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 2011年8月3日 ささやかな

 今朝、半年以上ぶりで散歩をした。
 目覚めたのは午前5時半頃である。昨夜。初対面の群馬大学工学部教授と意気投合し、飲み屋になだれ込んで酒を飲んだ。自宅に戻ったのが10時前。そのまま寝付いてしまったので、早く目が覚めた。

 「どうしようかな」

 寝覚めのぼんやりした頭で思案した。散歩に行く? やめる?
 何しろ私は、専門家から全く違った指示を受けている身である。整形外科医は

 「散歩なんてとんでもない。ひたすら安静に!」

 といって、リハビリ治療(腰の牽引)と投薬しかしない。これでいいのか、と行ってみた整体院は

 「散歩? やった方がいいんじゃない?」

 という。起き抜けに思案したのは、頭がぼやけているためだけではないのである。

 で、決めた。散歩してみよう。ひたすら安静、というのはどうにも性に合わない。それに何となくお腹の出っ張りも気になってきた。まだ5時半である。自分の身体の現況を知るためにも、散歩に出た方がいいのではないか?

 半ズボンに開襟シャツ。頭には汗止めのバンドを巻き、ポケットには携帯電話と小銭入れ。それに、忘れてならないものは汗を拭くタオルである。

 自宅を出て渡良瀬川の堤防に向かった。堤防道路を次の橋まで歩き、そこで一般道路に出て戻るというコースを選んだ。まあ、まだ腰が健康だったときのコースに比べると、幼稚園コースと呼びたいぐらいに短い道のりだ。

 ゆっくり歩いた。何しろ私は、腰に爆弾を仕掛けられているかも知れないのである。であれば、振動はできるだけ少ない方がいい。
 朝の堤防道路は、ジジババの原宿である。歩いている人、走っている人、犬に散歩をさせている人、自転車をこいでいる人。すべてジジババである。

 「おいおい、もっと若くて色っぽい姉ちゃんはいないのかね。歩くたびに胸が揺れたりして、思わずUターンして後ろを歩いて行きたくなるってのが理想なんだが」

 と不満たらたらで歩く。ひょっとしたら、私もその風景の中に違和感なく溶けいっているのかも知れない、とはまったく考えない。人間とは本来勝手なものなのである。

 橋まで歩き、右に曲がって一般道路にである。

 「ん? なんか、腰、大丈夫みたい」

 コンビニに寄ってペットボトルの水を買う。105円。渇いた喉に流し込み、残りを手に持って散歩を再開する。ペットボトルが冷たい。

 「いかん。ペットボトルホルダーを持ってこないと、夏の散歩はできないんだったなあ」

 半年以上も歩いていないと、散歩のノウハウもすっかり忘れている。

 自宅に着いた。万歩計を見ると4000歩。たいした散歩ではない。ゆっくり歩いたから息も上がっていない。そして、まだ6時半である。

 「まだ新聞読まなくてもいいよな」

 そのまま、我が家のブロック塀の外側の草取りを始めた。雨のあと、土がたっぷり水気を含んでいる間は、雑草が抜きやすいのである。
 30分ほど続けたら、塀の外側はすっかり綺麗になった。手を洗い、屋内に入ってエアコンをつけ、新聞を読み始めた。

 あれからもう14時間以上たつ。腰は今のところ、悲鳴をあげる様子はない。どうやら、散歩できる程度には回復してくれたようである。ささやかな回復かもしないが、嬉しいことに変わりはない。
 明日も、早めに目が覚めたら散歩に出よう!

 
 そういえば日曜日の夜、長男が突然電話をしてきた。

 「何だ、こんな時間に」

 「いま台湾での仕事から帰ってきたんだけど、久しぶりにぎっくり腰やっちゃってさ」

 「どこで?」

 「空港で荷物を持とうと思ったら、ギクッと来てさ。で、マッサージに行って何とか歩けるようになったからこれから帰るとこ」


 腰を痛めたと父親に電話してくる30代後半の息子が、世界に何人いるのかわからないが、それほど多くはないだろう、とは多くの人が考えるころであろう。私の長男は変わっているのかな。
 それとも、私の日誌で、私が腰痛と闘っていることを読んでいたので、思わず

 「同病は相哀れんでくれるのではないか」

 と考えたか。
 腰痛は、我が家の遺伝病なのかも知れないなあ。

 涼しい夏で助かっているが、どうやら週末から熱気が復活するようである。
 1日も早い秋の訪れを望む。

 

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