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 2012年7月1日 長引く戦い

 右肩の痛みとの戦いが長引く様相を見せている。

 先週水曜日、買ったばかりのMartin 00028ECを修理に出した。いや、取り扱いがずさんで壊したのではない。元々の不具合である。

 2週間ほど前、初めて弦を取り替えた。ギターの弦は激しく使えば2週間、通常の使用でも1ヶ月に1回は取り替える。そうしないと音が狂う。開放弦のチューニングで音を合わせても、コードを抑えてかき鳴らすと、どこかに不協和音がある。

 ということを経験上理解している私は、Martin 00028ECの弦を張り替えた。不調はその直後から現れた。

 「あれ、6弦を調整するのに、えらく力がいるな」

 弦の調整は、ペグという、ギターのネックの先、ヘッドと呼ばれるところについている巻き取り装置で行う。弦の端っこを巻き付ける支柱がヘッドから頭を出しており、この柱はギヤを介してチューニングペグにつながっているので、このチューニングペグを左右に回すことで弦を緩めたり締めたりできる。そして6弦とは、いちばん太い弦である。
 チューニングペグが、6弦だけやたらと固い。

 「まさか、ペンチを使って動かすわけにも行かないし」

 と思うほど重かった。渾身の力をこめてチューニングした。
 ま、最初はそれで良かった。しかし、ギターとは演奏するたびにチューニングをしなければならない。毎回渾身の力をこめるのは、なかなかやっかいである。

 「なんで、6弦だけこんなに固いんだ?」

 そう思いつつ、ヘッド部分を観察したのは2週間ほど前のことだ。

 「あれっ?」

 異変に気がついた。弦を巻き付ける支柱は、弦に一定の張力を与えるためにあるのだから、当然のことながら強い力で反対方向に引っ張られる。ために、支柱は金属製の筒を通って頭を出すようになっている。
 6弦を巻き付ける支柱だけ、その筒がなかった。そのため木製のヘッドとの間に隙間があり、弦で強く引っ張られている支柱は、極端に言えば曲がっていたのである。これでは、スムーズに回転するはずがない。

 そういえば、弦を張り替えたとき、あとに金属製の筒とスペーサーが残った。

 「これ、何?」

 とあちこち点検してみたが、まさかヘッド部分で支柱を保護する部品であるとは気がつきもせず、そのまま机の引き出しに入れて保管しておいた。

 「あれか」

 6弦を外し、その金属製の筒とスペーサーを取り付けて、改めて弦を巻き付けた。今度はスムーズにペグが動く。やっぱりそうだったか、と一安心したものの、ほかの支柱と見比べるとどこか違う。よくよく見ると、筒がヘッド部分から浮き上がっている。

 「で、困ってンだけど、修理して」

 買った楽器店、テンションに持ち込んだ。店長さんがいじっていたが、

 「いやあ、これ、メーカーに出しましょうよ。いまは落ち着いてるけど、弾いてると振動で浮き上がってきますよ。たいした修理じゃないんで時間もかからないと思うから、メーカーに出させてください」

 私はにべもなく拒否した。
 冗談ではない。こちらは右肩を痛めた存在である。であるから、このMartin 00028ECを買ったのではないか。それなのに、私からMartin 00028ECを引き離す? 帰ってくるまでどうしろっていうんだ?

 「ま、いいよ。弾ければいいんだし。とりあえずは正常になっているジャン」

 と持ち帰って10日あまり。でも、弾くたびに、6弦のペグが、支柱が気になる。やっぱり、浮きあがって来ているようなのである。

 「やっぱ、メーカーに出して」

 先週水曜日、テンションにギターを預けた。

 木、金曜日はギターに触らなかった。家にあるのはD-41である。厚くて大きい。これで肩を壊したのである。我慢の時期なのだ。
 ところが、どうやら私の我慢には限度がある。やばいと思いながら、でも土曜日にはD-41を引きずり出し、1時間ほど弾いた。目下の課題曲は

 You've got a friend

 ジェームス・テーラーの曲である。簡単そうで、でも、奥が深い。
 それはいい。わずか1時間少々しか弾かなかったのに。夜、布団に入ると右肩が不快であった。飛び上がるほど痛いというのでもない。右手が動かないわけでもない。が、なにかのはずみにビリビリと痛みが走り、時折ジクジクした疼痛が襲う。

 やっぱり、ダメか。
 肩の痛みとの戦いが長引く。


 それだけではない。
 次の木曜日、マッサージに行ってきた。通っている整形外科医に

 「薬もちゃんと飲んでるのに、肩の痛みが取れないんだけど」

 と訴えたら

 「まあ、いつかは治るんです。永遠に痛いということはありません」

 とおっしゃった。

 「まあ、それはそうだろうけど、治るのは一刻も早いほうがいい。なにかいい方法はありませんか、マッサージとか?」

 と突っ込むと、

 「マッサージ? それはいいかも知れませんね」

 と紹介してくれた接骨医である。

 行った。

 「保険診療だとマッサージだけ。だけど、これは最初にカイロで骨格のゆがみを治した方がいい。保険は適用されませんけど」

 私、カイロプラクティックなる療法をあまり信じない。それに、俺の骨格って歪んでるか? 性格が歪んでいるのは自覚しているけど。
 が、そういわれれば

 「いや、保険の分だけでいい」


 とはいいにくい。体に緩やかな刺激を加えるカイロの治療を受け、4000円也を支払ってきた。

 なのに。

 痛い、右肩が。
 加えて、多分、土曜日に庭の立木を剪定したからであろう、腰も不快感を訴え、左右両手の腕が張っている。

 医者に通っても、整体に頼っても、ギターを弾き、日常の必要ごとをこなせば、体のあちこちが痛む。

 63歳とは、そのような年齢であるのか。

 かくして「らかす」は日々、闘老日記と化していく勢いである。

 

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