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 2010年5月29日 iPad

 私は、読書家の部類に入ると思う。

 「吉里吉里人」

 を読み見終えると、直ちに

 「アメリカ第2次南北戦争」(佐藤賢一著、光文社文庫)

 を手に取った。2013年、アメリカが南北に分裂し、2度目の南北戦争が起きる、という近未来小説だ。米国初の女性大統領がダラスで暗殺され、副大統領だった黒人が大統領に就任する。新大統領は銃規制を強力に進めようとして反発を買う。暗殺犯人の強引な逮捕(でっち上げ逮捕)をきっかけに南部諸州が独立を宣言、内戦が始まる。黒人が大統領になったことに反発する人種差別か? 銃規制への抵抗か? それとも?
 読み進むうちに、思いも寄らない暗殺犯が浮かび上がり、意外な国際政治の現実が浮かび上がる……。

 それが終わって、いまは

 「神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く―」(石井光太著、新潮文庫)

 まだ3分の1ほどしか読んでないが、イスラーム世界の売春婦、それに時には男もいるから売春夫の実情をルポしたものである。いや、なるほど。世界で一番古いといわれる職業は、イスラームの世界にも、やっぱりあるのだなあ。しかし、その悲惨さは……。

 というわけで、我が家にはいつも、まだ読んでいない本が常時30冊ほどある。常に2冊以上を持ち歩き、せっせせっせと読む。だから、意外に消費が激しい。
 未読の本が10冊を切ろうものなら、不安でたまらなくなる。

 「次に読む本がなくなったら、どうやって時間をつぶせばいい?」

 新聞の書籍広告に目を通し、新聞、週刊誌の読書欄を斜め読みして面白そうな本を探し、常に蔵書を切らさない。
 
 読書家は、読んだ本が捨てられない。 再読することはまずなかろう(「吉里吉里人」は珍しい例外)と思いはするが、何としても捨てられない。

 「我が精神の歴史を捨てられるはずがないではないか」

 困るのは書棚だ。26年前に家を造ったとき、作りつけの書棚を沢山作った。これだけあれば、と思っていたのに、26年たつと、そこはすでに満杯。別の壁に新しい書棚を入れ、長男が使っていた部屋に天井まで届く書棚を作って納めているのだが、それも残りスペースはあとわずかだ。これ以上本が増えたらどうする?
 読書家の最大の悩みである。

 だから、私はiPadを歓迎する。あのかっこよさの中に沢山の本を貯めておけるのは、何よりの魅力である。まだ買ってないし、スペックも知らないので、何冊の本を納めておけるのか分からないが、私の読む本は文字だけで構成されている。テキストデータだけなら、数千冊、数万冊入れておけるのではないか。
 我が家から書棚が不要になる。

 すべての本が紙とデジタルデータで発売されるようになれば、私はこの愛すべき機械を買う。出版関係の方々、お急ぎ願いたい。

 もっとも、いくつか不満もある。

 重い。せめて半分の重さにならないか?
 曲がらない。その上あのサイズだから、ポケットに突っ込んで持ち歩く、などという文庫本のような使い方ができない。
 布団に横になって、あれで本が読めるか?
 電子機器である。水は大敵だろう。入浴中も読めるよう、防水機能はついているのか?
 落としたら壊れるだろう。紙の本は落としても、せいぜい汚れるだけなのに。

 改良に期待したい。

 にしても、だ。
 今日の朝日新聞の天声人語。ありゃ、いったいなんだ?

 筆者は紙フェチらしく、

 「旅の鞄に一冊だけをしのばせるのも捨てがたい」


 だの、

 「書店の棚からお供の一冊を選ぶのも、本好きの楽しみのひとつである」

 だの、あれこれご託を並べる。
 あんた、本当に本が好きなの? 俺、旅行に出ようものなら、5、6冊の本を鞄にしのばせていくぜ。その1冊を読み終えたらどうするの?

 挙げ句、

 「詩人の堀口大学が、『僕は殺すと云われても、万葉集や古今集を皮の装幀に仕立てる気にはなれない』と述べていたことを思い出す」

 と蘊蓄を披露する。
 それがどうしたっていうのよ。皮で装幀されていても、木簡に筆で書いてあっても、活字で印刷してあっても、万葉集は万葉集、古今集は古今集ではないのかね?

 そんなん、

 僕は好きな女を抱くときは、殺すと云われてもベッドを使う気にはなれない。6畳の和室に布団を敷き、行燈の明かりで行いたい。

 みたいなもんと違うか? 
 ま、お好きな人はどうぞ、という程度のことではないか? だって、やることの本質とはあまり関係ないもんなあ。

 そして、末尾はこう結んである。

 「仕事柄、わが紙への愛着もひとしおだが、選択肢が増えたのを歓迎したい。食わず嫌いはひとまずおいて」

 あんさん、あんさんはいまでも原稿用紙に原稿を書いてるんでっか?
 あんさんの会社、ホームページはお持ちになっていないんどすか?
 新聞だって、いつかは電子媒体で配信されるようになるとは、まったくお考えになってはいないのですか?

 それにこの人、食わず嫌いだと自認していらっしゃる。食べて見もせずに、俺は嫌いだ、こんなもの食えるか、というのが食わず嫌いである。
 これをiPadに当てはめるとどうなるか。iPadにさわりもせず、操作してみようともせず、ましてやiPadで本を読んでみようなどとは夢にも思わず、

 「俺はiPadなんか嫌いだ! こんなもので本が読めるか!」

 と叫ぶのを食わず嫌いという。
 なのにこの人、どうしてiPadを歓迎するんだろう。

 この人の頭の構造が、まったく理解できない。

 私は、諸手をあげてiPadを歓迎する1人である。

 

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