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 2010年4月19日 添い寝

 週末、横浜に戻った。

 「草取りに行くからね」

 と妻にいわれたのは1週間ほど前。横浜の、現在は次女一家が住んでいる家の、猫の額ほどしかない裏の空き地に、雑草が生い茂っているのだという。

 「自分で草取りすればいいだろう。なんでわざわざ横浜まで」

 といってははみたが、なんでも、次女は間もなく臨月で草取りができないのらしい。言葉を重ねようと思ったが、思い込んだらてこでも動かない相手である。無駄な言葉は省いた方がよろしい。

 それに先日、瑛汰が

 「ボスですか? あのですね、瑛汰はですね、まっすぐなお箸が使えるようになったんですよ。ベビーちゃん用のお箸じゃなくなったんですよ」

 といってきていたこともある。瑛汰はご褒美に、紙芝居をねだっていたのだった。横浜に行けば、ご褒美を買ってやれる。

 というわけで、前夜というか、明け方というか、に降った雪が残る中、土曜日午前9時頃桐生を出た。無論、特に横浜に行かねばならぬ用事はない私は専属運転手である。

 天気がぐずついていたためか、道はすいていた。混んだのは首都高の一部だけである。快調にとばした。

 「もっとスピード落として!」

 と隣の席で口走るご主人様を、

 「五月蠅い!」

 と怒鳴りつけたのは、専属運転手の則を超えた振る舞いであったか。
 いや、運転中の安全に気を配るのは専属運転手の務めである。横で雑音を立てるのは専属運転手の気分を害して安全への集中を削ぐ。であれば、雑音を止めるのも専属運転手の務めではないか? それぐらいは許されてもよかろう。

 横浜では自宅で昼食のあと、次女、瑛汰を連れてラゾーナへ。ご主人様は1人居残って雑草取りである。なにしろ、そのために、車輪、収納庫付きの雑草取り用、プラスチック製椅子を車で運んだのである。働いてもらわねば。

 瑛汰と紙芝居2本(と数えていいのだろうか?)を買い、私は先日なくしたポケット型万歩計の代替品を買った。その間、次女は食料品の買い出しであった。

 夜は、私と瑛汰をのぞく2人がお疲れとのことで外食。戻って瑛汰と風呂に入り、

 「瑛汰、ママがだーい好きなの。ママとパパがだーい好きなの。ボスはだーい好きじゃない。瑛汰、ママと寝たい。ボスとは寝たくない

 と、まあ、そうだろなあ、という理屈をこねる瑛汰をなだめて、添い寝。本を2冊読んでやり、電気を消したら瑛汰は寝込んだ。

 「ほう、ママじゃなくても寝られるようになったか」

 と思っていたら、私も夢の国へ。間もなく、次女の旦那が仕事から戻ったと誰かがいいに来たが、もう起きあがる気力はない。そのまま寝続けた。
 疲れていたのは、実は私と瑛汰だったのかもしれない。


 昨日は朝食のあと、瑛汰と公園で1時間。自宅に戻ると、

 「ねえ、駐車場の天井の明かりがつかないんだけど」

 と娘がいう。せっかく来たんだからもっと働け、ってか。どうやら、立ってるものは親でも使え、ということわざを実践するつもりらしい。

 「いま住んでるのはお前たちだろう」

 とのど元まで出かかったが、相手は妊婦である。ぐっとこらえて

 「電球の買い置きは?」

 と尋ねた。ない、と自信を持っていう。電球はいつ切れるか分からない。だから買い置きは当然で、私がこの家に住んでいた頃は、電球の買い置きはちゃんとしていたのだが。
 育て方を間違ったか?

 仕方なく、車でヤマダ電機へ。運転しながら、しばらく前に読んだ新聞記事がよみがえった。東芝が、白熱電球の生産をやめたという記事だ。

 「そうか、それが時代の流れか」

 売り場に着いてみると、いま話題のLED電球が並んでいる。

 「これが次世代の電球か」

 価格をみると、昨年の出始めから3割ほど下がっていた。

 「じゃあ、これにするしかないか」

 パナソニック製で、1個3100円。駐車場の天井には3個のランプがあるから、しめて9300円。たかが電球、されど電球、である。
 帰宅して脚立に乗り、フィラメントの切れた白熱球と取り替えた。

 「へえ、これがLEDなの。どれぐらい持つの?」

 ご主人様は、私以上に新聞をながめていらっしゃるが、あまり事実をご存じではない。LED電球の耐久時間は4万時間とも5万時間ともいわれる。
 ものは、駐車場の天井灯である。夜、車を出し入れするときに使うぐらいのものだ。1日1時間点けたら、点けすぎだろう。それでも、1年で365時間。とすると、ざっと109年から137年は持つ。

 こんな計算をご主人様にしても目を回すに決まっている。

 「この家が倒れるまで切れないよ」

 できるだけ平易な言葉で事実を伝えた。

 「ねえ、ねえ、この電球、この家が倒れるまで点いてるんだって。すごいね」

 早速次女に伝達されておった。

 「ああ、そうなの。すごいね」

 この会話は、似た者同士の会話か? この日誌を読んだ娘が怒らねばよいが。

 昼食をすませて桐生に戻った。この日も約2時間の専属運転手業であった。

 ん? そういえば、昨日、妻の父が転倒するという事故もあったな。弟夫妻は外出中で、義母がサンダルも履かぬ素足で我が家に駆けつけた。
 見回しても、使える人間は私しかいない。隣に駆けつけ、ベッドのそばで大の字になって

 「そっと、そっと」

 という義父をそっと抱え起こし、椅子に座らせた。その時は、どこも打っていない、平気だ、といっていた義父は、夜になってどこか痛み出したらしく、朝になってやっと寝付いたそうだ。
 しかし、私がいたからよかったようなものの、そうでなかったら、義父は何時間寝たきりだったんだろう?

 にしても、俺もいずれは、あんなになるのかなあ……。誰が起こしてくれるんだ?

 

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