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 2015年2月15日 休日の過ごし方

 今日は日曜日である。大多数の方々が休日を取られたはずだ。
 皆様、休日はどのようにお過ごしであろうか? 
 今日はどのようにお過ごしなされたであろうか?

 前回お知らせしたがごとく、私は昨14日朝、妻女殿を愛車にお乗せして相模原を目指した。次女の旦那が開業する歯科医院で、妻女殿のガタガタになった歯を修理していただくためである。
 で、それが終われば当然のごとく、瑛汰、璃子、つまり妻女殿の歯を修理された歯医者さんの子供たちが待つ横浜の家に向かった。2人に、暴力的ともいえる歓迎を受けたことはいうまでもない。入浴して夕食を済ませ、歯を磨いたあとは、瑛汰、璃子と私の3人で布団にくるまったところも、いつもと同じ展開であった。

 違ったのは今日である。
 歯医者さんは日曜も開業する。平日は歯科に通う時間がないサラリーマン患者を受け入れるためである。開業医はなかなか大変なのだ。

 で、残されたのは瑛汰に璃子、私、それに妻女殿と次女である。今日は、これが二手に分かれた。

 「二手? どのように?」

 そんな疑問をお持ちいただいただろうか?
 5人が二手に分かれる。さて、いくつの分かれ方があるか?

 まず、1人と4人に別れるとすると、5人から1人を選ぶやりかたは5つあるから、5通り。
 2人と3人とすると、5人から2人を選ぶ選び方は、5×4÷2で10通り。
 これですべてである(と思うが、自信がない……。もし数学的に間違っていたらご指摘を!)。この15通りのうちのどの組み合わせであったとお考えになるだろうか。

 持って回った書き方をしないと行数が持たないからそうしているが、ま、ここは直ちに結論に入ろう。
 瑛汰と璃子に私が一手である。もう一手は残った妻女殿と次女。この組み合わせで今朝は始まったのだ。

 己をあとにするのは紳士のたしなみである。よって、妻女殿+次女、の組み合わせから解説しよう。
 お二人は映画を見に行かれた。

 「はじまりのうた」

 である。
 ことは、先々週金曜日の各紙夕刊にさかのぼる。どういう訳か、金曜日の夕刊は、各紙こぞって映画紹介を載せる。封切り日に合わせたのであろうと想像するが、ま、それはそれとして、先々週金曜日夕刊でこの映画が紹介されていた。

 監督のジョン・カーニーは7年前、「ONCE ダブリンの街角で」という映画を世に問うた。音楽を通じて男女が心を通わせていく物語で、その年、アカデミー賞歌曲賞を受賞した秀作だ。
 妻女殿は、この映画がいたくお気に召した。そのためであろう。新聞の紹介記事をお読みなると

 「私、この映画みたい」

 とおっしゃった。
 それだけなら、放っておけばよい。1年、長くても1年半もたてばWOWOWでやるのである。それまで待って録画すれば、毎月のWOWOWへの視聴料の範囲内で見ることができる。金銭の使い方としては、これが最も正しい試聴手段である。
 なのに、だ。その日妻女殿は、もう一言付け加えられた。

 「ああ。映画館で見たいなあ」

 映画館で? だってあんた、足が悪いうえに運転免許もなくて、だから一人で映画館に行く能力はないでしょ?! 俺、こんな映画を、わざわざ映画館にまで足を運んでみる趣味はないのだが……。
 その時、ふとひらめいてしまったのである。

 「そうか、14日にはまた、歯の治療で横浜に行くのか」

 で、思いついてしまったので、ついつい提案してしまった。

 「だったら、15日日曜日に、次女と2人で行ったらどうだ? 瑛汰と璃子は、俺がラゾーナに連れて行くから。どうせまた、本を買いたいというに決まってるからな」

 それが、あれよあれよと実現してしまい、今朝は9時20分に横浜の家を出発、映画館の近くの駐車場に車をおいて二手に分かれたわけである。

 そこに向かう車中での会話。

 「ねえ、ババ。何ていう映画を見に行くの?」

 と璃子。

 「はじまりのうた、っていうのよ」

 とババ(ここは、あくまで璃子とババの会話である)。
 すると、璃子が突っ込んだ。

 「それ、どんな歌?」

 おっと、なかなかに鋭い質問である。何しろ璃子は、歌が大好きなのだ。昨夜は私と二人寝室に降りて(瑛汰、璃子と一緒に寝る部屋は1階にある)ピアノの鍵盤を叩き(「弾き」ではない)、それを伴奏に歌い出した。やがてソングブックを引きずり出すと、

 「ねえ、これどんな歌?」

 譜面を見ながら出だしを歌ってやると、

 「あ、それ知ってる! 幼稚園で歌ってるよ!!」

 と大声で歌い出し、とうとう興がが乗りすぎて

 「璃子、歌いながら踊るから、見てて!」

 そんな璃子である。「はじまりのうた」ってどんな歌だろうと考えるのは不思議ではない。
 がだ。璃子のババは、この曲をまだ聴いたことがないのである。これから向かう映画館で初めて耳にし、恐らく、映像とストーリーに誤魔化されて

 「いい曲だった……」

 などと訳のわからんことをいうに決まっているのだが、だが、この時点では未知の曲なのである。

 「それは……」

 言いよどむババ。
 で、私はいった。

 「璃子、はじまりのうた、って、璃子が幼稚園で朝一番に歌う歌だよ。きょうのおはじまり、って毎日歌うだろ?」


 すると璃子が言った。

 「ああ、あの歌? 璃子、知ってる。ねえ、歌っていい?」

 「いいとも。璃子ちゃんの歌をボスに聴かせてよ」



 で、映画館の前で2人と別れた我々3人は、まず川崎市立図書館に向かった。2週前に瑛汰と璃子が借りた20冊の本を返却するためである。児童書の20冊はかなり重い。入れていた布製の袋が途中で裂けてしまったのはそのせいである。

 「あれ、ボス。開いてないよ」

 瑛汰の声で壁のポスターを見る。

 「えっ、休館日!」

 これだけの重荷を下げてラゾーナまで歩く体力はない。やむなく、川崎駅のコインロッカーに図書館の本をすべて入れ、徒歩でラゾーナへ。回転と同時に書店に飛びこんだのはいうまでもない。

 瑛汰、情け容赦なく目についた本を籠に入れる。ついでに

 「瑛汰、そろそろこんな本を読めるかな?」

 という本(例えば、「中学生までに読んでおきたい日本文学」)などを私が入れる。

 「璃子、これ欲しい」

 と言う声も加わってずっしり重くなった籠をレジに運び、2万5000円。

 「ボス、本を買ったらアイス食べるんでしょ?」

 で、アイスを食べ、ここまで面倒を見たんだから少しはボスに付き合えと2人に言い含めて、ビックカメラの3階、オーディオコーナーへ。
 いま、最も関心があるオーディオ機器、パイオニアのネットワークプレーヤー、N-70Aの試聴が目的である。
 
 2人はおとなしく、椅子に座って本を読み始めた。それを見極めて、店員に試聴を頼む。
 聴いたのは、N-70Aに加えて、似た価格のマランツの製品である。

 「えっ、こんなにボケボケの低音しか出ないの?」

 といってしまったのは、最初に聴いたN-70Aとマランツのアンプの組み合わせであった。何とも情けない、3万円前後で売っている安物のすれておセットみたいな、ボワンボワンとした低音が流れ出したからだ。
 念のため、アンプをラックスに代えてもらった。多少締まりは出たが、音質の悪さはいかんともしがたい。

 「スピーカーかね?」

 つながっていたスピーカーで一番高価そうなJBLにしてみた。あかん、これもあかん。中高域は多少よくなったが、低域のだらしなさはどうにもならない。
 N-70Aって、この程度なのか?

 プレーヤーをマランツに買えた。ありゃまあ、これは低域だけじゃなく、中高域もだらしなく緩んだ音になっちゃった。

 「何でだろ。これ、スピーカーが悪いのかな」

 見ると、バスレフ、とある。スピーカーボックスのどこかに穴を開けてスピーカーコーンが自由に動くようにすると同時に、スピーカーが後ろに出す(コーンは前後に動くのだから、音は前にだけではなく、当然後ろ向きにも出る)音をこの穴から出して再利用することで、低音が豊に出ているような雰囲気を作るスピーカーだ。欠点は、低域のうちのごく一部の帯域しか前には出てこないから、非情に不自然な低音になることである。

 いずれにしても、こんな音を自宅に持ち込む気には毛頭ならない。

 「そういえば、マランツには30万円ぐらいする最高級のプレーヤーがあったね。それ、聞ける?」

 接続していないとのことであった。

 「でも、マランツの音って、こんなにユルユルなの?」

 店員はいった。

 「素直に、シャープに音を出すのがパイオニアなのに対して、マランツはあくまでマイルドな音を出します。パイオニアはきつすぎるというお客様もいらっしゃるので」

 そうか。この店員さん、パイオニアに交換をもっとるな。パイオニア嫌いのマランツ好きは、ろくでもないアンプを使っている連中なのだろう。
 ふと棚を見ると、ソニーの最高級プレーヤーがある。

 「そういえば、そのソニーの音はどうなのさ」

 「あ、あれは、ですね。低域の緩さだけでなく、中高域も惚けて引っ込んだ音しか出てこなくて、はい。ハードディスク内蔵という、他のプレーヤーとの機構の違いですかね?」

 音楽データの仕舞い場所で音が変わるはずは、原理的にない。だから、その指摘は間違いだと思うが、しかし、出て来る音はその表現でよくわかった。

 というわけで、試聴は当初の目的を達することができなかった。まあ、本当に試聴しようと思えば、自宅のクリスキットに接続してみるしかない。しかし、それが不可能だとすると、3機種の中では最も好ましかったパイオニアを、だめ元で買ってみるしかないのだろうか?
 いま、10万6800円。

 この間、瑛汰と璃子はおとなしく本を読んでいてくれた。助かった。

 映画を見終わった妻女殿、次女と合流したのは12時頃。シネチッタでステーキとハンバーグの肉肉攻めの昼食。肉食系女子の璃子には、天国であったに違いない。


 桐生に戻ってみると、啓樹から手紙。
 16冊の本が

 「またほしい本ができました」

 と列挙してあった。瑛汰に買った「中学生までに読んでおきたい日本文学」などと併せてAmazonに注文。週明けには届くようだ。

 そうそう、瑛汰と啓樹には

 「人類が知っていることすべての短い歴史」(ビル・ブライソン著、新潮文庫)

 を押しつけた。宇宙の誕生から生命の神秘まで、科学がこれまで解き明かしたこと、まだ分かっていないことが実に分かりやすく、しかもユーモアを交えて書いてある。最近読んで知的興奮を覚えた本だ。
 もちろん、一般向けの本である。いや、大人でも完璧に理解するのは難しかろう。私も、理解が届かないところがいくつもあった。だが、幼いうちに最先端の科学に触れておくのもいいのではないか?

 2人には

 「分かるところは読んでいい。でも、多分まだ難しいと思う。だけど、中学生になれば、だいぶ読めるようになれると思うぞ。それまでこの本、大事に取っておけ」

 と言っておいた。
 それまでちゃんと保管して、読めるようになったら嘗めるように読んだ方がいいぞ。そうやって、ボスを越えていけ!

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