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 2009年10月18日 既視感

 NHKって、どうしてこんなに予算編成が好きなのだろう? ここ数日、朝のニュースも夜のニュースも、私の記憶によると、トップニュースは来年度の予算編成ばかりである。各省の概算要求が、これほど繰り返しニュースになったのは、ひょっとしたら開闢以来かもしれない。

 NHKニュースの熱心な視聴者の1人である私だが、そろそろ飽きた。大好きなてっちりだって、毎回毎回食卓に上れば、

 「今日は湯豆腐の方がいいな」

 という気分になる。あの原宿の小菊で、ひと冬に30回もふぐ料理(てっさ、てっちり)を食べて以来、ふぐを食べたいとほとんど思わなくなった私がいうのだから、間違いない。今日はてっちりだったら、明日はアンコウ鍋、次の日は寄せ鍋、翌日は、お金がなくなったから豚しゃぶ、それもバラ肉がいい、という程度の工夫をNHKには求めたい。

 どうやらNHKは、 来年度予算の編成で民主党政権の鼎の軽重を問おうとしているようだ。狙いは理解できないでもない。だが、ほとんど中身は変わらないのに、朝も夜も翌朝も概算要求をトップニュースにし、馬鹿のひとつ覚えのように、

 「95兆円、95兆円」

 と叫ぶ。
 ちょいと立ち止まって、ふぐを食い飽きた視聴者の身に思いを馳せるゆとりをNHKに求めるのは、無い物ねだりだろうか。

 それはそれとして。
 その予算編成で、民主党にややがっかりしている。

 これまでの民主党には胸のすく思いをしてきた。八ッ場ダムを凍結し、高速道路の建設にストップをかけ、羽田のハブ空港化を打ち出す。多くの人がそうした方がいいと思っていたのに、自民党政権ではできなかった。政権交代とはこういうことかと、深く納得した。

 それなのに、である。予算編成で見せているドタバタ劇は、いったいどうしたことか。

 民主党は、自民党の予算の無駄遣いを厳しく批判して政権の座についた。であれば、政権を取って最初の予算編成で、自民党が積み重ねてきた無駄をバッサバッサと切ってこその民主党政権であるはずだ。
 ところが、なかなか切れない。切れないところへ、マニフェストで国民に約束した公立高校授業料の実質無償化、子ども手当などの新しい政策に必要なお金が乗っかるものだから、麻生政権が編成した今年度当初予算を上回る概算要求総額になった。
 現実を見る限り、そうとしか思えない。

 いや、それだけで民主党に不安を覚えだしたのではない。何しろ彼らは、まだ政権を取って1ヶ月少々である。にわか仕立て大臣、副大臣が、担当する省庁のすべての仕事に通暁しているはずはない。知らない分野については、官僚どもの言いなりにならざるを得ないことだってあるだろう。何しろ、始めて政府の中に入った方ばかりなのだ。しばらくは官僚の口車に乗せられたって仕方ない、とは思う。

 だから、恥ずかしげに

 「ああ、増えちゃった!」

 と謝るのなら分かる。許せる。許せないのは、各省庁の大臣、副大臣、政務官になられた方の何人かが、

 「これ以上は1円たりとも切れない!

 と胸を張っておっしゃっていることである。今日のNHK午後7時のニュースでも、山田正彦という、あまり知性を感じられないご面相をした農水省の副大臣がそうおっしゃっていた。

 おいおい、それはないだろう!
 そんなコメントは、自民党政権のときに耳にたこができるほど聴かされた。あんたのコメントは、私に既視感を誘う。あんたら、1円たりとも切れない、という予算を、無駄の塊と批判してなんじゃなかったっけ?

 それだったら、自民党を弁護せざるを得ない。
 自民党だって、予算を膨らませていいのなら、高校授業料だってただにしたかったろう。子ども手当もはずみたかったろう。高速道路をただにするだけでなく、走った人から抽選で1万人に100万円をプレゼントする、なんてこともやってみたかったかもしれない。やってたら、今度の選挙でも勝っていたかもしれない。
 でも自民党はやらなかった。予算の総額を膨らませないために金のかかる施策を切り落としてきた。国の財政が逼迫していることを重々承知していたからだ、と甘い採点もしたくなる。

 自民党なりに切りつめた予算を、民主党は無駄遣いと批判し、政権の座に着いた。だったら、自民党政権が積み重ねてきた無駄を数多く見つけ出し、我々の前に並べるのがあなた達の責務ではないのか? 
 麻生政権の予算より膨らんでしまった概算要求総額を恥ずかしく思う様子もなく、のうのうと

 「これ以上は1円たりとも切れない」

 なんて、どの面下げたらいえるのか? 
 こんな副大臣がまかり通るようでは、いまの政権は自民党政権と何も変わらない。いや、自民党政権以下である。

 繰り返す。
 民主党政権の責務は、自民党政権が既得利益に縛られて手をつけられなかった税金の無駄遣いを洗い出し、

 「ほら、自民党はひどいことをやっていたんです。あなたが払った税金をこんなに無駄遣いしていたんです。我々が見つけました。政権交代して良かったでしょう!」

 と国民に示すことなのだ。それができなければ、政権が変わった意味はほとんどない。


 さて、今日は佐野のアウトレットに買い物に行った。

 「仕事用のズボンが2本ほしいのよね」

 と妻が宣うたからである。最初は

 「去年はいていたヤツがあるだろう。それでいい」

 と突き放したが、まあ、私の服を買うのが趣味のひとつであるようなヒトである。いたずらに抵抗するのはやめて、付き合った。いや、専属運転手を務めた。

 「どの店に行く?」

 アウトレットについて問うと、

 「GapBrooks Brothers

 との答えが返ってきた。

 「おい、 多くがありがたがってるが、Gapってアメリカのユニクロだぞ」

 と解説すると、

 「じゃあBrooks Brothers
 
 という。これで目的店は決まった。妻を入り口に残し、車いすを借りにいった。妻は長い距離は歩けない。

 車いすを押して、Brooks Brothersに入った。

 「これでいいわ」

 妻がいった。見ると、3本で1万5750円のズボンだった。えっ、俺、5000円のズボンをはいてあちこちの偉いさんに会いに行くの? とは思ったが、まあいい、それで彼女が満足するのなら、私に異論はない。私は、どんな偉いさんに会うのにも、ネクタイすらしないのだから、ズボンが5000円だって、1000円だって変わりはない。

 ということで、1万5750円でズボンを3本買った。630円のソックスも3足買った。
 
 「ジャケットもほしいんだけど」

 と言い出した妻を押しとどめ、ほうほうのていで帰路についた。
 これまでの妻の習性からして、明日は、今日買ったズボンと靴下を身につけるんだろうなあ……。

 そうそう、我が家ではギター熱が盛り上がっている。といっても、私のギター練習の話ではない。

 数日前のことだ。

 「アコギ(アコースティック・ギター)を買い換えるんなら、子孫にまで渡せるヤツじゃないとだめだからね」

 と突然妻が言い出した。

 「楽器は値段よ。安いのはだめ」

 と付け加えた。
 脈絡のない話を突然始めるのは、妻の得意技である。

 そりゃあ、私だっていいギターがほしくないことはない。だけどなあ、定年退職後の安月給の暮らしで、なかなか言い出せるものではない。だから、匂わせたことはあったが、買いたいといったことはない。それが、突然の大蔵大臣、違った、財務大臣コメントである。
 最近、私がギターを習い始めて、よく練習していることの余波らしい。そういえば、妻も時々ギターに触っている。

 てなわけで、土曜日に、太田の島村楽器までギターを見に行った。値段といえば、ブランド品である。麗々しく飾ってある、あこがれのMartinにさわり、音を出した。
 気に入ったのがあった。D-41。希望小売価格は61万9500円。値引き後の価格も40万円強だ。

 「ギター1本に40万円?」

 私の価値観は、私にまともな判断を下せという。

 「40万円あったら、50インチのパナソニック製プラズマテレビと、ヤマハのシアターラックシステムを買って、まだおつりが来るぞ!」

 それがまともな判断、ではないのか?
 だが、妻はいう。

 「楽器は値段よ。子孫の代まで引き継げるギターじゃなきゃ」

 どうやら、雲行きは購入の方向に向かっている。  
 まっ、いいか。歩くのが不自由で、1人ではほとんど外出もできない妻である。毎月1回の、前橋日赤での診察、投薬がなければ健康を保てない妻である。
 元気なうちに楽しんでもらうのも、悪いことではない。大量の金銭が必要になるのが、問題といえば問題だが……。

 通っているギター教室を経営している楽器店に話してみた。

 「うちの方が安くできますよ!」

 それはありがたい。見積もりを作ってくれるという。明日はレッスン日。見積もりは明日出る。

 「ホントに買うかどうかわかんないよ」

 と、念は押した。が、どうやらホントになりそうな勢いだ。
 世はあげて不景気、という昨今なのに、1人しかいない稼ぎ手が定年後に入ったというのに、我が家は、何故か突然のバブルに突っ込みそうである。

 

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