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 2010年3月16日 他人の痛み

 貧しさとは、貧しい暮らしを強いられるまで分からない。
 痛みとは、自分で痛い目に遭うまで理解できない。
 それが人間の限界である。

 そんなことはずっと昔から分かってる。そう思ってきた。しかし、私も頭で理解しただけの中途半端人間だったなあ、と最近思っている。

 目がかゆい。鼻水が出る。
 数日前の日誌で、スギ花粉症であることが発覚したとご報告した。
 ご報告しながら、じつは花粉症という病を軽く見ていた。スギ花粉症のアレルゲンが、クラス6まであるうちのクラス1、しかも下の方しか出なかったことも、軽く見た要因の1つである。

 ところが。
 昨日から様子がおかしい。やたらと鼻水が出る。すすり上げて、口腔内に取り込み、ティッシュに何度吐き出したか。薄い黄色に色づいた、粘ついた鼻水をティッシュに来るんで捨てた。
 それだけならまだいい。昨日は、後頭部が重くなった。時折、ピリピリッとした痛みも走る。頭痛、偏頭痛と呼ぶほどではない。だが、何となく重くて、ほんの少しばかり痛むのである。
 へーっ、花粉症って、こんな症状が出るのか。

 これまで私は、花粉症とは無縁だった。この季節になると、水中眼鏡のようなごつい眼鏡をかけ、鼻から口まで大きなマスクでガードした人を沢山見かける。一目で、花粉症患者、と分かる出で立ちである。

 「あ、ご苦労さん。大変だね。ゴールデンウィークが開けるまでその格好なんだね」

 「おいおい、姉ちゃん。それじゃあ、あんたが美人なのかそうでないのか、判断できないではないか。どうしてくれる!」


 と軽く受け流していた。
 花粉症が、レベル1の、しかも下の方でもこれだけの症状を引き起こすことを知らない脳天気な人間であったことを、いま、思い知った。
 あの、水中眼鏡をかけて、大きなマスクで顔を覆っている人たちは、どれほどの痛みと不快感を感じているのだろう? いいよ、いいよ、自分の美しさをアピールするより、この季節は花粉症からどう逃れるかの方が大事だよね。
 私は、少し優しくなった。病が出るのも、まんざら悪いものではない。
 
 妻に

 「おい、花粉症って、頭痛まで引き起こすのか?」

 と聞いてみた。家庭内での軽い話題のつもりだった。思いも寄らない反応が返ってきた。

 「年とってからの花粉症って、たいしたことないんだって。娘がいってたわよ」

 それって、あれか? この程度のことでガタガタ言うなってことか? ただ尋ねただけなのに、どうしてそんな言い方をされなきゃいけない?
 私は、自宅内になる事務所にこもった。

 夫婦の会話って、どうすれば上手く流れるのかね?

 

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