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 2010年2月20日 春めいて

 来た、と感じたのは、朝、起き抜けに散歩しながらであった。
 目覚めて、部屋の窓を開け、外の気温を確かめる。寒くない。これなら、セーターを着て歩いては汗だらけになる。
 下着とシャツと、それに綿入れのジャンパーを着て散歩に出た。休日は強めの散歩である。

 10分も歩くと汗が出始めた。15分でジャンパーを脱ぎ、シャツ姿で歩く。奇異の目を向ける輩がいる。
 いいの、いいの、俺、暑いんだから。あんたら、歩いても暑くならない? 汗、出ない? ああ、内燃機関が劣化してるんだ。クエン酸サイクルが止まってるよ。だから、夏場でも冷える、冷えるとわめくんだよ。
 体温が低いと免疫が落ちるらしい。気をつけた方がいい。ショウガがいいらしい。沢山食べな。これ、俺からのアドバイス

 朝食を終えて、再び外の気温を確認した。

 「暖かいや」

 セーター姿で外に出た。洗車をしようというのである。なにしろ、この間の雨、雪で愛車はドロドロ。美しいダークグリーンが黄土色になりかけている。当面の天気予報だと、しばらく好天が続くらしい。久々に訪れた洗車のチャンスなのだ。

 車を見る。ありゃ、屋根とボンネット、フロントウインドにが張っている。そんなに冷えてるか? 車載の外気温計を見る。えっ、3℃? そんな……。それって、まるでじゃん。春めいてきた、と感じた私は何者?

 が、ここまで来たら勢いは止まらない。高圧洗浄機を持ち出し、勢いよく水をかける。屋根から、ボンネットから、氷が流れていく。いかん、指がかじかんできた。俺の感じた春はどこへ行った?

 かじかんだ指で車のボディを触ってみる。ザラザラする。しっかりとこびりついた汚れは高圧洗浄機如きでは落ちないらしい。仕方ない。シャンプーするか。
 バケツに湯を入れ、洗剤を溶かす。スポンジを浸してボディーを洗う。洗い終えると再び高圧洗浄機を持ち出し、潜在を吹き飛ばす。

 「掃除機もかけるんでしょ?」

 妻から声がかかった。これを問いかけ、あるいは疑問文と解釈してしまうあなたは、まだ人間として幼稚である。文法上は、確かに疑問文である。会話の中で使用すれば、問いかけということになる。が、現実に果たしている役割は、命令文以外の何者でもない。
 かくして女は男を使役する。この機微がわからないあなたは、永遠に男と女の関係を理解できないとあきらめてほしい。

 いわれるまま、掃除機で車内のゴミを吸い取り始めた。トランクから始まって後部座席、そして前部座席。狭い車内で掃除機の位置を変える時、ひょっとしたら腰をひねってしまったか?

 「腰が痛い」

 と感じたのは車を洗い終わって屋内に戻ってからである。腰、特に左腰に異様なこわばりがある。

 「これはいかん」

 あわてて、「パテックス フェルビナク メントールローション」を腰に塗る。かつては医者の処方箋なしでは手にすることができなかった医薬成分、フェルビナクを3%含む優れものである。効く。最近手放せないものの1つだ。

 が、腰痛とはその程度で矛を収めてはくれない。しっかりと私の左腰に陣取り、車の乗り降りも辛いほどである。夕方の散歩はあきらめた。

 「おい、風呂を早めに沸かしてくれ」

 男は、命令文は命令文として発語する。疑問文の形を取りながら命令文を発する女と比べれば、男は単純で可愛い

 今日は腰湯、と決めて20分ほど腰を温めた。風呂を出ると、すぐに「パテックス フェルビナク メントールローション」を腰にたっぷり塗り込んだ。

 いま、何ともいえぬ腰の不快感と戦いながらパソコンに向かう。私は何故書くのか? 私は何を書くのか?
 腰の痛みは、そんな哲学的な問いも呼び起こす。
 ねえ、こんなに腰が痛いのに、俺って、なんで日誌を書き続けてるんだろ?

 今日は早めに横になった方がいいようだ。そろそろ布団に入る。明朝、腰を気にせずに起きあがれるかどうか。明日からのQOL(Quality of Life) はその一事にかかる。

 うん、寝る前に「パテックス フェルビナク メントールローション」をもう1回塗っておこう!

 

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