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 2009年6月24日 土地の広さについて

 さて、今日は不動産問題を考えてみたい。といっても、日本の住宅問題・地価問題を論じるのではない。

 桐生に来て暮らしぶりが変わった1つに、土地の広さがある。横浜では30坪の土地にぎりぎりの大きさの家を建て、それでも入り切らなくて3階建てにした家に住んでいた。住みながら、

 「都会の暮らしとはこんなものだ」

 と思っていた。いや、その思いはいまでも変わらない。よほど悪いことでもしない限り、あるいはよほど懐の豊かな親を持たない限り、サラリーマンの暮らしとはそんなものである。

 桐生に来た。ここには、驚くほど広い土地がある。私が住む苫屋も、敷地面積は65坪。横浜の我が家の2倍を超す。庭などがあって、仕方なく草取りもしなければならぬ。
 さすがに商店街まで足を運べば軒を接して店が建ち並ぶが、実態はその多くがシャッターを降ろしっぱなしで、新しいテナントが入る気配はない。そんな店をつぶしてしまえば、商店街にだって広大な広場ができてしまう。

 土地問題、住宅問題は都会、それも東京、大阪、名古屋といった巨大都市に限定された問題であることを実感する日々である。人生最大の問題は住宅だとお悩みの方には、都会を離れることをおすすめする。広々とした庭のある一戸建ての家が、格安の価格で手に入る。
 東京からわずか2時間のここ桐生でも、2000万円もあれば、立派な庭付きの住宅のオーナーになれる。

 都会に住み、
 
 「せめて、もう少し広いマンションに引っ越したい」

 「あと3坪、庭が広かったら」


 と日々悶々とされている方々には意外かもしれないが、土地が広ければすべてがいいかというと、そうでもない。土地が広いが故の問題もある。夏場にさしかかり、日差しが日々厳しさを増すこのごろ、私は土地が広すぎるための悩みを強くしている。それを知って頂きたくて、今日は駄文を書き連ねている。

 駐車場である。

 横浜に住んでいた頃、どこに行こうと駐車場は屋根付きであった。狭くて高価な土地だから、車はできるだけ効率的に収納せねばならない。手段は2つ。ビルにして上に伸ばすか、地下を掘り進めて穴蔵を作り、そこに車を収納するかである。それが、都会が必要に駆られて見いだした車の収納法だ。

 ところが、ここ桐生ではそんな必要はない。何しろ、安い土地がドーンとあるのだ。なにも金を使ってビルを手たたり、土をほじくり返したりする必要はない。

 「ここからここまで、俺のもん!」

 と杭を打ち、ロープを張って道路に面したところに出入り口を作れば立派な駐車場になる。誠に安上がりで、その限りではいいことずくめである。都会人の浅知恵を笑いたくもなる。あんたら、何をあくせくしてんの?

 ところが、これがいけないのだ、これからの季節は。

 平面駐車場とは屋根のない駐車場の別名である。仕事で行く先、買い物に行く先、どこに行こうと駐車場は平面である。ここにに車を置かねば用が足せない。そこまではいい。
 いけないのは、用を足すにはある程度の時間がかかることである。そう、もう正解を発見されたかもしれないが、その間、私の愛車は、情け容赦ない、夏の焼け付く太陽にさらされるのである。焼け付く太陽の下に置いた車のボンネットで、目玉焼きを焼くジョークがある。そのジョークが現実のものとなる。
 用を済ませ、車に戻ってドアを開けると、モワッとした熱気が社内から漂い出る。放っておいても事態は改善しないので、仕方なくシートに腰を下ろす。私を包むのは熱気である。一刻も早く熱気から逃れたい私はエンジンをかけ、エアコンを最大出力にする。そして、窓を全開にし、車内の熱気を追い出そうとする。だが、敵は手強い。なにしろ、車は鉄のかたまりだ。太陽にさらされ続けた鉄の固まりはたっぷりと熱エネルギーを蓄えており、遠慮会釈なく車内に熱を送り込む。

 委細かまわず走り出すしかない。5分、10分、徐々に車内の空気が冷えてくる。やはり、自然の暴威を押さえ込むのは人間の知恵、技術の集積である。参ったか、このやロー! と凱歌を口ずさみたくなるころ、よほど遠出でもするのでない限り、次の目的地に到着してしまう。ここの駐車場も、屋根のない平地である。かくて私の車は再び……。

 都会のビル式駐車場、地下駐車場も決して快適ではない。スロープをぐるぐる回りながら上ったり下りたりし、案内表示に従って迷路を走りながら空いたスペースを探す。何でこんなにいっぱい車があるんだ? 近くのやつは歩いてこい! 自転車を使え!
 と怒鳴りたくもなる。

 だが、それでもありがたいのだ、屋根が。夏の日差しを遮ってくれる屋根は、ドライバーに何物にも代えられない恩恵を与えてくれていたのだ、おかげで真夏でも、たいして汗もかかずに外出できていたのだ、と私が思い知ったのは、日差しが日々に強さを増す6月の桐生の駐車場を体験してからである。

 ねえ、駐車場に屋根をつけましょうよ、と声を大にしても誰も聞いてくれそうにない。では、車用のポータブルパラソルでも開発するか? まてよ、パラソルでは風が吹いたら飛んでいってしまう。何しろここは、風の強さで知られる上州なのだ。だったら、車用のテントか。でも、駐車して、車からテントを取り出して張っていたら、それだけで汗だらけになりそうだなあ……。

 だれか、いい知恵持ってません? 明日も朝から車で出かけるんですけど。



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