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 2011年7月30日 思い知る

 昨日から今日にかけて思い知ったことがある。
 齢を重ねるとは、自分の身体にとられる時間が増すことである。

 昨日、昼食後に楊枝を使っていたら、口の中でカラリと音がした。何事ならんと手を入れると、金色に輝く金属片が出てきた。歯の詰め物である。その金属片が装着されていた左下の歯を舌で触ると、ぽっかりと穴が空いているのが確認できた。

 「また外れたか」

 昨年末にも外れ、歯科医で詰め直してもらったものである、再度詰め直してもらうしかない。

 と思いを定めて今朝、雨の中を車で出かけた。100mも走る前に、取れた金属片を持参するのを忘れたことに気がつき、引き返した。
 忘れ物をする。これも加齢のなせるワザかも知れないが、本日の主題ではない。

 なくならないように封筒に入れた金属片をしっかりポケットに入れ、再び車を走らせながら、

 「そういえば」

 と思い当たったのである。
 今週は、治療に費やす時間が多すぎないか?

 月曜日、整形外科を訪れた。腰のヘルニアの治療である。リハビリで腰を引っ張り、ついでに2週間に1度の処方箋を書いてもらって薬剤を受け取るためである。
 ところが、

 「本日休診」

 の張り紙があった。季節は夏。どうやら、細切れの夏休みらしい。
 仕方なく、翌火曜日に同じ行動を繰り返した。

 金曜日には、自宅近くの整体院に出かけた。これもヘルニアの治療である。
 桐生で仲良くなった社長さんから、

 「へえ、安堂さんもヘルニア。いや、俺もさ、ヘルニアになって動けなかったことがあってね。人に聞いて、あの整体院に出かけたのよ。いいよ。3回通ったら治っちゃった。いまじゃ早朝ソフトボールもやるしね。もう、元気ビンビンよ、俺。安堂さんも行かない?」

 と推薦を受けていたところである。しかし、この日まで足が向かなかった。
 そもそも今回の腰痛は、まあ、原因は私にあったとしても、悪化したのはマッサージを受けてからである。市役所にいる知り合いが、

 「あの人はゴッドハンドですよ。掌から気が出ているんです」

 と推薦したから、時折通っていたところだ。中年のおしゃべりなおばちゃんで、女性とは思えないほど指の力が強い。その人が1時間ほど全身をほぐしてくれて5000円。もともと頸椎(背骨の上の方にあり、頭を支える)が数個変形しており、ために方から首筋が凝る。私の人並み外れた知能を支えるために脳が重過ぎるためであるとあきらめてはいるが、時にはマッサージでほぐしてもらわなくても何ともならない。
 だから、この中年の女性宅を時折訪れていた。
 男と女が1つの部屋で身体を触れあう。その歓びが忘れられなくて通っていたわけではない。その歓びもあって通っていたのなら多少は救われるが、残念なことにそのような夢を見せてくれる女性ではない。顔を見たとたんに、

 「また来たわ」

 とお互いにゲラゲラ笑うような付き合いであった。
 今回、腰が痛み始めたときも彼女にマッサージしてもらった。直後は楽になったような気がした。が、翌日から痛みで動けなくなったのである。こうして、

 「西洋医学に腰痛が治せるはずがない。頼りは中国4000年の知恵しかない!」

 と思い定めていた私が整形外科を訪ね、投薬を受けるようになったのである。その経緯は、「2010年12月20日 腰痛詳報・その1」「2010年12月24日 腰痛詳報・その2」「2010年12月25日 腰痛詳報・その3」に詳しく書いた。
 だから、マッサージを受けることに心理的抵抗があり、推薦を受けた整体院にこれまで足を向けなかったのだ。

 が、いくら何でも長すぎる。もう半年以上も医者にかかっているぞ!
 薬を飲むだけの受動的治療から、もっと能動的治療に移らねばならないのではないか?
 それが整体院を訪れた理由である。

 「ははあ、これは下から2番目の腰の骨が左にずれてるね」

 私の背筋を触っていたおじいちゃんがそういって、

 「このずれを治しましょう」

 と私の腰のあたりを触ったり押したりしていた。

 「はい、これでずれは治ったから」

 ずれた骨を元の位置に戻すのは、存外簡単な作業らしい。

 「医者は、できるだけ安静にしろ、散歩なんかとんでもないというんだけど」

 「えっ、そうなの? たいしたヘルニアじゃないからどんどん歩いた方がいいと思うけどね」

 「……」


 専門家2人から、これだけ対立する処方をもらうと、戸惑うばかりだ。さて、どうしよう?

 「それで、次回はいつ来たら?」

 「ま、お盆前ぐらいでいいんじゃないの?」


 そして、今日の歯科医なのである。1週間に3回、いや4回の病院、治療院通い。私は、これだけの時間を費やさねば日常生活を維持できなくなってしまった。
 待て待て、まだあるぞ。
 そう、就寝前の腰痛体操である。

 四つん這いになり、犬の形を取る。若く美しい女性が私の前でこのポーズをとれば何やらモヤモヤしてくるが、私は専用の寝室で1人、布団の上でこのポーズをとる。色っぽくも何ともない。
 そして、腰を思い切り突き上げる。テキストには

 「このポーズで臍を見ます。ただし、首だけ曲げてみてはダメ」

 とあったから、これでいいはずだ。
 一段落つくと、今度は臍を思い切り下げる。腰を逆に曲げるのである。繰り返すこと数回。
 もし観客がいたら、何と情けない格好をするのだと嘆くかも知れない。だが、当人は至って一生懸命である。

 一連の動きが終わると、そのまま足を伸ばして腰から下を完全に布団につけ、上半身は腕で支えて反っくり返る。腰痛にいいというマッケンジー体操である。10秒も続けていると下半身がジンジンして力が抜けてくる。

 「やっぱりヘルニアが出ているのかなあ」

 と心配しながら腰を伸ばし、下半身の痺れが一段落したら再び上半身を持ち上げる……。

 ねえ、これを加えたら、私は私の身体を維持するのにどれだけの時間を費やしているのだろう?

 筋肉を虐め、筋骨質な身体を作る。息の上がる運動を続け、持久力を作る。そんな、頑健な身体を作るために時間を費やしたのは、主観的にはつい先頃のことである。 
 なのにいまは、普通の年相応の健康な身体に戻すために時間を費やす

 時の流れとは、なかなかに無慈悲なものである。


 ところで。
 前回、せっかく中国のことを書きながら、肝心なことを書き忘れた。
 あなた、このサイトを覗いたことあります? 「侍魂」。ここで、上の方にある「魂」をクリックすると現れる「ロボット技術の最先端」「最先端ロボット技術」は、中国を知るについては必読文献であります。

 このサイト、かつては数千万件のアクセスを集めるお化けサイトでした。ちっとも読者が増えない私なんぞはあこがれたものです。筆者は週刊誌にも出てたし……。
 でも、ここ数年全く更新されていません。かつての愛読者としては寂しい限りであると書き添えておく。

 

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