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 2009年10月7日 私は

 藤原紀香さん、ではなかった、亀井静香さんを支持する。紀香さんは、どちらかというと好みではない。

 それはどうでもいいが、新政権で金融相になった亀井さんが、痛快な発言を連発している。
 モラトリアム宣言もそうだった。業績が悪化した上、銀行の取り立てに追われている企業、賃金やボーナスが下がって住宅ローンが払えなくなった個人に、

 「3年間は返さなくていいからさ」

 という施策である。まだ中身が決まっていないが、その心意気は爽快だ。

 そもそも銀行とは、当面使い道のないお金を持っている人や企業からお金を集め、いまお金を必要としている企業や個人に回すのが仕事だ。こうしたお金の流れがあるため、手元にお金はあまりないが、成長するアイデアと技術力を持った企業がお金を借りて必要な機械を買ったり、工場を造ったり、研究開発を進めたりして成長する。経済はこんな仕組みで成長する。

 だから、すぐれた銀行家は、お金を貸す相手企業の経営者を見る。こいつなら大丈夫、こいつの夢を支えてやりたい。そう見極めてお金を貸す。経営の至らないところに口を挟む。一緒になって取引先を開拓する。それも銀行家の仕事だ。ともに事業を育てる。銀行家とは、本来なら明日を作る一翼を担う仕事である。

 「今期は資金繰りが苦しい? 社長にいわれちゃしょうがないね。この事業、ここでつぶすわけにはいかないもんね。分かった。返済を待ちましょう。追加融資はいりませんか?」

 すぐれた銀行家は、そんな話をしたはずである。

 ところが、いつの頃からか自分の利益だけを考え始めた。
 追加融資? あんた、何いってんの。お金って、借りた分を返してから貸してくれっていうもんでしょ。うちも困ってんのよ。あんたんところが返してくれないから不良資産が増えちゃって、監督官庁から指導を受けてんの。不良資産を減らせって。だから、返してよ。えっ、追加融資がないと倒産する? 同情はするけどね、いま、うちもそれどころじゃないの。そんな話にいちいち取り合ってたら、うちもどうなるか分からないんだから。とにかく、貸したお金、月末までに耳を揃えて返してよ。返さなかったら担保、差し押さえちゃうから。

 貸し渋り、貸しはがしが横行した1990年代後半、そんな話を聞かされた中小企業が多かったに違いない。
 で、そうまでして己の経営健全化に取り組んだ銀行はどうなったか? 軒並み経営が悪化し、巨額の公的資金、つまり税金で助けられるに至った。預金者からお金を集めて企業に貸し出し、経営を助けるのが仕事の銀行が、納税者から集めたお金で助けられたのだ。記憶に新しいところである。忘れていた人は、もう一度しっかりと記憶しておきましょう。

 まあ、それはいいとしよう。何しろ銀行とは、資本主義社会にはなくてはならない存在らしいのである。本当かどうかを確かめたことはないが、ここは通説に従っておく。

 しかし、である。助けられた身であるなら、助けられるありがたさは肌にしみこんだはずである。今回は助けられた。次は私が助ける立場になりたい。そう決意するのが人の道ではないか。いや、そこまで大げさに考えなくてもいい。そもそも、お金で人助けするのが銀行の本業だ。

 ところが、だ。リーマンショックで引き起こされた不況で、またまた銀行は貸し渋り、貸しはがしに手を染めているらしい。

 おいおい、あんた、前非を悔いてはいないの? 苦しいときの神頼みだけで、楽になったら柏手も打たないの?
 と私は思う。いや、そう思っている人は他にもいると思う。

 そこで亀井さんである。亀井さんも、どうやら私と同じ結論に達したらしい。その上、彼は金融相という立場にあり、権力がある。

 「おい、銀行さんよ。不況で困り切っている中小企業を助けるのがあんたたちの仕事だろ? 助けないの? 助けたくないの? 青息吐息のとき、国民の税金で助けられたのを忘れたの? そんでも、やらない? 人間の心、持ってる? 赤い血が流れてる? やっぱり、やらない? 分かった、もういいよ。あんたたちがやらないんなら、権力を持った俺が、あんたたちにやらせてやる。モラトリアム、やっちゃうぜ!」

 以上は、私が翻訳した亀井モラトリアム発言である。名訳か、誤訳か、悪訳かの判断はお任せする。 

 その亀井さんが、またまた問題発言をした。

 「殺人事件の半分以上が親子兄弟夫婦の殺し。こんな国は日本だけだ。人間を人間扱いしないで利益を上げるための道具としてしか扱わなくなったからで、大企業が責任を感じなきゃ駄目だ」

 この発言はNIKKEI NET から拾ってきたが、まあ、大筋こんなことを言ったらしい。賛否両論が出ているらしいが、私は断固支持する。

 小泉政権下で、景気は回復しているといわれた。麻生元首相も、政府の景気対策で景気は上向いているといった。
 それはいい。確かに、経済指標はそうなっていた。だけど、向上していなかったものがある。国民の暮らしだ。企業は利益を上げても、利益は株主に、内部留保に、そして経営者の報酬アップ=企業の業績を回復させたご褒美=にしか回らず、従業員は取り残された。
 人件費が抑制されたのは従業員だけではない。従業員以下の立場にしか置かれていない派遣社員、アルバイトが企業としての利益を上げるための調整弁として使われた。必要がなくなればポイである。従業員は給料が上がらなくても、いや下がっても、仕事だけはあった。派遣社員、アルバイトは仕事も奪われ、暮らしを奪われた。仕事が、収入がなくなって、どうやって生きていけというのか?
 そんな手段でため込まれた利益が、株主配当と、内部留保と、そして経営者の報酬アップに姿を変えた。

 「景気を回復させるには、まず企業業績を回復させねばなりません。企業の業績が回復して初めて、従業員の懐も暖かくなるのです」

 と唱え続けた麻生政権は、選挙で大敗した。そりゃあそうである。

 「あんたそういうけどね、ちっと前、うちの会社の業績は回復したけど、俺の給料はまったく増えなかったぜ。いや、よくよく計算したら減っちゃってたんだよ」

 そんな実感、経験を持った有権者が五万といたのだ。自民党の景気対策は絵に描いた餅、理論倒れだよ。まったく頼りになんない! だから民主党に投票した。そんな有権者が沢山いたことは、容易に想像できる。

 そうして生まれた新政権で、亀井さんは自民党時代の非を指摘し、自民党と歩調を合わせてきた企業の無責任さを撃ち、快進撃を続ける。その言葉はやや乱暴だが、中身は我々の実感にきわめて近い。
 と私は思う。

 亀井さんのご面相は怪異である。この人が政治家として悪の限りを尽くしていた、という資料が出てきても、

 「ああ、やっぱり。あの顔見たら、そうだよね」

 といってしまいそうなご面相である。
 でも、金融相になってからの一連の発言は、実にまともだ。弱い者の味方・鉄腕タートル、ぐらいの尊称を奉りたくなる。

 頑張れ、鉄腕タートル!

 そうそう、これから季節もいいし、背広にネクタイなんてダサイ格好はよして、タートルネック姿で颯爽と飛び回って頂いたら、さらに10点加点してあげようと、この安堂は思い定めている。

 

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