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 2016年9月2日 我が家

 新居はいつまでも新居であるわけではない。引っ越し当初のバタバタが一段落し、新しい間取り、新しい使い勝手に慣れると、いつしか我が家になる。

 さて、引っ越しから間もなく1週間。バタバタはとりあえず一段落した。

 今日は午前中、冷凍庫の上の空きスペースを有効に使うための金属フレーム棚、足りなかったカーテンリングの買い出しにジョイフル本田まで行き、ついでにスーパーで食料品を仕入れてきた。
 午後はスチール棚の組み立て、不要になったケースの解体、注文していたプラスチック製の押し入れダンス(従来使っていたのは、この家の規格にあわず、入ってほしい場所に入ってくれなかった)の受け取り、明日到着するダイニングテーブルの代金を払うためのお金の引き出し、程度で済んだ。つまりやや落ち着きが出てきた。
 夕刻になると別にやることもなく(やらねばならないことはまだあるのだが)、久々の放心状態。Eric Claptonなど聞きながらパソコンに向かう。
 新居の我が家率は30%というところか。

 ここまで来る道のりは難行苦行の連続であった。

 最大の問題は、段ボール箱に詰め込まれたまま溢れかえる荷物の収納場所を確保することであった。が、この家、とにかく狭い。床面に並べていてはいつまでたっても布団を敷く場所の確保に難渋する。

 絶対的な床面積の不足を補うには、上に伸びるしかない。未利用の空間を利用する。つまり、棚を作るのである。読書家の私の場合はまず書棚だ。

 書棚、何処に置く? 27日に真っ先に考えた。
 できれば事務室に使う和室がいい。しかし、畳の上には置けぬ。では……。おお、あった、あった、ここしかない!

 こじんまりとした家であるにもかかわらず、この家には床の間がある。それも、私の事務室兼寝室である和室にある。
 そうえいば、私も横浜に家を建てた時、和室に床の間の空間を作った。が、現代生活に床の間が役立つはずもなく、やがてパソコンデスクの設置場所になり、7年前、桐生に赴任した時に大改装を施し、和室はダイニングルームと一体化してすべて床張りになった。当然、床の間風の空間はなくなった。
 そうなのである。床の間風空間すら、私の暮らしには不要だ。ましてや床の間など、私には屁の突っ張りにもならない。本棚の置き場所はここしかない。

 メジャーを取り出して利用できるスペースの寸法を測り、太田のジョイフル本田に車を走らせた。板を買う。事前に作った設計図に基づいてカットしてもらう。これだけで約4500円。

 戻ると、電動サンダーでざっと磨きをかけ、買ったばかりの電動ドリルドライバーを取り出してねじ止めしていく。所要時間、約2時間。あっという間に出来上がった高さ181pの本棚を部屋に運び込むと、ほれ、ピッタリと納まるではないか。
 結果を見据えた綿密な作戦、設計図が勝利の秘訣である。

 さて、これで棚はできた。あとは中身を入れるだけだ。
 手当たり次第に段ボール箱を開ける。楽譜、本、雑誌を取り出して手当たり次第にできたばかりの書棚に並べていく。あるわ、あるわ。7段の棚がたちまち満杯である。

 「えーっ、入りきらない本がまだこれだけある! それに、事務用品も出番待ちのBD-RCD-RDVD-RDVD-R DLも、ブルーレイ・ケースも畳の上に散らばってるぞ。これ、何処に仕舞ったらいいんだ?」

 再度、太田のジョイフル本田までドライブしたのは一昨日だった。床の間の左に低い棚があり、その下は納戸になっている。低い棚。恐らく、陶磁器を飾ったり、花瓶を置いたりするところなのだろう。が、これも我が暮らしとは無縁である。であれば、現状から判断する限り、ここも棚にするしかない。

 今度は8000円ほどかかった。横幅が170pほどと広く、棚は2つに分けた。奥に入れる棚は書棚と同じ奥行きの22p。手前に置くのは奥行き44pとした。だから板が沢山必要だったのだ。これもすべてカットしてもらい、戻って3時間ほどで組み上げ、屋内に運び込んだ。
 もう夕刻。すでにこの棚には沢山の荷物が並んでおり、これをどかして棚を設置、溢れかえっている物を棚に並べる気力、体力はもうなかった。

 「明日やろう」

 今できないこと、できそうにないこと、やる気が起きないことは先送りする。これは人生の鉄則である。精神衛生上、すこぶるよろしい。

 そして昨朝。22pの自作棚を抱え上げて既存の棚に載せる。おお、見事に納まる。図面の勝利である。
 次は奥行き44pの棚だ。これも上手く納まるはず……、ん? 入らない! そんな! だって、設計図では入るはずだったろ!!

 所定の場所に納まるのを、我が作品である棚はなぜ拒絶するのか? 改めて調べてみた。
 設置場所である既存の低い棚には、左下手前に出っ張りがある。それは織り込み済みで、その部分は切りかいてある。だから、ピタリと納まるはずなのだ。それが入らないのはどうしてか。

 見て納得した。問題はそこではない。さて、これをどう説明したものか。
 棚から天井までは160pほどある。そして、棚の一番手前の上空には、天井から下がってきた出っ張りがある。棚からその出っ張りまでの高さは約130p。これが問題なのだ。自作の棚を、左下隅の出っ張りを避けて真っ直ぐ既存の棚の上に押し込むことができれば問題は何もない。ところが、すでに奥行き22pの自作棚は設置済みで、それはできない。だから、44p棚を斜めにして押し込もうとするのだが、左下の出っ張りと天井から下がった出っ張りとの間が狭いため、自作棚が中に入ってくれないのである。
 作戦の失敗を取り戻すのは、状況に応じた現場での判断ある。

 「ということは、と。先に設置した22p棚を一旦取り出し、先に44p棚を入れて左隅に押しつける。そのあとで22p棚を入れれば問題は解決する」

 見事な現場判断デアはある。だが、この作業をするためには、最初に作り、床の間に設置して楽譜や本を押し込んだ書棚を動かさねばならない。動かすためには、中に入れた本をすべて取り出さねばならない。

 「えーっ、また最初に戻るのかよ!」

 それ以外に解決策がないとなれば、面倒でも、気が向かなくても、疲れるなあと思いながらでも、くそったれ、と毒づきながらでも、やることをやらねばならぬ。

 やった。新しく作った棚をすべて措定の位置に納めた。書棚も元の一意戻した。1度出した書籍を再び棚に入れ直した。
 最初から全体像が見えていれば、と反省する。だが、最初の時点で全体像が見えなかったのは私の能力不足である。誰を責めるわけにも行かない。であれば、黙々と作業を進めるしかない。
 疲れる……。

 が、疲れた結果はかなり満足のいくものである。
 44p棚の一番下には、Bratherのファックス&プリンターを設置した。独立時営業者になるにはファックスぐらいはいるだろう。

 「だとすると、Bratherがいいよ」

 と、あのO氏が推薦してくれた機種である。何より、無線LANで稼働するのでどこにでも置けるところが素晴らしい。子機が1台ついているのもありがたい。
 2段目からは文具類の収納場所である。印刷用紙、ノート類、筆記具、電池、セロテープ、クリアファイル、メモ用紙……。備蓄する必要があるものは、意外と多い。

 その奥、22p棚はもっぱら書棚である。数学関連書籍、これから読む本、地域おこし参考図書、辞書類。これだけでもそこそこの分量になる。

 ここまで作業が進んで、あの和室もやっと広くなった。いまや、3人分の布団も敷けるスペースを確保した。まあ、まだ一部、とりあえず置いてあるものがありはするが、明日になればスチール製の物置が来る。そこに入れてしまえば、部屋はたいそうすっきりするはずだ。


 実は、引っ越しの翌日、28日の最優先作業は、階段への手すりの取り付けであった。すでにご承知であると思うが、我が妻女殿は足が悪い。が、寝室は2階である。だから、階段の上り下りが毎日欠かせない。
 なのに、この家の階段、手すりがあるのは一部だけなのだ。

 「これじゃあ、降りるのが怖い。転がり落ちたら、私、死んじゃう」

 まあ、妻女殿にそういわれて

 「ご勝手に」

 というほどの度胸は、遺憾ながら私にはない。であれば、最優先で妻女殿の身の安全を図らねばならぬ。だから、28日にジョイフル本田に行った目的の1つは、階段の手すりを買ってくることであった。事前の採寸に従って長さ1mが2本、60pが2本。戻ってすぐに作業に取りかかったのはいうまでもない。

 作業は簡単である。手すりの受け手を木ねじで壁に取り付ける。その受け手と木製の手すりを木ねじで止める。それだけのことだ。あなたにもできる。もちろん、電動ドリルドライバーを持つ私なら、朝飯前の作業である。いや、そのはずだった。

 ドリルドライバーで木ねじをねじ込む。ねじ込む先が木であったら、最後まで心地よい抵抗感がこちらに伝わり、きっちり締まる。
 そのつもりで作業を始めた。1つ目の受け手はしっかり取り付けることができた。ところが、である。2つ目の受け手を取り付ける木ねじが、半分ぐらいまでは抵抗感を伝えてきていたのに、それを過ぎると、突然

 ボスッ

 と全部入ってしまった。いかん。これは下地が石膏ボードじゃないか!

 石膏ボードは、別名耐火ボードともいう。名の通り、石膏が原料で、火に強い。だから、火を扱うキッチンの壁には石膏ボードを使うことが多い。
 だが、石膏ボードの良さは、火に強いところだけである。元が石膏だから衝撃に弱く、クギを打てばボロボロ崩れる。だから、火とは関係が薄い場所には普通使わない。そして、階段とは、火とはあまり縁がない場所である。このような場所の壁には、コンパネと呼ぶ合板を使う、というのが私の常識であった。
 なのに、この家は階段に石膏ボードを使っている。何故? 階段でたき火をするのが趣味だった?

 という次第で、2本の手すりは、幸い石膏ボードの下に間柱が通っており、そこにしっかり取り付けることができた。ところが、ほかの2本は、受け手の一方は間柱に固定できたが、もう一方は石膏ボードにねじ止めする形になって不安定極まりない。

 「おい、この手すりとこの手すりは、体重をかけてはならないからな」

 と妻女殿に言い渡した。が、体重をかけてはならない手すりとは何者なのか?

 風呂も問題である。ここは、ステンレス製の縦に長い、つまり深い湯船だ。足を伸ばして入ることはできず、何ともせせこましい。
 が、それは我慢するとして、問題は湯船の底と洗い場の床との段差が大きいことだ。これは足が不自由な妻女殿にとっては身の安全に関わることである。足が不自由になれば誰しも思い知るのだが、大きな段差の上り下りは、体力の限界を超えることがあるのだ。

 が、風呂を作り直すわけにはいかない。とすれば、最小限の自己防衛法は、風呂場に手すりを着けることである。ところが、風呂場の壁はタイル張り。これは素人の手には余る。
 ということで29日夜、左官業をやっている知りあいに電話をした。

 「風呂場に手すりを取り付けてもらいたいんだけど、それができる人を紹介してもらえまいか?」

 それで31日に来てくれたのが建設業のOさんである。あのOさんとは別人であることはいうまでもない。あのOさんにはそのような能力はない。

 来てもらって、ふと思いついた。

 「風呂場もそうなんだけど、この階段の手すりも何とかしてもらえまいか?」

 流石にプロである。ものの2、3時間で、階段の手すりはきっちりと固定され、風呂場には3本の手すりが新に取り付けられた。

 「ああ、助かったわ」

 とは妻女殿の実感である。
 世のため、人の為のクイックレスポンス。田舎には田舎の、都会にはない良さがある

 
 そうそう、これも書いておかねばなるまい。
 引っ越し騒動が一段落しかけた昨夕、久しぶりにMacbook Airを電源につないで使った。当初は何の問題もなかった。ところが、しばらくすると、ネットにつながらなくなった。
 あちこちいじってみた。画面で見る限り、無線LANにはつながっている。それなのに、ブラウザがネットにつながらない。メールソフトもメールの読み込みができない。
 ままよ、と再起動するとブラウザもメールソフトも正常に動く。ところが、しばらくすると再び同じ症状が起きる。再起動すると治る、しばらくすると再発……。

 そのすぐそばに置いているiMacは、正常に無線LANに接続しており、ブラウザもメールソフトも正常に動いている。何が起きたのか?
 ググってみたが、解答は見いだせない。この忙しい時に、私に何をさせたいってか?

 以上が、引っ越し騒動のあらましである。
 今日も夕方になって、何となく落ち着き始めた。来週には普通に戻るのではないかと期待する。そして、普通になって「我が家」になるまでにどれほどの時間がかかるのか?


 購読紙が朝日新聞と桐生タイムスだけになった。
 その朝日の夕刊。リニア新幹線の開通に向けて南アルプスにトンネルを通そうという計画に、登山者たちが反対しているという。こんな話題を取り上げるのだから、朝日新聞も、もっと限定していえば、この記事を書いた記者と、この記事を通したデスクさんも、登山者たちの主張に賛同されているのだろう。

 でも、それってあまりにわがままじゃないか? 反対の理由は

 「景観を損なう」

 からだって。
 じゃあ、トンネルを掘るのをやめて、山をぐるりと回る路線を採用しろというのか?
 トンネルが人目につくのは入り口と出口。山をぐるりと回れば、もっと広い範囲でリニア新幹線が見えるはず。そちらの方が景観を壊す度合いは少ないのか?

 人々の暮らしとは、様々な利害、主張がぶつかり合う中、どこかに妥協点を見つけて成り立っている。

 「私はこう思う。それ以外の考え方は受け入れない」

 というのはガキのクラス討論のレベルである。
 登山される方々も、登山口までは何らかの交通手段を使っておられるはずだ。車もあろうし、電車やバスを乗り継がれる方もあろう。
 でも、そのような交通手段に対しても、

 「車は交通事故の元凶である。環境破壊も甚だしい」

 「私の記憶にある故郷には電車など走っていない。ここに電車を通したのは冒涜である」

 という主張もある。こんなことをいちいちまともに取り上げていたら、あなたたちの楽しみである登山という行為だって、成り立たなくなるとは思いつかないのか?

 このような、安易なエセ反権力に身を寄せる。朝日新聞。まだ病は癒えていない?



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