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 2013年5月6日 来た、来た

 息子たちが来た。昨日午後6時過ぎのことだ。
 私は自宅内の事務室でギターの練習に余念がなかった。目下、もっとも力を注いでいるのは、前回も書いた Stairway to Heaven である。ブラシングを交えて自在に動くリズムを何とか体に刻み込もうと、悪戦苦闘の最中であった。

 であるから、車の音も聞こえなかった。何だか居間の方が騒がしいと思って顔を出すと、息子と、その大学時代の友人2人がいた。

 「おっ」

 親子の挨拶とはその程度のものである。
 流石に友人たちの方は

 「お世話になります」

 とか何とかって、うち一人は土産を差し出した。息子ともう一人の友人は、ただ体を運んできただけである。ま、世の中とはそのようなものである。

 すぐに飯を食いに出た。目的地は、何度も日誌に登場した「こんどう」、鰻の店である。
 生ビールを飲み、鯉の洗い、鶏肉の網焼き、鰻のキモ焼きを口に運びながらビールを流し込む。つまみがなくなると、あとは鰻を食うだけだ。

 「あ、俺、大盛りね」

 1人がいうと、後の2人もいう。

 「俺も大盛り」

 見たところ、決してスマートではない3人。恐らく、このようなところに原因があるのだろう。

 そういえば、「こんどう」で席に着くなり、

 「ご馳走様です!」

 と叫んだ輩がいた。ん? そのような根性で乗り込んできたか?!

 「おい、誰も御馳走するとはいってない。おれはただ、この店に案内したに過ぎん。割り勘、割り勘。飲んで食った分はちゃんと払っていけ!」

 もっとも、いざ支払いの段階では、割り勘を宣言した私自身が、宣言を忘却していた。宣言された連中が記憶しているはずもない。
 息子までは、まだわかる。でも、息子の友人にまで、しかも間もなく40になろうという単なるオッサン連中にまで、何故私が食わせ飲ませしなければならないのか?
 人生とは謎の集まりである。

 さて、飲みながら、食いながら、何故か話題が私の数学に移った。

 「毎日2、3時間、高校入試問題を解いてるんだわ。いや、これがなかなか面白くて。時間がかかって、時には解けないヤツもあるけど、中学時代は勉強しなかったから仕方ないよな。でも、なかなか楽しいもんだよ」

 という私の話に乗ってきたのがいた。

 「いや、俺、数学はできたんで、だいじょうぶだと思うんですけど」

 「ん? だったら、やってみる?」

 「やろうじゃないですか」


 かくして、自宅に戻るなり、彼は数学に取り組み始めた。出した問題は、昨日午前中に解いた灘高の問題だ。

 「うーんと、これ、因数分解とか使います?」

 「黙ってやれ」

 「あ、問題、もう一回見せてもらえますか? 問題の中に、意外とヒントがあるんだよなあ」

 「ほれ、見てみろ」


 鉛筆を片手に、紙に数式を書き殴る。

 「いや、この、何というか、ふーん、うーん、ここを何とかすれば……」

 10分経過。

 「あのさ、答えは2なんだわ。2にたどり着きそう?」

 「……」

 
私の声が聞こえたのかどうか。

 「いやあ、俺、微積分だったら任せておけ、ってなもんなんだけど、これはねえ。何でこんな問題で答えが出るの?」


 見かねたのか、途中から息子が参戦した。こいつ、一度書いたが、早稲田実業を受験して、100点満点の数学で6点という立派な点数を採った剛の者である。

 「俺さあ、公式って全く覚えてないんだよね。昔からそうで、公式が必要になったとき、公式を導き出すんだよね。だから、ほとんどは公式を使わずに力業で計算して答えにたどり着いてたんだよ」

 答えにたどり着けなかったから6点だろうが。アホ!

 なのに、流石に我が息子なのだろうか。10分ほどすると

 「解けた!」

 最初から悪戦苦闘していた友人は、とうとう解答にたどり着かず……。

 時計を見たら12時近かった。
 40面をした男3人と63の男の4人。一杯機嫌で中学の数学問題に取り組んで夜を過ごす。ひょっとしたら、極めて気持ち悪いシーンかも。
 でも、なかなかないことだよなあ……。


 3人は朝飯を済ませ、今朝7時半ごろ出立した。が、昼近くになっても何の連絡もない。
 昼飯(ちなみに、今日はカレーライスであった)を口に運びながら、妻女殿に愚痴った。

 「連休最終日だから、混むのが嫌で早く出ていったんだろう。いくら混んでも、もう家に着いてるはずだ。連絡一本寄越さないとは、とういう根性だ?」

 妻女殿はシラッといった。

 「何いってんの、お父さん。今日、あの人たちはゴルフよ。終わったら、ゴルフ場のコテージかなんかに泊まるんだって。家になんか着いてないわ」

 「ゴルフ? 昨日やったんだろ?! 2日続けてゴルフ? どういうことだ?! それに、明日は平日、会社に出なければならない日じゃないか。どうしてゴルフ場に泊まる?」

 私はゴルフが嫌いである。世のゴルフ族に対して殺意に近い感情まで持つ。その息子が、連休中とはいえ、2日連続でゴルフ。
 かくして世は移り行くのか。


 さて、お読みいただいている方の中で、ひょっとしたら、最近の私に趣味ともなっている中学数学に関心を持たれる方がいらっしゃるかもしれないと思い、問題を1題、転載する。
 昨夜、息子とその友人が取り組んだ問題は、これである。

 「2次方程式ax2+bx+c=0が、x=1/2、1を解に持つとき、(2a+b+c)(a+2b+c)(a+2b+5c)/(a+b+2c)2(a+3b+4c)の値を求めなさい」

 文中にも書いたが、答えは2である。
 これが解けたらあなたも灘校に入学できる……、の年齢はお互い、遥かに通り過ぎてしまいましたなあ。

 

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