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 2015年7月7日 送別会

 なでしこジャパンが、アメリカの圧倒的なパワーの前で玉砕した。キックオフから立て続けに4点を先取され、前半で勝敗が決した。終わってみれば5対2。完璧に負けた。

 昨日朝、我が家ではテレビがついたり消えたりした。試合開始前からつけっぱなしにされていたのが、0—2になった時点で一度電源offとなった。再びonになると

 「えーっ、4点も取られたの!」

 との声がダイニングから流れてきて(当時、私は事務室にいた)、再び電源が切られた。

 「5対2だったわよ」

 事務室にいる私にそんなレポートが届いたのは、それから1時間ほどしてからであった。

 負けたか。負けた彼女たちは日本の代表である。「惜敗」と表現したいという思いはある。が、これはどう見ても惜敗ではない。完敗である。

 「はあ、やっぱり負けちゃったか。アッハッハ」

 と言いたくなる見事な負けである。なでしこが勝つ機会は全くなかった。

 それでも、だ。私は全身全霊をこめて

 「よくやった。見事な決勝戦だった」

 と彼女たちの健闘を讃えたい。負けたとはいえ、世界で2番だぜ! あの東大医学部だって、上から100番までは通るんだぜ! 男子サッカーなんて、ベスト16にも入れないんだぜ!!!

 などと1人、彼女たちの偉業を喜んでいたら、たまたま、いま読んでいる

 「日本 — 喪失と再起の物語」(デイヴィッド・ピリング著、早川書房)

 で、こんな記述にぶつかった。

 「
(なでしこジャパンが2011年のワールドカップで優勝して)チームメンバーたちは全国的な有名人になった。だが、2012年のロンドン五輪に向けて出発した時、W杯で優勝した彼女たちの座席はエコノミークラスだったにもかかわらず、成績で劣る男子サッカーチームにはビジネスクラスが与えられたのである」

 まあ、男子サッカーはJリーグ人気に支えられて、お金持ちの集まりである。サッカーの本場欧州で活躍するスター選手はもっとお金持ちである。
 それに比べれば、女子サッカーは

 「好きだからやっていける」

 という程度のプロスポーツであろう。たいしたお金持ちはいないはずだ。だからかな、と思わないでもない。

 だが、なのだ。
 人気は劣るとはいえ、当時の彼女たちは世界の頂点にいた。男子サッカーなんて、当時も今も、世界で見ればその他大勢のチームの1つに過ぎない。

 なのに、この差別は何なのだろう? オリンピック委員会は何を考えてこんな待遇差を設けたのだろう?
 世界一を勝ち取った彼女たちへの敬意なんてまったく持ち合わせていないのか? JOC
 価値観の狂ったドアホしかいないのか? JOC


 昨夜は、桐生の同業者の送別会であった。
 送られたのは2人。
 1人は、結婚したばかりの旦那は東京勤務で、自分は桐生暮らしの別居婚だった女性である。離れ離れの結婚生活は辛いので、東京に転勤させてほしい、と申し立てたところ、

 「東京に行くためには、群馬で5、6年頑張ってもらわねば」

 と拒否された。ために、泣く泣く退職を選択した。実際、昨夜挨拶に立った彼女は、

 「憧れて選んだ仕事を、こんな形で辞めなければならないとは……」

 と涙が止まらなかった。
 女性が輝く社会? 出生率の向上?
 こんなドアホ企業が生き残っているかぎり、望み薄である。

 もうひとりは、私と同じ、定年後の再雇用で働いていた仲間だった。お母さんの痴呆が進んだのに加え、自分も狭心症という持病を持ち、いつもニトロを携帯して仕事をしていた。

 「それに」

 と彼は挨拶した。

 「何か、今の仕事に情熱が燃えなくなったんです」

 彼はまだ62歳。私の送別会をしてくれるはずだった男が先に退くのは、心から寂しい。

 いつものように、私のギター伴奏で、全員が

 今日の日はさようなら

 を歌った送別会であった。



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