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 2014年9月5日 従軍慰安婦

 朝日新聞が袋だたきにあっている。経緯を見ていると、まあ、それも仕方あるまい。

 旧日本軍が、当時は植民地であった朝鮮の女性たちを強制連行して、日本軍御用達の売春婦として弄んでいた。朝日新聞が30数年前に報じたことが事実なら、言語道断のことである。

 ところが、その根幹となっていた証言の信憑性が崩れた、だからその分を訂正します、というのが、朝日新聞が先頃新聞2ページを使ってレポートしたところである。

 「おいおい、それだけか? あの報道があったから、いまでも日韓関係がぎくしゃくしているんだろ? それを、訂正するだけでお詫びもなしかよ。責任もとらないって?!」

 そんな罵声が浴びせられるのも理解できる。

 そもそも、この報道には最初から無理があった。

 軍隊とは血気盛んな男の集団である。それが一般社会から隔離され、自分の命と引き替えに敵の生命を奪うよう強制される。女性のいない毎日で募る欲求不満に加えて、明日の命が知れない暮らしによる不安。多くの男たちが、例え相手が売春婦であっても、言葉が通じなくても、女の肌の温もりで一時の忘我を求めるのは非難できまい。恐らく、軍隊とは、そのような女性たちの犠牲を伴わねば成立しないものである。

 だが、見方を変えれば、これはビジネスチャンスでもある。何しろ、軍隊にくっついていれば、女の肌を狂ったように求める男たちがわんさといるのだ。売春を業とする連中にとっては、文字通りのかき入れ時である。戦争様々である。我も我もと、軍御用達の売春宿を経営したに違いない。
 商品である女性の調達は、その連中が自主的にやったはずである。

 「そこまで軍人さんたちにご迷惑はかけられません。なーに、わたしたちもこれでお国にご奉公しているのですから、はい、おまかせ下さい」

 てなものである。軍が自ら女性たちを強制連行しなくても、女の生き血を吸って金儲けをしようという男、女がうごめき、金で、暴力で、商品である女性たちをかき集めて働かせたはずである。

 放っておきさえすれば、軍が駐屯するところには、雨後の竹の子の如く売春宿が林立する。それなのに、何故に軍隊が、わざわざ売春用の女性たちを強制連行せねばならないのか?

 という、極めて簡単な現実論がどこかにしまい込まれたまま、従軍慰安婦報道は暴走してしまった。朝日新聞の記者の方々は、世の中はいってんの混じりけもない純水ではないことを知らなかったのか?
 いや、女の生き血を吸う輩を認めよというのではない。連中は殺しても飽き足らないほど憎むべき人間である。だが、完全な人間など何処にもいないように、いや、いないからこそ、世の中もかならず汚れた部分を引きずっているのである。
 その汚れの部分を知らないまま生きていければ幸せだろう。だが、そのような幸せな人はペンを持ってはいけない、と私は思う。

 少し歴史をさかのぼれば、戦争に負けてアメリカに進駐された日本では、政府が売春婦を集め、

 「我が国の健全な淑女たちが米兵の毒牙にかかって貞操を奪われないよう、あなたたちが楯になっていただきたい」

 と頭を下げたという。
 つまり、君たちが米兵を相手に一所懸命に売春をしてくれ、ということである。君たちが米兵の精力を抜き取れば、一般の子女が毒牙にかかる危険が減る、というわけだ。

 当時、パンパンと呼ばれた彼女たちは、だが、おかげで毒牙にかからずに済んだ女性たちからは、厚化粧で米への腕に縋って歩く姿を蔑まれたのである。そして、いまだに彼女たちの名誉が回復されたという話は聞かない。

 日本人であれアメリカ人であれ、男とはそのようなものである。だから、従軍慰安婦など当たり前だ、という主張をしたいのではない。
 まあ、中には男が好きで好きで、誰でもいいから毎晩添い寝していないと生きている気がしない、という女性もいるかも知れないが、そうではない大多数の女性にとって、やむを得ざることであったとはいえ、見も知らぬ複数の男に抱かれるのは吐き気を催すことであろう。私は男娼にはなれそうにない。

 つまり、従軍慰安婦問題は、女性たちの徴発に軍が関与したかどうかではない。そのような役割を押しつけられる女性を必要とした世の中にしてしまったことである。つまり、日本が、自ら求めて戦争を始めてしまったことである。従軍慰安婦は、その鶏から生まれた卵である。
 だから、不幸な女性をこれ以上生み出さないためには、彼女たちを昼用としない社会——戦争のない社会——を作るしかない。現実を見ると、あちこちで戦闘が繰り返され、日本も何やらきな臭い。しかし、ゴールが目では見えないほど遠くにあるとしても、そちらに歩いて行くしかないではないか?


 従軍慰安婦報道に加え、その後の朝日新聞の対応も褒められたものではない。
 
 組織は腐敗する。成功して大きくなった組織は必ず腐敗する。朝日新聞もその一例と成り果てたか?
 己のプライドを保てる範囲での訂正。
 他社の言論に対する封殺。
 己の意に沿わぬ原稿への圧力。

 これ、ごますりばかりが幹部になってるからじゃない? 
 上御一人には泥水をかぶらせない。
 「この程度の検証報道にしておけば、上御一人と我が社の名誉は守られる」というごますり。
 「週刊誌が不謹慎な見出しを出してきましたが、私のところで止めておきました」というごますり。
 「このような原稿が上御一人の目にとまったらどうなる? 君たち、そんなことも分からんのか」というごますり。
 そのような人材がもてはやされ、重職に就く。

 朝日新聞はもう一度、検証報道に挑んだ方がいい。何故あのような原稿が日の目を見たのか、検証報道はなぜ中途半端なものになったのか、週刊誌の広告差し止め、池上彰氏の原稿掲載中止は、誰がどのような形で何故決めたのか。
 すべてを読者に報告するのである。
 
 加えて、その検証を終えたら、いまの幹部は総退陣されることをお薦めしたい。



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