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 2017年2月4日 β版

 β版とは、発売前のソフトウエアである。そのソフトにひょっとしたらバグ、つまりプログラム記述のミスがあるかもしれない。それを見つけるため、売り出せば買って使うだろう潜在的顧客に事前に使わせて正常に動くかどうか確かめるためのものである。不具合が見つからねば晴れて正規版として発売される。

 まあ、何万行、何十万行にもわたるプログラムである。正確に記述されているかどうかを目で確かめるのは不可能だろう。開発会社の中で使ってみるというのが最初の手続きだろうが、客というヤツはどんな使い方をするか知れたものではない。客が想定外の使い方をして出てはいけない現象が現れることもありうる。だから、広く潜在顧客に使わせ、あらゆる使用法に耐えるかどうかを試す。おかしな現象が出れば修正する。
 なかなか理に適ったやり口である。

 だが、ものは複雑なプログラムである。デジタルの世界に慣れ親しんだヤツでなければβ版を使う機会なんてやって来るはずがない、と思っていた。つまり、この私が「被験者」になろうとは、思ったこともなかった。ところが、なっちゃったのである、β版の被験者に。
 おい、俺でいいのか? 俺って、DACひとつまともに組み立てられないデジタル音痴だぞ!

 私の元に届いたのは、Mac用のdBpowerampのβ版である。そう、先日買って使い始めたばかりのアプリケーションだ。詳しいことは前回の日誌をお読みいただきたい。

 私が購入したのは、バージョンが15.8とある。私の大嫌いなWINDOWS用はすでに16.2まで進んでいる。遅れて開発されたMac用は遅れているのである。
 遅れている分、機能が追いついていないところがある。肝心の音質に関わるところというからタチが悪い。

 私、dBpowerampをもっぱら、アップコンバートに使う。前回の日誌に書いたように、16bit、44.1KHzで記録されているCDのデータを、24bitにし、サンプリング周波数もずっと多くしようというのだ。

 ところが、dBpowerampを私に紹介してくれた友人によると、サンプリング周波数は、2倍の88.2KHzにするのがいいという。
 サンプリング周波数というのは、1秒間の音の波をいくつに分けて記録するかの数値である。CDに入っている音楽データは、音の波の1秒間分を44100に分けて記録していることになる。X-Y軸を持つグラフで考えれば、X軸方向に時間が進み、1目盛り1秒とすれば、この間に44100本の柱が立っていることになる。これを88.2KHzにすれば、柱の数はちょうど2倍の88200本だ。ということは、元の柱の1本ずつをちょうど半分ずつに分ければいいことになる。
 しかし、44100の整数倍以外の数値にすると、かなり複雑なことになってしまう。1.5倍だったら柱をどう分割すればいいのか? 2.2倍だったら?
 という混乱が音に悪影響を与えるというのだ。だからアップコンバートするなら、サンプリング周波数は88.2KHz、あるいは132.6KHzなど整数倍にしなければならないというのである。

 よく分からんが、何となく納得できる。納得するのはいいのだが、困ったことに、私が買ったMac用、バージョン15.8のdBpowerampには、この88.2KHzが選択できない。一番近い数値は96KHzである。

 「何とかなりませんかね」

 これから、既存のflacファイルの大部分をアップコンバートすることを目指していた私は、販売元に聞いてみた。答えは失望を誘った。

 WINDOWS用はできるんですが、Mac用はそこまで進んでいないんです。いま、次のバージョン16を準備中で、これならできるようになっているんですけど」

 といわれたって、救いにはならない。なんだそれ、大枚5800円を払っても、Macユーザーは差別されなければならないのか?
 私は、ひょっとしたら天性のクレーマーかも知れない。だから、私の声によほど不満の思い、攻撃的な勢いが漂っていたのだろう。電話の向こうの男性が思いもよらないことを言った。

 「いま全世界でβ版の検証中なんです。あなたもやってみますか?」

 ん、私に被験者になれと?

 「ただ、β版だから本当にちゃんと動くかどうかは保証できません。それでよろしければ使ってみますか?」

 さて、私はすでに述べたが、デジタルに関する知識は皆無に近い人間である。私が、新しく開発中のソフトウエアの検証? できるか、そんなこと?

 「はい、やります。御願いします」

 何てったって、全世界、ではないか。私に全世界の一部になる機会が与えられたのである!

 という次第で、昨日から私はdBpoweramp for Mac 16.0 β版の検証者になった。昨日は頭脳警察のアルバム49枚をアップコンバートした。実に簡単である。1枚に1分前後しかかからない。Raspberry Piで再生すると、ちゃんと88,2KHz 24bitと表示される。きちんとアップコンバートされているようである。
 今日は朝からBob Dylanのアップコンバートに取り組んだ。87枚。お昼前後にすべてできあがり、現在(午後4時13分)は、NASにコピー中である。全部で88.26GBもあるから、約4時間かかる。残り時間は44分と表示されている。

 私のNASに入っているアルバムは、2320枚。昨日と今日で131枚の処理が終わったわけだ。だがまだ5.6%でしかない。残りは……。気が遠くなる作業だが、やらざるを得まい。

 というわけで、今日はほぼ1日、パソコンの前に座りっぱなしである。夜は飲み会。

 趣味だけは満喫しながら、なかなかビジネスが軌道に乗らない私であった。

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