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 2010年1月15日 湊屋藤助

 昨夜は、自主企画「湊屋藤助を飲む会」だった。
 湊屋藤助とは、「らかす」をと見続けて頂いている方には、既知の酒である。東京・原宿の「小菊」で供される日本酒だ。

 桐生から東京に出向いた折りに「小菊」を訪ね、桐生土産を届けたら、お返しに1本いただいた。
 昨年末には、またまた「小菊」のお母さんから1本届けて頂いた。

 だが、日本酒の1升瓶というのは、なかなか取り扱いが難しい。封を切ると、毎日飲み続けないと中身がおかしくなる。だが、毎日美味しい刺身が食卓に並ぶわけがない。ついつい、

 「今日もビール」

 となる。ビールとは、和食、洋食を問わずに飲める不思議な酒なのだ。

 というわけで、我が家の湊屋藤助は、封をしたまま保存され続けていた。うち1本は、正月に遊びに来た長男が、

 「俺、2日に友達集めて飲むんだけど持って行っていい?」

 と、私が了解を与える前に持ち帰った。まあ、いい。かくして、我が家には湊屋藤助が1本、存在し続けた。

 酒とは飲むためのものである。飾って眺め続けても御利益は何もない。

 「だからさ、飲もうよ。俺が一番好きな酒」

 という私の誘いにうかうかと乗ったのは3人。全員が酒好き、美味い物好きの公務員である。

 「で、申し訳ないんだけど、湊屋藤助を持ち込んで飲んでもいいという店を探してくれる?」

 彼らは、当然私より地元情報に強い。という次第で、昨夜を迎えた。

 まず、常温で飲んだ。いまいち切れがない。

 「この店、デカンタあるかな?」

 デカンタを借りて、氷で冷やす。

 「安堂さん、美味いわ。この酒、いい!」

 この酒は私が持ち込んだ。彼らはそのコストをいっさい支払わない。だから、お世辞いってる? と疑わないこともないが、とりあえず素直に聞いておこう。

 「職場での飲み会に、先日、地元の酒、赤城山を持って行ったんですけど、評判がいまいちで。安堂さん、この酒手に入ります? これだったらみんな喜ぶと思うんで」

 おだてられれば豚でも木に登る。私は豚ではない(外見を除けば)が、その場で「小菊」のお母さんに電話をした。

 「ということなんだけど、申し訳ないんだけど、湊屋藤助を半ダース、送ってくれる? 着払いでいいから」

 私の大好きなお母さんは、二つ返事で引き受けてくれた。1週間もすれば湊屋藤助が6本、我が家に届く。

 という夜。集ったのは、私とリズムを共にする友ばかり。いくら湊屋藤助を真ん中に置いていても、黙々と飲むわけがない。前日に引き続き、談義は避けられない。

 桐生再生には何をすべきか。

 ――桐生の再生プランをいくつも読んだ。あんなプランは井の中の蛙にしか書けない。

 では、何を?

 ――一度桐生を突き放すべきだ。世界地図の中に桐生を置き、そのポジショニングを確認しないことには何も始まらない。同時に、もっと桐生にこだわらなければ。どんどん深堀して、桐生のコア・コンピータンス、核になる競争力を見いださなければ施策は書けない。

 頑張っているんですけど。

 ――悪いが、役所で本当に仕事をしている人間が何割いるのだろう? 1割? 2割もいないんじゃないか? 自分の町のことなのに、悲しいね。

 
 俺、経営コンサルタント、自治体コンサルタントでも食っていけるかもしれない。

 談義は、あっちにはずれ、こっちに行きすぎ、再び桐生い戻り、次の瞬間にアフリカに飛んでいく。談論風発とは、このような状態をいう。

 「でも、いいね」

 と1人がいった。

 「仲間内で飲んでると、話のほとんどが上の悪口だもんね。湊屋藤助を飲みながら、爽快な議論をする。ほんとにいい酒だよ、これは」

 役所とはストレスのたまりやすい職場のようである。
 時計を見ると、針は11時を回っていた。藤助はとうに空になり、ぬる燗の徳利が10本近くテーブルに寝ていた。

 「湊屋藤助が届いたら連絡するからね。またやりましょう」

 運転代行を呼んで帰宅した。
 昨夜も、いい酒だったのである。

 

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