か高校生がほとんどで、それより上っていうろ、とんでもない年代の……」

 とおっしゃったので、

 「えっ、俺って、とんでもない年代なの?」

 と突っ込んだら、あわてていた。いいんですよ、どうせとんでもない年代ですから。あなたに向けた野望なんて持ってはいけない年代なんだから!

 話が脱線した。まあ、いつものことではあるが。
 元に戻そう。

 という次第で、私の眼鏡のレンズが耐用年数を過ぎていることが判明した。取り替える時期らしい。

 そういえば、サングラスを作ったとき、店長はいってたな。

 「いまの眼鏡は合ってませんね」

 新しい眼鏡を作らせようというセールストークだと思って聞き流していた。しかし、レンズが耐用年数を過ぎていると分かって思い直してみた。
 そういえば私、最近、パソコンのモニターを見るとき、顎が上がってる!

 遠近両用レンズは、上部が遠くを見るためのレンズで、下に行くに従って近くを見るように設計されている。パソコンのモニターを見るときに顎が上がるのは、モニターの距離にあるものを見るためのレンズではモニターがはっきり見えず、もっと近くを見るためのレンズ、つまりレンズのもっと下を使ってモニターを見ようとする悪あがきなのだ。
 つまり、私の老眼は、5年前より進んでいるのである。我が老眼は、まだ歩みを止めていなかったのだ。しぶとい!

 というわけで今日、「明秀」に行こうと思っていた。その予定で朝は職務時間にもかかわらずマッサージに出かけ、終わったら「明秀」に立ち寄る予定だった。ところが、マッサージが思いの外時間をとり、おまけにその最中に前橋から仕事の指令が入り、加えて午後いちで人に会う約束があって、どうしても「明秀」に行く時間が取れなかった。
 明日は、何とかして「明秀」に行こう!

 が、である。
 フレームはそのままでレンズだけ取り替えるのか? 安上がりだよなあ。
 フレームも新しくして、新しい私の外観を作るのか? もっと美しくなりたい気もする……。

 定年を過ぎ、安月給で働いている私には深刻な問題である。
 布団に入って朝まで考えてみるか……。



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