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 2009年11月20日 瑛汰、帰る

 このホームページの更新を心待ちにしている方々に、悪いことをしてしまったと反省している。 もちろん、そういう奇特な人がいればの話だが。

 なにしろ、前回の更新が4日。それから半月がたった。この間、まったく原稿を書いていない。当然のことながら我がホームページへのアクセスは徐々に下がった。あれまあ、でも、そんなもんだよな、と思っていたら、不思議なことに15日から回復し、日々増えて18日には300件に達した。

 「更新もしないのに、どうしてアクセスが増える?」

 謎である。

 「安堂はマスターベーションを覚えたと一緒。いつまでも書かずにいられるはずがない。そろそろ更新しているはずだ」

 という期待の表れであると受け止めているのだが、事の真偽は不明である。
 現実は、世の中には時間をもてあましている人が沢山いるだけのことかもしれない。ご期待に添えない時間が長きにわたって、本当に申し訳なかった。


 さて、長い間ホームページを更新できなかったにのは、もちろん、深いか浅いかは別として、わけがある。

 次女が懐妊した。瑛汰に続く2人目の子どもをもお腹に宿した。それだけならめでたい話なのだが、どうにもこうにもつわりがひどく、食べ物が喉を通らない。一方で、3歳の瑛汰は元気いっぱいで、飽きもせずに

 「ねえ、マイケルさんの話をしようよ」

 「瑛汰はマイケルさんなの」


 と、マイケル・ジャクソンに頭のてっぺんまで浸かり込み、朝目覚めるとマイクを握りしめ、マイケルハットやマイケルジャケットを駆使しながら

 「So beat it, just beat it」

 などと歌いながらダンスを交えてマイケル・ジャクソンになりきる。
 つわりで、何も食べないのにゲボゲボ吐き続ける母親と、ぐったり横たわる母親を尻目に朝からマイケルさんを演じる息子。これほどチグハグな組み合わせもない。
 というわけで月初めの4日、2人が我が家にやってきた。次女からすると、我が家に避難してきた。

 その2人がやっと本日、迎えに来た旦那の車に乗って横浜に戻った。
 この間、私は瑛汰と誠実に付き合い続けた。なにしろ、瑛汰と私を除けば、ゲボゲボを繰り返す次女と、病気のデパートである妻しかいない。私が瑛汰の養育係になるしかなかったのだ。
 朝は仕事に連れて行く。仕事が暇な日には動物園を覗く。一緒に風呂に入り、夜は瑛汰と同衾する。せっかく同衾するのならあの娘がいいと、と思わぬでもないが、そういうハッピーな選択肢は与えられていない日々であった。

 夜9時か、遅くても9時半には瑛汰と布団に入る。時には

 「瑛汰、ボス嫌い。ママと寝る」

 とぐずることもあったが、そのママがゲボゲボやっているのだから、それを許すわけにはいかない。

 「ボスいやだ。ババと寝る」

 と泣いた夜もあったが、病気のデパートが瑛汰に添い寝できるわけがない。なだめ、すかし、脅し。あらゆる手だてを駆使して私が瑛汰と同衾するしかない。
 布団に入り、絵本を読む。それで寝てくれればいいのだが、つぶらな瞳は閉じないまま。

 「ねえ、お話ししよう」

 というのが通常だ。当初は桃太郎を話して聞かせた。回数が重なると、瑛汰も飽きてきた。そんな瑛汰に、

 「何のお話がいい?」

 と聞く。

 「マイケルさんの話しよう」

 とくる。

 「ボスは知らないよ」

 と受け流すと

 「あのねえ、マイケルさんは犬に優しいんだって。瑛汰もリンちゃんに優しいよ」

 どこで仕入れたのか、そんな話をしながら、いつしか瑛汰は眠りにつく。そのころになると、私も布団の温もりがありがたくなり、起きあがるのがおっくうになる。ホームページを長く更新していないという思いはあるのだが、

 「原稿なんて、気力が充実いていなければ書けないもんだ。こんな気分で日誌を書けるはずがない」

 との言い訳が頭に浮かぶ。そして、いつしか私も眠りにつく。そんな毎日だった。
 以上をもって、読者は了とされたい。


 さて、今日買ってきたビッグコミック・オリジナルを読んでいたら、「浮浪雲」でこんなせりふにぶつかった。

 「けっ、人の心を見たければ患ってみろっていうけどさ……」

 娘よ、私の心は見えたかね?

 見えない? ああ、そういえば、妊娠って、患いじゃあなかったな……。

 

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