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 2013年8月9日 真夏の珍道中8 「どうしてイクラがないの?」

 帰郷(ここは難しい。私が九州に行くのも帰郷だし。九州から横浜に戻るのも、まあ、帰郷である。言葉とはややこしい)する7月28日、私と瑛汰は午前7時頃目覚めた。啓樹はまだ眠りを貪っている。
 そういえば啓樹は前夜、

 「ちょっと咳が出るから」

 と持参した薬を服用していた。小児ぜんそくの持病を持つ啓樹は、だが3年生になった今は、自分で自分の健康管理ができる。

 「啓樹は疲れているようだから、じゃあ瑛汰、二人で起きるか」

 居間、というには少しはばかられる狭苦しく、テレビが置いてある部屋に行くと、すでに母も弟も弟嫁も起きていた。

 「おい、瑛汰、怖いおじさんに挨拶しな」

 促すと瑛汰は、

 「俺、怖くないもん」

 と強がり、

 「お早う」

 と挨拶した。続いて母、弟嫁に挨拶した瑛汰は、ソファに座っていた弟の後ろに回ると

 「おじさん、肩叩いてあげようか」

 これは、前夜の5000円の効果か。しばらく肩を叩いて、あろう事か弟の膝に抱かれた。そして、私に向かっていった。

 「ねえ、ボス、今日もプール行こ!

 そんなに昨日のプールが楽しかったか?

 「瑛汰、いま何時だ?」

 「えーっと、7時半」

 「そうだな。今日10時頃の電車で福岡に行くと行ったよな」

 「うん、覚えてる」

 「だったら、まだ啓樹は起きてないし、そう、8時から朝御飯を食べるとするか。そうすると、プールに出発できるのは何時だ?」

 「えーっと、8時40分」

 「そうか。プールに行くのに20分ぐらいかかるから、プールに着くのは?」

 「9時!」

 「泳いで、またここまで帰って、それで10時の電車に乗れるか?」

 「……、乗れないよね」

 「だったらプールに行く時間はあるか?」

 「ない」

 理屈っぽいヤツを説得するには理屈っぽく行くしかない。

 8時近くなって啓樹が起きてきた。この時間まで寝ているとは、少し疲れがたまっていたらしい。

 「お早う」

 という啓樹に、

 「啓樹、咳は?」

 と聞くと

 「大丈夫」

 と答えた。少し心配していたが、うん、いいだろう。

 
 朝食。2人がとりわけ気に入ったのが袋に小分けされた味付け海苔である。

 「瑛汰、これ美味いね」

 「うん、これ気に入った」


 大変な入れ込みようである。

 「あのさ、璃子ちゃんも海苔好きなんだ。これ、持って帰っていい?」

 「そうだ、嵩悟だって美味しい海苔、食べたいに決まってる。いい?」

 許しを得て2人は、それでも遠慮したのか、2人で4、5袋ゲットした。

 「さあ、荷物をまとめろ」

 10時前後の電車に乗るには、そろそろ家を出なければならない。2人が荷造りをしている間に、高校時代の友人、M君に電話をした。

 彼は肉屋を経営する。その肉屋にレストランを併設していたので、実は、前日の夕食は彼のレストランで取る計画を立て、桐生にいる間に電話をしていた。

 「おお、久しぶり」

 「ほんなこて久しぶりやねえ。そっで、どげんしたと?」

 「今度大牟田に行くんだ。娘の子供2人を連れて、な。それで、落ちのばあさんたちを連れて外で食事をするんだが、お前の店が開いてたら、予約したいと思ってな」

 「あ、御免。やめたもん」

 「ん? 肉屋もやめたのか?」

 「うんにゃ、肉屋はしよるばってん、食堂は客の入らんけん、6月で締めたったい」

 「そうか、大牟田も人口が減ってるだろうからな。だったら、どうせどこかで飯を食うんだ。お前も来ないか? 久しぶりに一杯やらないか?」

 「それが、でけんもん」

 「冷たいじゃないか。飯ぐらい付き合っても良かろうに」

 「そりがたい。γGTPの3000ば超えたもん。医者に肝硬変一歩手間です、ちいわれてくさ、ほんなら酒ば辞めたらなんとなるとやなかろうか、ち思うて酒ばやめたったい。そりやけん、付き合えんもん」

 
γGTPが3000超? 私の記憶によると、γGTPの基準値は確か79だったはずである。日常会話では、

 「γGTPが200を超えちゃってさあ、俺、禁酒を言い渡されちゃったよ」

 などと用いる。200超でも騒ぐのに、3000超?

 「お前、本当に生きてるんだよな?!」


 という会話を交わしていたのである。
 一目会いたいと思いながら大牟田に来たが、そんな時間もなくこの日を迎えた。せめて、一目でもあって戻りたいと思っての電話だった。

 「ああ、社長ですか? まだ店に来とらんとですよ。いつでん、朝の配達ばしてから見せに来っとですたい」

 いい加減男の代名詞であったM君も変われば変わるものだ。

 「何時頃店に着くか分かりますか?」

 「そん日で違うですけんねえ。分からんとですよ」

 であれば仕方がない。M君にあうのは断念、弟に車で大牟田駅まで送ってもらい(91歳の母も、「来なくていい」というのを聞かず、この車に乗って我々3人を大牟田駅まで送ってくれた。いくつになっても、子供は子供ということか。感謝!)、10時過ぎの西鉄電車福岡行き特急に乗り込んだ。一番前の車両の一番前の席である。ここから前を見ると、電車の運転士になった気になれる。

 と思ったのだが、啓樹も瑛汰も、15分もすると飽きたらしい。瑛汰、どうして前を見ないんだ?

 「だって、レールしか見えないんだもん」

 ま、そりゃあそうだが……。

 電車は柳川をすぎ、久留米を過ぎると混んできた。我々の席のそばに、品のいい高齢のご婦人が立った。

 「瑛汰、眠いんだろ?」

 1人前の席を占拠していた瑛汰に声をかけると、

 「うん、眠い」

 「だったら、ボスが抱っこしてやるからここで寝ろ」

 席を一つ空けてその老婦人に席を勧めた。

 「いいえ、お子さんを座らせてあげてください。ほら、暑いから抱っこしてると、汗をかいて大変ですよ」

 と遠慮されたのも奥ゆかしい。

 私の膝に乗った瑛汰は、間もなく本当に寝てしまった。元気そうに見えたが、こいつも疲れていたのか。朝寝をした啓樹は窓から外を眺めている。よし、勉強タイムと行くか。

 「啓樹、もうすぐ二日市って駅に着くぞ。啓樹が住んでるのは四日市だから、その半分の駅だ」

 「ククッ、ホントだね」

 これは勉強タイムの導入部である。

 「啓樹の住んでるところは四日市、ここは二日市、ほかにも五日市とか、八日市とか、市の付く町はたくさんあるんだ」

 「ふーん、そうなんだ」


 「市っていうのはね、元々はものを交換する場所のことをいうんだ。まだお金のない時代、だからお店もないころに、お米を作っている人が、お米だけではおかずがなくて困るから、野菜とか肉とか魚とかとお米を交換したいと思う。野菜を作ってる人は近くにいるだろうから、お米を持っていって『交換して』と頼めば手に入るだろう。だけど、肉は、牛や豚を飼っている人のところまでは遠い。魚となると海のそばまで行かなきゃならない。いちいちそんなことやってたら大変だろ?」

 「そうだね」

 「だから、市っていうヤツをつくったんだ。みんなが集まって、自分のものとほかの人の物を交換する場所だ。いつ開くかを決めておけば、決められた日にそこに行くと米もある、野菜もある、果物もあって、肉も魚もある。それだったら簡単に欲しいものが手に入るよな」

 「その人、頭いいね」

 「で、毎月四日に市を開くことにしたところに四日市って名前がついた。ここは二日に市が開かれた。五日に開いたところは五日市だ。八日市は何日に市が開かれたか分かるよな?」

 「うん、八日だね」



 ふむ、知識がすんなり啓樹の頭に流れ込む。これは、先を続けねば。

 「この二日市から電車を乗り換えると、太宰府ってところに行く。ここはね、昔、菅原道真、って人がいたところなんだよ」

 この程度では、啓樹の関心を引くのは難しい。

 「菅原道真って、いまから1200年ぐらい前の人でね、その人、ボスみたいにすごく頭のいい人だったんだ」

 「へーっ、ホント?」


 この「ホント?」が何に対する疑問なのか。ボスが菅原道真と同等に頭脳明晰であるという表現に対する疑問なのか、ボスほど頭のいい人がほかにいるはずがないという疑問なのか。不明である。

 「すごく頭がいい人でね、そのころ一番大きな町は京都だった。そこに偉い人がいっぱいいて、菅原道真は頭がいいからどんどん偉くなっていった。でもね頭のいい人は嫌われるんだ。ボスを嫌いな人も沢山いる。菅原道真を嫌いな人がその頃沢山いて、いっぱい悪口を言った。だから菅原道真は京都で偉くなれなくなって、京都から太宰府に転勤させられたんだ。ほら、ボスだって東京から桐生に転勤しただろ。でも、菅原道真は大変偉い人だったから、死んでから神様になっちゃって、太宰府にまつられたんだ。太宰府天満宮っていうんだよ、そこを」

 ま、誇張はあっても、歴史的には正しい叙述である。なのに、瑛汰に代わって啓樹の隣に座った老婦人がクスッと笑った。

 「あのー、何か?」

 「いえねえ、ボスみたいにすごく頭のいい人だったって。ボスってあなたのことでしょ?

 「ああ、そこですか。はい、私がボスです。で、こいつらにとって、いま世界で一番頭がいいのはこの私のはずなんです。だから、話をより分かりやすくするのに、はい、そういいました」

 私の隣で、柳川から乗り込んで以来、韓国語学習のテキストとにらめっこをしていたご婦人も、会話が面白かったのか、にらめっこを辞めて会話に加わってきた。そこに、瑛汰が目覚めた。

 「僕、どこから来たの?」

 「俺、瑛汰っていうんだけど、神奈川県。この人は三重県。従兄弟でね、啓樹っていうんだよ」

 「そうなの」

 「俺たちね、ボスと3人で九州に来て、大牟田で大ババにあって、阿蘇に行ったんだ。馬に乗ったんだよ」

 「うん、僕、一人で馬に乗れた。かかとでおなかを蹴ると、馬は動くんだ。それでね、流しソーメンも食べた」

 福岡駅に着いた。


 福岡での教育目標は一つだけであった。土産を買うこと。それだけである。パパとママと璃子と嵩悟、それにババにも土産を買う。啓樹と瑛汰が、これなら喜んでもらえると思うものを選ぶ。金はボスが払う。
 2人に課題を与え、まず、荷物を歌詞ロッカーに入れ、身軽になって福岡の町を歩き出した。

 が、啓樹と瑛汰の関心事は、まず自分であった。

 「あのさ、ボス。帰りの飛行機で読む本が欲しい」

 我々は天神町の書店を2店周り、啓樹、瑛汰、それぞれ2冊づつ本を選んで買った。そろそろ昼時である、

 「よし、寿司屋に行こう」

 寿司は2人のリクエストであった。天神町の音羽寿司に向かった。握りを3人前頼む。うち2人前はわさび抜きであることはいうまでもない。しばらく待つうちに、寿司桶が出てきた。

 「ねえ、ボス」

 瑛汰が言う。

 「これ、どうしてイクラがないの?

 なるほど、イクラは入っていない。

 「イクラは、もっと高い寿司を頼まないと入ってこないんだよ」

 「えーっ、イクラってそんなに高いの?」

 「そう、高いんだ」


 啓樹が口を出す。

 「一粒1億円だったりして」

 啓樹、お前はボスの家に来てイクラどんぶりを食べたこともあるだろう? 1粒1億円のものが、ボスの家で出せると思うか?

 見ると、啓樹はウニを頬ばっている。どうだ、啓樹、ウニはうまいか?

 「僕、これ嫌い。なんかさ、口の中でグニュッてして気持ち悪い」

 ああ、そうですか。あんたはグルメで。

 「でも、マグロは美味しいよ」

 ……で、3人分、4725円也。決して安い寿司ではないんだがなあ。

 
 残るは、いよいよ土産探しだ。まず新天町を歩く。ああ、ここも変わってしまった。コーヒーのミニヨンもない。かまぼこの美味い店もなくなった。私の学生時代とは様変わりである。見るべきものはない。土産になりそうなものは皆無である。
 
 福岡駅地下のショッピング街に入った。昔は、ここには目につくものがあった……、のだが、いまはレストラン街と食品センターしかないのか……。あった、何だか、福岡土産を沢山揃えた店があった。

 「啓樹、瑛汰、さあ、ここで探せ」

 2人は

 「これ、璃子ちゃんが好きそう」

 とひよこの形をしたゼリーを選び、

 「嵩悟はお茶漬けが好きだから」

 とお茶づけ海苔を籠に入れる。

 「これ、きっと喜ぶぜ」

 と私が誘導してにわかせんべいを選ばせる。さて、そのほかに何を選択したのか、2週間ほど前のことなのに、余り覚えていない。ただ、大きな袋がいっぱいになったことは確かである。

 よし、これで土産もそろった。時計を見る。午後1時半。ん? まだ1時半? 飛行機は3時55分だったな。空港に行くには早すぎる。さて、どうする?

 大人同士なら喫茶店に入って時間をつぶす手がある。一人なら、喫茶店に入って本を読めば時間は過ぎる。惚れた女と二人なら……。
 が、私は啓樹、瑛汰との3人旅だ。さて、どうする?

 そういえば、まだ博多うどんを食べていない。一度も行ったことがない「かろのうろん」という気になる店がある。

 「啓樹、瑛汰、うどん食べに行こうか?」

 「いいよ、おなかすいてない」

 
 いや、そんな問題ではない。次にいつ来るか分からない福岡で、美味いうどんを食わないか、多少胃に負担をかけても、食べたいと思わないか、という話なんだが……。
 これも、啓樹、瑛汰が相手では通じないわな。

 仕方なく、天神のパルコに入った。啓樹が、楽器が見たいという。

 ここに入っているのも島村楽器だった。こいつら、全国を制覇する気か?

 店に入ったが、特に見るものもない。
 ふと思いついて、子供用のギターを見た。啓樹はピアノの道に邁進しているが、ひょっとして瑛汰、ギターやらない?

 「ミニギターが見たいんだけど、調律があうミニギターってあるかな?」

 ここの店員は、異様に正直であった。

 「ああ、ないですね。どれも、詰まるところ、音は合わないですよ。このサイズでは無理です」

 そうか、それで啓樹、瑛汰に買ってやった4980円のギターは音が合わないんだ。

 「あそこ、あそこにあるのはMartinのミニギターじゃない?」

 「ああ、そうです。そうですね、ミニで音が合うものといったら、ギリギリであれしかないですね」

 「ちょっと見せて」


 調律してもらって弾いてみた。何だかボソボソした音しか出てこない。私が愛し続けながら拒否され続けている我が家のMartinとは比較しようがないほどひどい音だ。値札を見ると、それでも4万円超

 「この音で、こんな値段? 子供はギターやるなってこと?」

 が、それしかないのなら仕方がない。

 「瑛汰、お前、ボスみたいにギターやる?」

 「俺さ、サッカーで忙しいからできないの」

 ……。


 ウンチをしたい啓樹がトイレに行く。待ちながらベンチで本を読む瑛汰に

 「ボス、タバコしてくる」

 と目の前の喫煙室に入る。
 啓樹が出て来るのを待って、同じフロアのサッカーショップ、トミカショップを回る。トミカは最近、嵩悟のお気に入りで、啓樹が

 「これを嵩悟に持って行きたい!」

 というかと期待したが声なし。ついつい私が、

 「嵩悟はシールが好きだろ?」

 とトミカのシールを勧め、やっと1点お買い上げ。ま、支払いは私であるが。

 
 「ボス、俺の本は?」

 と瑛汰がいったのは、これから空港に行こうと、エレベータの前にたどり着いたときだった。

 「お前の本?」

 「ボス、預けてなかった?」

 「お前の本はあずかってない。それでなくても、ボスはこの思いお土産を持って歩いてるんだ。瑛汰、何処に置いた?」


 と叱りつけたが、それで出てくるものでもない。やむなく、まず楽器店、次いでサッカーショップ、最後にトミカショップに足を運んだ。

 「ああ、これですね」

 「何処にありました?」

 「はい、この陳列棚の前に」

 トミカのミニカーに夢中になった瑛汰は、床に置いた本の袋を忘れてしまったらしい。

 「瑛汰、ケツを出せ」

 「御免、ボス、お尻は勘弁して」

 「勘弁できねえ。ケツだ、ケツ。瑛汰、ケツを出せ!

 私は、必要な体罰は容認する。しなければ、子供は人になれないと思っている。


 時間があったので、地下鉄で福岡空港に向かった。ここでも土産を買わなくてはならぬ。次女に頼まれた三日月屋のクロワッサンである。あいつ、俺が九州に行くたびに買って来いっていうなあ。が、頼まれた以上、買わないわけにはいかぬ。次女は誰かにプレゼントするつもりらしい。

 店にたどり着く。

 「啓樹、瑛汰、何種類のクロワッサンがあるか数えろ」

 2人が数え始めた。

 「ボス、12!」

 「よし、だったら、12種類のクロワッサンを2つずつ籠に入れろ」

 「入れたよ!」

 「うん、全部で30にしたい。だから啓樹、瑛汰、あといくつで30になる? 6個か。2人で何個ずつ選んだら6個になる? そう、3個ずつだな。よし、3個ずつ、自分の好きなのを選べ」


 30個選んだ。レジに持って行くと、そばに

 「アップル」

 というクロワッサンがある。

 「おい、アップルって、あったか? なかった。それならアップル2個だ」

 計32個。これだけまとめて買っていく客も珍しかろう。これで大きな土産袋2つ。えーい、明太子も買っちゃえ!

 私は両手に荷物を提げて飛行機に乗り込んだ。


 横浜の次女宅には6時半頃着いた。待ち受けていた璃子と、啓樹、瑛汰の4人でまず入浴。終えて食事。終わると土産開きである。

 「わーい、これ璃子たんの!」

 歓声が上がる横で、次女は

 「これはお姉ちゃんとこ。これはうち。これはお母さんね」

 土産の分割に余念がない。


 はーっ、と。やっと戻ってきた。
 仲間はいう。

 「あんた、元気ね」

 「そんな爺さん、いないんじゃない?」

 私はそれほど元気ではない。現に、疲れ果てて横浜に着き、その日は早々と寝た。
 そんな爺さんがいるかどうかは気にしない。他人と同じになる必要は全くない。そうしたくてそうできるのなら、やればいいのである。


 翌日、啓樹と瑛汰は次女に促され、大牟田の大ババに送る礼状を書いた。終えて啓樹を新横浜まで送って新幹線に乗せ(啓樹の母親、つまり私の長女は、啓樹に帰りの新幹線料金を持たせていなかった。ふむ。ま、持たせていても、私が出したとは思うが……)、私は次女宅で昼食を済ませたあと、

 「お願い、ボス、将棋しよ!」

 と言う瑛汰を冷たく突き放し、

 「ボスと遊びたかったら桐生に来い。来たくなったら電話しろ。ボスが迎えに来てやる」

 と言い置いて桐生に戻った。

 自宅についての第一声は

 「疲れた!」

 そんな年齢かも知れない。いやいや、二晩で疲れは取れた。俺、まだまだやれるぜ! そこの姉ちゃん、俺と付き合ってみないか? 楽しい思い、夢見心地をいっぱいさせてやるぜ。ただし、時々2日間の休暇を許せよな。


 やっと九州旅行を書き終えた。次回より、通常の日誌に戻る。

 

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