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 2010年8月10日 瑛汰

 が、やっとまともになったのは、今日の午後のことだ。

 瑛汰にとって、まともとは何か? 食欲である。元気なときは、何を食べても

 「美味しい!」

 と右手の親指を立てる瑛汰が、この間ずっと食欲がなかった。

 その瑛汰に、やっと食欲が出た。午後、妻と娘にせかされて出かけた「レンガ」で、 瑛汰は牛乳を飲みながらパンを一個平らげた。昼食から2時間足らずでこの食欲。これぞ瑛汰である。
 その姿を見ながら、私は胸の内で、瑛汰の回復を宣言した。

 昨日は弱々しかった。夜中、氷枕と濡れたタオルで頭を冷やし続けて、目覚めた瑛汰の熱は38℃前後にまで下がったが、食欲がない。朝食はまともにとらず、昼も通常の半分ほど食べたところで

 「もうお腹がいっぱい」

 と宣言した。あわせて、

 「瑛汰、眠い」

 とも。
 前夜の睡眠時間は充分である。それでも眠いということは、身体がまだ病と闘っている。私の部屋で寝かせた。すぐに眠りに落ちた。
 寝込んで2時間もしたろうか。瑛汰が大量に汗をかき、着ていた服をすべて取り替えた。さっぱりしたのか、瑛汰は再び眠り込み、目覚めたのは5時近かった。熱は37℃前後に下がっていた。が、まだ食欲は充分でない。
 そして、夕食をすませて8時半には布団に入り、9時には寝込んだ。回復はしているものの、体力がまだ追いついていなかった。

 「ボス、まだ寝てんの?」

 今朝は5時半に起こされた。横で寝ている瑛汰に起こされたのでは、

 「勘弁しろよ」

 ともいえない。

 「瑛汰、まだ早いよ。もう少し寝よう」

 といってみたが、瑛汰の眼はもう全開である。眠さのかけらもない。あきらめて、瑛汰と一緒に起床した。

 朝食は、我が家としては珍しく洋食であった。食パンにサラダ、目玉焼きにコーンスープ。子どもの好きなものばかりだが、瑛汰の食はたいして進まない。

 プールに行く計画を変更して、2人で伊勢崎のスマークへ映画を見に行った。「トイ・ストーリー3」はもうパパと見に行ったと聞いてていたので、「ヒックとドラゴン」を選んだ。

 この映画、2Dと3Dがあるらしい。入場券を買いに並んだら、

 「どちらにされますか?」

 と聞かれて初めて知った。うむ、3Dは目に悪いという噂がある。まあ、私1人で見るのなら、目に悪くてもいい。しかし、瑛汰がいる。長い未来を持っている瑛汰には、目に優しい方がいい。

 「2Dで」

 ところが、2Dの方は、上映開始時間が少し早く、すでに本編が始まっているという。であれば、3Dを選ぶしかないではないか。係員とは無駄な問いかけをする。
 かくして、初めて3Dなる映画を体験した。

 映画は、世の中の常識から外れた主人公が、だから次の時代を作っていく、という私好みのものであった。が、それはどうでもいい。やはり、この際のテーマは3Dであろう。
 2次元で表現されているはずの絵が、眼鏡の助けとはいえ立体的見える。効果は抜群である。効果がありすぎて、瑛汰はほとんど眼鏡をかけず、2重写しのようなぼんやりした映像を見ていた。

 「瑛汰、眼鏡をかけた方が綺麗だし、面白いぞ」

 と何度言っても、ちょっとだけ眼鏡をかけるだけですぐに外した。

 「どうして眼鏡を外すんだ?」

 「怖い」


 瑛汰は臆病である。健康だ。幅広い感受性を持ち、自分のファンタジーの世界を広げている。だから怖いのだ。臆病でない子どもは、感受性の一部、想像力の大部分を持ち合わせていないだけである。
 話がそれた。3Dには、その程度の効果はある。

 助手席で眠り込んだ瑛汰は、自宅に着くと昼食はそこそこ食べた。昼寝をさせようとしたが、眠くないという。そして、「レンガ」での間食。
 瑛汰の身体は、元に戻った

 さて、明日は何をして遊ぼう?
 瑛汰、4歳の夏。できるだけ沢山のことを体感させ、瑛汰の中の貯蓄を殖やすのが、いまの私の役割である。

 瑛汰、明日はどこに行く?

 
 もう少し書こうかと思ったが、後ろの部屋で瑛汰がぐずり始めた。どうやら、夢の中でドラゴンと戦い、危地にあるらしい。
 添い寝をしながら、

 「ボスはもう少しお仕事がある。隣の部屋に行ってもいいか?」

 と聞いたら、

 「ダメ!」

 瑛汰は、夢現(ゆめうつつ)の中にいる。
 というわけで、今日はこのあたりで。

 

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