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 2013年9月25日 メロメロ

 との表現が、一番実態を表す1日であった。

 まず、目覚めが悪かった。
 妻女殿に、足の裏を蹴飛ばされて目覚めた。枕元のiPhoneで確認すると、まだ午前7時を少し回ったところである。このような早朝に、何故に私は足裏を蹴飛ばされて目覚めねばならないのか?

 起動したてで、まだすべての必要ソフトが読み込まれていない頼りない頭脳で解析した。
 本日、妻女殿はどういうわけか起き抜けから機嫌が悪いのか?
 妻女殿の機嫌を損ねることを、昨日の私がしたか?
 それとも……。

 そこまで考えて、やっと正解にたどり着いた。
 そうだ、今日は朝早く家を出て仕事に行くといってあったんだ。午後からは太田市に出かける約束もある。だから、まあ、多少手荒いが、妻女殿が惰眠を貪る私を起こしに来たのだ。
 でも、蹴飛ばすか?!

 そう、本日は午前9時過ぎに、群馬大学工学部の先生と会う約束があった。それだけでなく、午後2時には太田市の運動公園まで体を運び、スポーツ関係者と会うことになっている。
 私にとしては、非常に多忙な日なのであった。

 「何で蹴飛ばすんだ!?」

 ともいわずに私が布団を離れたのは、正常な記憶を取り戻したからである。


 午前7時すぎまで惰眠を貪る。それにはわけがある。
 昨夜、前橋、太田に棲息する我が後輩どもが、

 「相談があるのです。桐生で酒を飲みながら話をしたい」

 といってやって来たからである。

 私から積極的に人を集めることはしない。しかし、求められれば何処にでも出ていき、求められる話をする。それは、定年後再雇用で桐生に来た私が原理原則とするところである。齢を重ねたことをいいことに、無闇矢鱈と見識を振り回せば、組織は混乱する。ましてや、己の見識を核に徒党を組めば、全員が迷惑を被る。しかし、求められたら己の蓄積したノウハウを提供せねば、齢を重ねた甲斐がない。

 現れたのは4人である。市内の洋食店に誘い、まずはビール、次いでワインなどを流し込みながら、エスカルゴを食べ、ステーキをぱくつく。

 「酔わないうちに仕事の話をしようか」

 何でも、仕事に一つの企画を持ち込み、横断的に展開したいとのことだった。まあ、それなりに話をして、次いで、遅れて現れた若手の抱える課題を話題にした。
 このあたりまでは、みな正常であったと思う。

 話が一段落すると、いま、当社の群馬勢に勢いがないのは何故か、が、話題となった。みな、憤懣が蓄積しているらしい。私は、まあ、普段貯まったイライラを捨てに行くゴミためというところか。
 詰まるところ、群馬の責任者と、その下で働く中間管理職に問題あり、というのが皆の見解のようだ。
 このような人的な問題には、対処する術がない。まあ、全員でシカトするか、公開の場で論理で相手を突き詰めて辱め、破産させるしかない。

 「やる? やるんだったら、もっと材料を集めな」

 が、小さな組織で、特定の個人を辱めるのはなかなかむつかしい。辱めた翌日も、やっぱり顔を合わせねばないのである。

 話がやがてグズグズになって、求められてギターを弾いた。何しろ、

 「安堂さんのギターを聞きながら企画を語る会」

 とのタイトルがついた飲み会だったため、まさか本当にギターを弾く羽目になるとは考えなかったが、念のため、車にギターを積み込んでおいた。話に一段落ついたころ、その店には我々しかいなくなり、

 「ああ、他人さまに迷惑をかけることはなくなった。じゃあ、やるか」

 となってしまった。で、車までギターを取りに行き、やっちゃったのである。

 それまでに生ビール3杯、ワインを全員で3本。まあ、酔っている。よって、酔わなくても下手なギターが、ヨレヨレに酔った状態で上手く弾けるわけがない。
 人生の恥はかきすて。そう思い定めないと、このような児戯は出来ない。

 「いい音ですね」

 という反応はあった。

 「うまいですね」

 という反応はなかった。ま、当然か。

 終えて時計を見ると、もう10時半。そろそろ帰らないと、明日は9時半だもんなあ……、と思った矢先、

 「もう1軒行くでしょ?!」

 言い出したのは誰だったか。まあ、挑まれて尻尾を巻く私ではない。店を変え、酒を飲み、仲間の1人は、本場スペイン仕込みというフラメンコを踊り出し……。

 「そろそろ帰るか」

 タクシーと運転代行を呼んだのは、日付変更線を越えた零時半頃であった。ああ、やっと帰れる、と気持ちがゆるみ始めたとたん、忘れ物に気がついた。

 「あいつ、携帯電話とコートを置き忘れてるよ」

 一緒にタクシーに乗った同僚に電話をかけ、呼び戻す。ちなみに、置き忘れの主は、フラメンコを踊っちゃった女性である。私にも情はあるから、年齢はあえて記さない。

 そんなこんなで、自宅に着いたのは午前1時前。久々の深酒で、しかも、齢を重ねると前日の酒の残り方が幾何級数的に増え、よって翌朝である今朝、

 「何で蹴飛ばすんだ!?」

 になった私であった。

 二日酔いでの仕事は億劫である。出来ればキャンセルしたい。しかし、申し出たのは私である。私からキャンセルするわけにはいかぬ。

 しかし、である。
 私は並外れた傑物であると再確認したのも本日であった。
 出来ればキャンセルしたい会合に、二日酔いの頭で出かけた私は、それでも、相手に会うと同時に、何の問題もなくフルエネルギーモードに突入、圧倒殲滅型トークを繰り広げたのである。

 それは、午後の部も変わらなかった。
 昼食を早めに済ませ、太田市に出かけた。約束の時間より1時間ほど早くついた私は、車中で昼寝をした。睡眠が不足していたのであろう。とにかく、朝から眠くて眠くて仕方がなかったのである。
 恐らく、眠りに引き込まれたのはホンの5、6分だろう。目覚めたとき、まだ1時半だった。が、何となく頭はすっきりして眠気も覚めた。
 よし! 約束の午後2時、私がフルエネルギーモードに即座に移行したのはいうまでもない。

 なのに、4時過ぎに自宅に戻ると、もう何もする気が起きない。腹横筋の強化運動も、高校入試数学も、ましてやギターも、何にもする気が起きない。

 ま、仕事に必要な間だけはフルエネルギーモードになれることが確認できた。それだけを持ってよしとするしかない1日であった。

 ふむ、今日は早めに寝るかなあ……。

 

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