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 2010年3月26日 送別会

 昨夜は、4月1日付で群馬県を去る同僚の送別会が前橋で。1人は山口へ。もう1人は長崎が目的地。
 そういえば、もう3月も末。寒い日が続くが、もうそんな季節である。

 「今回の転勤、妻が怒りまして。はい、単身赴任です」

 「結婚したばかりなのですが、妻が仕事をしているので1人でいきます」

 ことほど左様に女性が強い時代を代表する2人を送る宴が、前橋市内の居酒屋で開かれた。桐生からタクシーで参加するのはちと面倒だが、仕方ない。旅立つ2人を送るのは残される者の務めである。

 安っぽい料理と飲み放題のアルコールで宴は恙なく終わった。が、途中でハプニングが。

 「あっ、すいません。大丈夫ですか?」

 店員の声がするので目を向けると、店員が持つ盆の上で生ビールのジョッキが横たわっている。どうやら倒してしまったらしい。その勢いで、本来は胃袋に収まるべき生ビールが空中に逃れ、一部が私の前に座っていた同僚のズボンに襲いかかったようだ。

 「このおしぼりで。大丈夫ですか?」

 即座に私は言い放った。

 「おい、君。今日は高級な服を着ているな。そのズボン、クリーニング代は2万円ぐらいする?」

 店員が去った。隣に座っていた同僚がいった。

 「安堂さん、やばいっすよ。店員、ビビってますよ」

 ユーモアを解さないヤツである。

 「あのねえ、クリーニング代を2000円といえば脅しになるの。でも、俺、2万円っていっただろ? 2万円といわれて本気にするヤツいる? ジョークだと思うに決まってるじゃない」

 ユーモアを解さないヤツがいった。

 「いや、普通はそうですけど、ヤクザなんか平気でふっかけますから。安堂さんのジョーク、強烈すぎますって」

 間もなく、おしぼりをいっぱい抱えた店員が私のそばに座った。そして、ズボン被害にあった同僚におしぼりを手渡しながら、私の耳元でいった。

 「クリーニング代、ご用意しますから」

 ……。ん? 俺たち一行、ヤクザに見えたか? ヤクザが、こんな安っぽい店で宴会開くか? 不況の世で会ってみれば、ないこともないという気はするが。
 
 同僚がクリーニング代をお断りしたのはいうまでもない。身につけていたズボンがその程度のものであったことも事実であるが。

 
 まだ体内にアルコールが残った状態で今朝、メールを開いた。おしかりのメールが入っていた。

 「男というのは何なの?  何年ぶりでお母さんに会ったの? お元気で何よりだけど行きも帰りも慌ただしい様子だけでがっかりした」

 いや、母に会ったのは昨秋以来です。オヤジの最後の法要だというので帰郷したものですから。
 あわただしい、っていわれたって……。金曜まで仕事。火曜日から仕事、であれば、ゆっくりなんかできませんもの。はい。

 「すぎもとまさとの『吾亦紅』の世界のような母に対する思い、ないんだんあ」

 ごめん。私、すぎもとまさとって知らない。「吾亦紅」って、読めない

 「プレゼントもろくにしていないなんて。こんな息子のために働いて働いて。ちょっと悲しいねえ」

 あのー、妻を通じて盆暮れの贈り物はしておりますし、時々、セーターやらカーデガンやら送っていたようでして、私任せっきりでした。私の口座のクレジットカードも持たせてありますし。
 そうそう、ここ数年、我が母は、正体不明の自称慈善団体に幾ばくかの寄付を続けていたらしく、母と同居している弟家族が困っておりました。そこで昨秋帰郷した折、

 「馬鹿なことはやめろ」

 という代わりに、

 「困った人を助けたいというのは立派なことである。だからこそ、身元のはっきりした団体を通じないと、出したお金が、困った人に本当に届いているかどうか分からない。次回からは、孫に相談しなさい。孫が『ここなら大丈夫』というところだったら、ゆとりがあれば寄付してもいい。老いては子に、いや孫に従うものです」

 といっておきました。ひょっとしたら、私の金が正体不明の団体人がれていたのかもしれません。

 にしても、我が母に成り代わって、不肖の息子をおしかりいただき、ありがとうございます。
 メールでお返事しようかと思いましたが、本日の日誌をもって弁明に変えさせて頂きます。悪しからずご了承ください。

 と、私信を公開したところで本日はキーボードを置く。ではまた。

 

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