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 2012年10月6日 矜持

 やっぱ、人間、やっていいことといけないことの間にはがあるのではないか?
 
 いや、私はいい加減さを立体にまとめたような人間である。
 
 「タバコは体に悪い」

 と注意されれば、

 「私の身体ですから」

 とお答えするし、

 「妻以外の女性を気にするなんて」

 と叱責を受ければ、

 「美しいものを美しいと受け止める感性はなくしたくない」

 とうそぶく。それが私である。

 それでも、「にんげんだもの」ですべてを許してしまうというか、許された気分になってしまうというか、許されたと開き直るというか、それを売り物にした相田みつを(正確に言うと、売り物にしているのは彼の息子であるが)のような度量の広さはない。やっぱり、どこかに一線は引かねばならぬと思う。

 今日の朝日新聞夕刊の一面トップ記事を見てたまげた。

 サザエさんを書いた長谷川町子が、自分の漫画を自分で採点していた、という記事だ。ん? 何がニュースなの? 
 だって、誰だって、自分が作ったものに、

 「あれは良くできたが、こいつは失敗作だな」

 なんて、他人には告げなくても、自分の中では採点しているはずである。私だって、「らかす」に書いた原稿は、良くできたもの、それほどでもないもの、失敗作、程度の区分けはしている。失敗作だと思っても、

 「ま、更新しないよりいいか」

 と開き直ってアップしている。

 だから、プロの漫画家がその程度のことをするのはあたり前でしょ?

 挙げ句、その採点は、選集(歌手ならベストアルバム)を出すためのものだとある。沢山書いた中から一部を選んで選集を編むのなら、その程度のことは誰だってやる。
 それが、どうしてニュースなの?

 と訝りながら読み、最後まで進んで、

 「朝日新聞よ、踏み越えてはいけない一線を踏み越えちゃったんじゃない?」

 と愕然とした。

 私を愕然とさせた一節はこうだ。

 「『採点表』
(=長谷川さんが自分の漫画1つにつけた評価をまとめたもの)と『4コマネタ帳』は、朝日新聞出版が12月から復刊する『よりぬきサザエさん』(全13巻)の全巻購入予約者への特典『町子手帖』に収録される」

 ね、これを読んで傲然としません?
 朝日新聞は、その紙面のいちばんいいところ、1面トップを使って、系列会社の商品の販売促進をしているのであります。
 朝日新聞は、公器と自認していると聞いております。ね、公器さん、なぜこれが1面トップなのでしょう? 一部の長谷川町子ファンには拍手を持って迎えられるトピックかも知れませんが、ほかの読者には全く意味のない情報ではないのでしょうか?

 公器が、自分の収益に結びつく商品を、公器を使って宣伝する。そんなことしたら、我々読者は、朝日新聞のすべての記事で、

 「これ、どうして朝日が記事にしてる? これはどのスポンサーにゴマすってる? この政治記事は民主党への応援か? おや、この記事では朝日がどれだけの収益を上げるんだ?」

 って、いちいち疑い、朝日の真の狙いを読み解かなければならなくなるじゃないですか。

 それって、越えちゃいけない一線だろ?

 てなことも、いまの朝日新聞の方々にはおわかりにならないのであろうか?

 ナベツネが君臨する読売新聞がやるのならわかる。でも何故朝日が……。

 貧すりゃ鈍す、ってか?

 

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