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 2010年2月7日 銀世界

 「ボス、見て、見て」

 昨日から1泊で遊びに来ていた瑛汰に起こされた。

 「雪だよ、雪」


 言われて窓外に目をやると、銀世界が広がっていた。

 ん? 桐生って、ほとんど積雪しない土地柄ではなかったのか? ここに来て、ほとんどの人にそんな話を聞いた記憶があるが。
 ま、ほとんど、はほとんどである。絶対、ではない。こんなこともあるのだろう。

 「ね、遊ぼ!」

 瑛汰に促され、急ぎ着替えをして外に出る。

 「雪だるま、作ろうか」

 軍手で保護した両手で雪をぐっと握りしめる。雪だるまの核になる雪玉を作るためだ。作った雪玉を雪の上で転がし、少しずつ大きくする。雪だるま作りの常道である。
 ところが、雪玉ができない。降り積もった雪はサラサラしたパウダースノーである。

 へーっ、桐生の雪は北海道質なんだ。

 それでは、とバケツに雪を詰め込んだ。ギュッ、ギュッと押し固め、バケツを逆さにして取り出す。

 「瑛汰、ほらできたぞ。ほら、この小さいヤツを上に乗せて、かっこわるいけど雪だるまだ!」

 遊びながら、道路が心配になった。
 昨日から来ていたのは、長男夫妻と次女、それに瑛汰の4人である。長男の運転する車で昼過ぎに着いた。どうやら、リンが死んだことによるペット・ロス症候群を心配しての来桐らしい。もちろん、心配されたのは私ではない。妻である。私は、ペットが死のうが何が起きようが、まったく動揺しない機械人間と認識されているらしい。

 ま、彼らの認識がいかなるものであるかは私のあずかり知るところではない。それが実態と大きく乖離していても、だる。同様に、この雪で道路がどうなっていようと、外出の予定がない私にはどうでもいいことである。なのに、

 「明日は仕事だよな。息子たちは帰ることができるんだろうか?」

 と心配してしまう私は単なるお人好しである。
 車通りの多い県道67号線を見に行った。路面が凍結している。

 「こりゃ危ない。電車で帰すか。車は来週取りに来ればいいだろう」

 そんなことを考えながら、瑛汰に雪玉をぶつけ、瑛汰にぶつけられ、朝食を挟んで車に降り積もった雪を降ろし、おそらく、生まれて初めて見る大量の雪に興奮する瑛汰に付き合っているうちに、何だか温かくなってきた。気温が上がっているらしい。

 再び67号線を見に行った。道路に残る雪はわずかで、もう路面が乾き始めているところもある。そして、昼前後にはあれほど大量に降り積もっていた雪が、我が家の庭からもほとんど消えた

 昨夜、長男と深夜まで酒を飲んでいたときは、雪は降っていなかった。なのに、目が覚めると一面の大地、屋根、車に雪が厚く積もり、それから3、4時間でほとんど姿を消す。なんともせわしない雪だった。

 昼、「高はし」に蕎麦を食べに行った。桐生で最高の蕎麦屋である。高はしの駐車場にはまだ残雪があった。再び瑛汰と雪で戯れた。雪玉をぶつけられ、お返しに瑛汰の顔をゆきだらけにし、瑛汰の楽しそうな笑い声を何度も聞いた。

 瑛汰たちはそのまま帰っていった。
 私は自宅に戻り、昼寝をした。昨夜は、少々飲み過ぎたか?

 目が覚めて散歩に出た。 もうセーターなど着ていられる気温ではない。シャツに綿入りジャケットを引っかけて40分ほど歩いた。汗がしたたり落ちた。
 桐生の春は、それほど遠くない。

 

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