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 2011年1月22日 お有り難うございます

 と私が言う必要は全くないのだが、ついついそんな言葉が漏れてしまう。
 という電話を、夕刻受けた。電話の主は小野寺さんである。そう、黒川ハムの経営者だ。

 「あ、安堂さん? 有り難うね」

 ん? 俺、この人に有り難うといわれるような悪いことをしたか?

 まあ、あの会社の売り上げ規模からいったら、私は最大の顧客かも知れぬ。なにしろ味に惚れ込んで以降、子供のところや九州の実家、知人、友人にベーコンを送りまくった。この数ヶ月だけでも、注ぎ込んだ金は数万円に上っているはずだ。
 だからの、有り難う?
 でも、そんなことで土曜日の夕方にわざわざ電話をしてくるか? 経営不振で、私の協力の甲斐もなく、これから首をくくる、というのなら分からないこともないが。

 「いやね、貴方のホームページを見て食べたくなったというお客さんが、さっき来てくれたのよ。それでベーコンを2つ買っていってくれた。嬉しかったわ。本当に有り難う」

 えーっ、ということは、あれか? 私が書いた原稿がどなたかの食欲を刺激し、黒川ハム、いっちょう食べてみるか、と決意した人を生み出したってことか? その人は、土曜日の休みを使って、わざわざみどり市東町という山の中まで車を走らせ、お買い上げになったということか?
 見知らぬ人の食欲を強く刺激する。私は文章の天才か?

 いずれにしても、私の文章がどこかの誰かを動かす。望外の喜びである。だから、私の懐が膨らんだわけでもないのに、ついつい

 お有り難うございます

 と書きたくなってしまったのである。

 どこのどなたか存じ上げませんが、本当に有り難うございました。
 お味の方は如何でしたでしょうか?
 あまりに美しくない工場兼店舗に驚かれたということはなかったでしょうか?

  先日の日誌に登場した「同行した友」というのは、実は経営コンサルタントになってあげてよ、と私が依頼した友人である。あれは、ハム、ベーコン類の売り上げが年間600万円程度の現状にとどまっているような味ではない。何としても黒川ハムを何とか世に出したい。いや、出て行ける味である。とにかく、誰かが、商売を多少教えてやり、流通に載せる手助けをしてやれば、すぐに売り上げは億単位になるはずだ。

 そう考えた私が誘い、どこかのイベントで黒川ハムの焼きベーコンを食べて感動した、という彼が

 「是非行きましょう」

 と応じて実現したドライブであった。
 私は、彼に釘を刺すことを忘れなかった。

 「現状の売り上げは年間600万円。最初から金を取ろうと思ってはダメ。コンサル料は、きちんと育てて、利益が出るようなってからのことだよ。いい?」

 いや、この会社がもっと大きくなって従業員が増えるようなことになれば、私は顧問になって運転手付きの車と美人秘書を付けてもらいたいと願っている。もちろん、毎月のお手当もいただきたい。
 その願いの実現に向けて、この友の能力を見込んで彼を巻き込んだのである。

 さんざん話を聞いて、ハム、ベーコンを食べて、ついでに小野寺さん手製のラーメンまでご馳走になって、昼過ぎに引き上げてきた。

 「で、どうする?」

 帰りの車で私が問いかけた。

 「いや、どうするも何も、まず、あの工場を清掃してもらうしかないね。あれでは食品関係の知人を連れて行けないじゃないですか」

 なるほど。確かに、工場は清潔とはいいかねる。そんなことには全く頓着しない私は、出来てくるベーコンやハムが美味ければそれでいいのだが、食品関係の人間なら、

 「ここで出来たものを売っていいのか」

 と腰を引きそうな工場ではある。
 小野寺さんには近々、まず工場の清掃から始まる経営拡大策を示す手はずになっている。


 その工場兼店舗を訪れてベーコンをお買い上げいただいた貴方。どこのどちら様か分かりませんが、貴方のご感想をメールでお寄せいただけないでしょうか?

 味:安堂よ、お前の味覚、もう信用できねえ!
 清潔度:2度と買わないぞ!

 でも構いません。でも、お召し上がりいただいて、黒川ハムのベーコンを気に入っていただけたら、貴方がお考えになる販売拡大策、などもおかきいただければありがたいのです。

 私の「らかす」を読んでお買い上げいただいたのですから、今日のこの日誌もお読みいただけるはず、と期待しております。
 

 よろしくお願いします。

 いずれにしても、お買い上げ有り難うございました。私の願いの実現が、ひょっとしたら3mmほど近づいたかも知れませんです、はい。

 

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