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 2012年10月28日 インクの摩訶不思議

 ことが起きたのは、昨日から今朝にかけてである。何故こんなことになるのか、いまだによく分からない。よく分からない話に、しばしお付き合い願う。

 週末は、録画したBlue-rayを整理するのが日課である。ということで、昨日も整理にかかった。
 すでに御存知のこととは思うが、録画した映画、音楽ソフトをネットで検索し、データベースとして使っているBentoに登録するのが最初の仕事だ。終われば、これもネットでそれに関連した画像を拾い、Blue-rayのラベル面を印刷する。映画であれば、画像、日本語のタイトル、制作国語によるタイトル、制作年、制作国、監督、映画の長さ、それに映画賞の受賞作であれば受賞したタイトルを印刷して、とりあえずの整理は終了する。

 昨日も同じ手順で仕事を進めた。数枚印刷すると、画像がかすれた。プリンターのインク切れである。

 なくなったものは補充しなければならない。この日あるを見越して、すでに10日ほど前、新しいインクを買っておいた。補充用のインクである。新しいカートリッジを買い求めに行き、初めてインクだけ独立して売られているのを見つけた。
 なるほど、メーカー純正のカートリッジは高価である。この補充用のインクを買い、多少の手間をかければ、数分の1のコストでで印刷できるようなる。プリンターメーカーは、そんなものを使ったら保証しないからね、といって脅すが、なーに、消費者はそんなことは見向きもしない。

 いや、私は多少脅しに弱かったようだ。これ、ずいぶん安いけど、大丈夫かしら?

 「あー、あの、ちょっと、この補充用のインクだけど、私、初めて使おうと思うのだが、大丈夫かね?」

 脅しに弱い私は、店員に念押しした。

 「大丈夫ですよ。詰め替えは簡単ですし、それで印刷できなかったという話もありませんから。色合いは多少違ってくるかも知れませんが」

 その店員の保証に縋って、詰め替え用のインクを買って、インク切れに備えていたのである。

 「やっとインクが切れたか。どれどれ」

 初めてのものに面と向かうときに、何となく興奮するのは、相手が女性である場合限らない。
 説明書に従い、付属の器具でカートリッジに穴を開け、そこからインクを注ぎ込んだ。インクを入れ終わったら、付属のシリコン製のパーツで穴を塞ぐ。赤のインクを入れるカートリッジに黄色のインクを詰め込むといった不手際があったのは、まあ、初体験だから許されるであろう。誰が許すのかは明瞭ではないが。

 詰め終えてプリンターに装填し、作業途中だったBlue-rayのラベル印刷を始めた。出てきたBlue-rayを見て、唖然とした。全体に色が薄く、緑っぽいのだ。

 「おかしいな。何か手順を間違ったか?」

 もう1枚印刷した。結果は同じである。薄く、緑っぽい。おかしい。

 おかしいとなると、俄然、原因追及欲が起きるのが私の特性である。何故こんなことが起きる? 原因を解き明かさねば次の作業に移れないではないか!?

 全体に色が薄く、しかも緑っぽいのだから、まず疑うべきはインクがちゃんと出ているかどうかだ。そこで、テストパターンを印刷してみた。数分して、テストパターンを印刷した紙が出てきた。点検する。どこにもおかしなところはない。すべての色で正常なパターンが印刷されている。かすれもない。

 「正常じゃないか。だったら、どうしてBlue-rayに印刷がおかしかったのか?」

 この結果を見れば、誰もがそう思うに違いない。私は、誰もが思い描くことしか思い描けない知識薄弱な人間である。
 が、慎重さはやや勝っているかも知れない。なぜなら、プリンターもインクも正常に作動していると確信しながら、すぐにBlue-rayの印刷には取りかからなかった。何しろ、Blue-rayはすでに録画済みなのだ。印刷面が汚くなれば、汚いまま保管する羽目になる。それは好ましくない。

 と考え、写真を1枚プリントした。少なくとも、緑がかってはいない。パソコンの画面と見比べても、

 「ま、こんなものか」

 と納得できる仕上がりである。やっぱり、パソコンもインクも正常である。

 「さっき印刷したときは、何であんな結果になったんだ?」

 考えても分からない。分からないことは素通りするに限る。次のBlue-rayを取り出し、印刷した。

 「えーっ、どうしてこうなる?」

 プリンターから出てきたBlue-rayは、やっぱり色が薄く、緑がかっていた。これではいけない。


 今朝、補充用インクを買った家電販売店に出向いた。紙への印刷は正常にできるのに、Blue-rayへの印刷は正常にできない。何故こんなことが起きるのか。どう考えても分からない。分からないが、このままでは作業が進まない。作業を進めるには、やっぱり正規のカートリッジを買うしかないのか。そう諦めてのことである。

 店に着いた。が、やっぱり腑に落ちない。店員を捕まえて問いただした。

 「前回、店員さんが大丈夫だと言うから補充用のインクを買った。それのに、こんなことになった。原因は分かる? 補償してくれる?」

 原因は分からない。補償はできない。まあ、そんなことだろうとは思っていたが、想定通りの答えしか返ってこなかった。世の中とはそんなものである。

 だが、私はねばり強い性格である。正規品のカートリッジとともに、ラベル印刷テスト用の紙を買い求めた。いくら何でも、Blue-rayではこれ以上の実験はできない。だったら、紙でやってみるべ、と考えたのである。とにかく、不可思議な現象には我慢ができない。

 自宅に取り、Blue-ray印刷用のトレーに、買ってきた紙を入れ、印刷してみた。出てきた紙を見て、再び

 「なんだ、これ!」

 と口走ってしまった。
 正常なのである。色が薄いこともなく、緑がかっていることもない。全く普通に印刷されているのだ。

 それを見極めて、Blue-rayの印刷を始めた。作業が正常に進む。あえて言えば、ややざらついた仕上がりになるものの、ちゃんと印刷できる。

 「だったら、昨日は何故できなかった?」

 私は怪奇現象など信じない。幽霊はいない。UFOは飛ばない。金のない妻帯者には、若くていい女は愛を捧げてくれない
 が、このプリンターとインクで起きた現象は、十分に怪奇である。いったい何故、こんなことが起きたのか?

 ま、正常に動き始めたからいいか、とも思うが、それって、若くていい女が寄ってきて

 「あり得ないことだけど、まあ、嬉しいからいいか」

 とやに下がっているのと似ているような気もする。
 ま、それもいいか。


 プリンターとインクの不具合に苛立った昨夜は、なんと2本立てで映画を見てしまった。

 1本目は、

 「中国は近い」

 1967年、ゴダールの作で、ベネチア国際映画祭で審査員特別賞と国際映画評論家連盟賞を受賞している。
 富裕な大学教授が、何故か社会党から地方選挙に出ることになるのだが、富裕なだけあって、こいつは貧乏人をはなから馬鹿にしている俗人である。
 この俗人に男女の雇い人がいる。2人は肉体関係があるのだが、男は金を目当てに大学教授の姉と懇ろになり、子供まで作る。大学教授は女の使用人に惹かれている。肘鉄を食らいっぱなしだったのだが、彼女はある日、自分の男が大学教授の姉と寝ている現場を目撃、教授に身を任せる。
 こうなったら男も女も一緒だ。

 「教授は私との仲がばれることを恐れて、あのときも必ず避妊する。私、教授と結婚したいので子供を作って」

 とその男に求め、見事に妊娠する。そして……。

 という話なのだが、いったいこれのどこが面白いのか? それに、登場人物がやたらと議論するのも、何となくしっくり来ない。
 やっぱり、私にはゴダールの世界に住めそうにない。

 2本目は

 「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」

 1本目を見終わったときに録画中だった。録画を継続しつつ、追いかけ再生して見た。
 ねえ、「猿の惑星」とくれば見たくなるではないか? それに、タイトルから判断する限り、あの名作「猿の惑星」の始原をたどる映画に違いない。「猿の惑星」を高く評価する私が見なくてどうする?

 見なきゃよかった。単なる「スパルタカス」の亜流。バイオレンス映画としてみればそれなりに楽しめるが、何のテーマも、深みもない。

 というわけで、今日も映画を見ようかと思っていたが、そろそろ10時である。そんな時間はなさそうだ。

 これから読書して寝る。

 では皆さん、いい夢を。

 

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