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 2014年6月15日 一息入れて

 昨日、総勢6人の大訪問団を桐生にお迎えし、接待役を無事果たし終えた。今日は一息入れているところである。

 ご到着は午前11時16分新桐生着の東武線。駅まで車でお迎えにあがり、うなぎの「こんどう」との間を2往復して送り届け、全員がテーブルに着いた。

 「酒飲む?」

 「いや、お飲みになりたい方はどうぞ。私は車があるので後で追いつきます」


 私はノンアルコールビールを飲みながら、全員で鯉のあらい、鳥の網焼き、鰻の肝、漬け物を口に運びながら雑談を続け、やがて鰻。

 「この鯉、臭くないね。桐生って、やっぱり鯉も食べるの?」

 恋ならいくらでも食ってやるが、桐生にも恋を食ってるヤツは沢山いるだろうが、鯉が他の店で出されることはほとんどない。だから、私の返事は

 「知らん」

 しかし、臭い恋、ってのもあるのかな?

 「ああ、やっぱ美味いわ、この鰻。ああ、来て良かった!」

 あんた、俺に逢いに来たんじゃなくて、鰻を食べに来たのか?!

 全員、ほどよくを遥かに超してお腹を膨らませ、私の車とタクシーに分乗、わが家へ。本格的な飲み会を始める。
 ま、話はどうせ雑談だ。中身など、どうでもよい。雑談をする時間を共有することに意味があるのである。

 「いや、今日さ、『安堂さん、ネットワークオーディオって知ってる?』って言おうと思って来たら、電車の中でI君に『安堂さん、もう始めてますよ』と言われちゃって、話すことがなくなってさ」

 といったのは、6人の頭目であるらしいH氏である。何でも、2年ほど前から高音質再生のネットワークオーディオに着目、いろいろ調べていたらしい。

 「へえ、そういうところを見ると、あなたもネットワークオーディオにしたの?」

 「いや、俺はまだなんだけどさ」


 自分で実行していないことを私の教えようとはねじ曲がった根性である。彼の腰も少しねじれており、最近は足に痺れが出始め、

 「だから、最近腹筋をやってるんだよ。鍛えないと」

 そういえば、前回会ったときより、3、4kgは痩せたように見える。
 それはそれとして、

 「ということは、ネットワークオーディオを聞くのは今日が初めて、ってこと?」

 「そうそう、でも、やっぱりいいね、これ。ほんといい音だ」


 雑談はこのような内容だから、いちいち復元することもあるまい。

 驚いたのはI君(50を過ぎている人に「君」はいかがかとも思うが)である。
 彼がクリスキットの真空管アンプを使っていることは知っていた。とにかく音が良くて、手放せないのだという。

 「いや、桐生にOさんという人がいてさ、ここでネットワークオーディオを聞いていたく感じ入ったらしく、ネットワークプレーヤーを買って、俺のNASを持っていったんだわ。まだうまく動いてないらしいけど、彼がクリスキットを欲しがっててね。ヤフオクで探すしかないよと言ってあるんだけど、なかなか出てこないんだわ」

 これも雑談の延長である。雑談とは手近にあるネタを最大限活用して繰り広げるものである。だから、そこから何かが生まれることはほとんどない。
 ところが、昨日は違った。

 「そうなんですか。じゃあ、譲りましょうか?」

 「えっ、だって君、自分で使ってるんだろ?」

 「僕ね、クリスキットのプリアンプ、4組持ってるんです。真空管もトランジスタもあります。で、どっちがいいんですか?」

 「そりゃあ、もうトランジスタだと思うけど」

 「いいですよ。レコードも聴けるMark 8ですけど、それで良かったら譲りますよ。どうせ使ってないですから」

 すぐにO氏に電話をした。もちろん、欲しいという。

 「で、いくらだったらいいの?」

 「お金をくれるんですか? いくらでもいいですよ」

 「ヤフオクでは、おおむね4万円前後で取引されているようだけど」

 「そんなにくれるんですか!」


 結局、価格は3万5000円で落ち着いた。いや、I君の了承はまだ得ていないが、話の流れではこれで落ち着くはずである。近々、わが家に送ってくれると思う。
 ま、私が得をしたわけではないが、これでO氏が喜ぶと思うと、私も何となく嬉しいのは不思議だ。

 6人中4人は午後5時半頃引き上げた。
 H氏とI君は残り、4人を送り出すとすぐに近くの居酒屋に席を移した。ここでも、日本酒を楽しみながらの雑談である。2人も、7時半過ぎにタクシーで新桐生駅に向かった。

 ああ、忘れていた。I君は(ひょっとしたら全員で? 確認しなかった)嬉しい土産を持ってきてくれた。幻の焼酎ともてはやされる「森伊蔵」の1升瓶である。

 「安堂さん、ここで開けるのはもったいないから、他で呑んで下さい」

 そうか、集まったのはその程度のメンバーか。しかし、さて、いったい何処で呑んだらいいものか。

 かようなこともあろうと思って、私も土産を用意していた。黒保根の米である。電車で持ち帰ってもらうのだから、1人3kg。丈夫な紙袋に入れて

 「電車の中に忘れないでよ」

 と渡した。
 そうそう、あの、The BeatlesDVD、「Let It Be」の4枚セット、2001年のEric Clapton日本公演のNHKハイビジョン放送版、も土産の一部とした。これは、希望者のみとし、幹事役のI君を通じて全員に打診してもらった結果、2人が

 「すでに持っている」

 と言うことだった。結果、4枚。
 しかし、文化的素養、音楽的感性、ともに欠けていると決めつけていたH氏が「両方欲しい」組に入っていたことには驚いた。渡す際、思わず

 「あんたもいるの?!」

 と口走っってしまった。

 この会合、次回は東京で開くそうだ。

 「新宿にいい居酒屋が見つかって」

 とのことで、場所も決まった。夏を乗り越えたら、東京に飲みに行かねばなるまい。


 夕刻、

 「璃子ちゃんが熱が下がらなくて」

 と、我が妻女殿が、ギター練習中の私の元に来た。

 「それで、イチゴが食べたいって言うんだって。だけど、横浜の家の近くじゃ置いてないらしくて。どこかなかった?」

 そういえば、今朝は農協、スーパー、魚屋に買い物に行かされた私であった。でも、イチゴ?

 「イチゴはシーズンはずれてるしなあ」

 が、嘆息するより動くに限る。

 「行ってみるわ」

 近くのスーパーに行くと、だが、イチゴがちゃんとあった。糖度は10度。「美味しい」というレベルだと書いてある。
 璃子に電話をした。

 「璃子ちゃん、イチゴあったわ。他に食べたいものないか? 林檎とかメロンとかイチジクとかあるぞ」

 「うーん、璃子、が食べたい」


 桃? こいつも季節外れだなあ。が、探す。すると、あった。
 店員に聞く。

 「この桃、美味い?」

 「正直言って、美味くないです。で、お客さん、このイチゴもどこかに送られるんですか?」

 「うん、横浜にね」


 「やめて下さい。必ず傷みますから」

 「でもね、病人が食べたいといってて、横浜じゃ見あたらないらしいんだよ。悪くなるのを覚悟してクール便で送ってみるわ。ありがと。悪くなってもクレームつけないから」


 その後、璃子は林檎も食べたいというので、林檎も加え、夕方6時過ぎに宅急便を出した。

 その後、妻女殿が電話。

 「あ、そう、璃子ちゃん、いまご飯なの。えっ、夕ご飯は璃子ちゃんのリクエストで餃子? 餃子が食べたいって言うの? 熱があるのに」

 璃子の食欲は衰えることを知らない。
 知らないぞ、ナンシー関状態になっても。

 が、食欲があるのなら心配はあるまい。早く元気になれ。


 ではあるが、何とかならないものか、ワールドカップ。

 新聞を開いてもテレビを見ても、いまや

 「サッカー? え、ワールドカップって、今やってるの?」

 などと口走ろうものなら、非国民扱いされかねない空気が漂う。
 最たるものはNHKである。生中継、録画中継、再放送、ニュース、テロップによる臨時ニュース。ワールドカップと冠がつけば何でもアリの状態だ。

 選手の出身学校、選手が慰問に行った先、海水浴場、挙げ句の果ては札幌のホストクラブにまでカメラを持ち込み、いかに善良な(ホストクラブが善良であるとして)国民がこぞってワールドカップの日本を応援しているかを、これでもかと言わんばかりに垂れ流す。

 何でも、NHKが支払ったワールドカップの放映権料は300億円前後だそうだ。1円の増収もありえない事業に300億円もの金を投入する神経もいかがかと思うし、金を出した分ははしゃがなきゃ、といわんばかりの番組作りに至っては、目を背けたくなる。
 瑛汰の命令で、全試合を録画せねばならぬ私は目を多いながら作業を続けるのみである。

 ねえ、サッカーって、たかが玉蹴り競技でしょ?
 そんなもんに熱中するな、とはいわない。だが、たかがそんなもんに熱中する自分をどこかで恥じる神経があって初めて、人は成熟するのではないか。
 
 今のファンって、そんな神経のかけらも見られないもんなあ。テレビカメラの前で

 「大丈夫です、勝ちます。日本は必ず勝ちます!」

 なんて興奮してくっちゃべるそれなりの年齢の連中に知性はかけらも見受けられない。アホ!

 かくして、為政者にパンと見せ物をねだったローマの市民は、いま甦ったのである。これを衆愚と呼ばずして何と呼んだら良かろう?

 

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